「パーティーメンバーを探しに行かせた結果、リーダーをも伴って帰参するとはな。話が早くて助かるが、相変わらずの破天荒さだなラウドプラウズ」
レオンくん達とも合流して、無事に町にまで戻ってギルドに辿り着いた僕達。
リューゼの姿を見るなり慌ててギルド長室に通してくれたリリーさんが、戦々恐々って感じの顔をしながら退室していくのを見送ってからすぐ、ギルド長ベルアニーさんがそんなことを言った。
開口一番、皮肉っぽい物言いだよー。
対するリューゼ、これにも鼻で笑うのみだ。3年前なら煽られたと判断してすぐに殴りかかろうとしていたろうねー。このへんはやっぱり、彼女の精神的な成長を感じるよー。
とはいえ気性の荒さは相変わらずだから、皮肉には獰猛な笑みとともに皮肉で返すばかりだ。
「ヘッ、かくいうジジイも未だにピンシャンしてんのかい。そろそろ隠居してもいい時期じゃねえのか? なんならこのギルドオレ様にくれても良いんだぜ、戦慄の群狼に組み込んだらァ」
「それはもはやギルドとは言わん。ギルドの定義から勉強してくるのだな、小娘」
軽口、というには刺々しい言葉の応酬。その場にいるのは迷宮に行ってたメンバーとベルアニーさん、新世界旅団のシアンさん、レリエさん、モニカ教授なわけだけど……特にレリエさんがピリついたやり取りに身をすくませているねー。
反面、団長と教授は特に動揺した様子もなく堂々たるものだ。元より調査戦隊時代にこんな程度のことは当たり前レベルで体験してきた教授はともかく、シアンさんの胆力はすごい。
おそらくはその手の訓練を受けてきたんだろう、エーデルライト家で。貴族ながら冒険者を多く輩出してきた家だからねー、いつかの巣立ちに備えてみっちりと基礎能力を鍛え上げていてもおかしくないよー。
「っ……」
「大丈夫だよレリエ、リューゼリアは見かけによらず時と場合、相手は弁えている。手負いの獣じみた、隙を見せればすぐさま食い千切られかねないような空気は見せかけと言うよりわざと出しているに過ぎない。メンツを気にする子なんだ」
「何があろうと私の団員に手出しはさせません。まして反撃能力を持たないレリエやモニカはなおのことです……安心して、私を信じて」
「え、ええ……信じるわ、シアン」
美しい三輪の花、それらが織りなす友情の姿だよー!
お美しすぎて目が潰れそう。シアンさんにレリエさんは元より、口さえ開かなきゃモニカ教授だって壮絶な美女だからねー。3人でソファに並んで仲睦まじくしている様子は、見ているだけで恋に落ちそうだよー、もう落ちてるー。
素晴らしい光景に目を細めていると、ベルアニーさんが2回、手を打ち鳴らした。じゃれつくのはこの辺にして本題に入ろうって仕草だね。
もうちょっと、もうちょっとこの光景を見たかった……! でもまあ、今後いつでも見られるんだからまあ良いかな。良いものは何度見たって良いんだ、だから何度でも見られる僕はとんでもない幸福な男なんだよー。えへへー。
「新世界旅団の二人、並びに煌めけよ光の面々もご苦労だったな。諸君らは大変大きな功績をあげてくれた、ギルドとして後ほど、報酬を与えよう」
「どもー」
「ござござー」
「あ、ありがとうございますギルド長!!」
まずはミシェルさんを探した結果、まさかの本丸であるリューゼまで引き連れてきた僕達への賞賛が送られた。
褒賞もつくってさ、やったね。
リューゼを引っ張ってきたことで話が数段階、すっ飛ばしで進められるからねー。それはすなわちシミラ卿救出も捗るわけで、そりゃベルアニーさんからすれば拍手の一つもしたいってなものなんだろう。
「やったぜノノ、マナ、ヤミ、ヒカリ! 報酬だ報酬!」
「新世界旅団にどっぷりもたれかかってただけだけど、まあありがたいわよねえ」
「えへ、えへへへ……!」
「ご褒美だってさ、ヒカリ!」
「美味しいもの食べられるね、ヤミ!」
思わぬ報酬にレオンくんや仲間達が浮かれて満面の笑みを浮かべている。新人さんらしくて良い姿だよ、こういうのが冒険者の醍醐味の一つだよねー。
ヤミくんにヒカリちゃんも子供らしく大はしゃぎでほっこりするよー。周りの大人、特にベルアニーさんなんか露骨に目尻が下がってる。おじーちゃんには孫みたいに見えてるのかなー?
とまあ、和む光景もそこそこにして、いよいよ本題に入る。本質的に部外者な煌めけよ光の面々はこれにて退場だ、手伝ってくれてありがとうー!
5人が退室して、スッキリしたギルド長室。ベルアニーさんはそして、さてと前置き程度に分かりきった話をシアンさんへと向けた。
「さて……エーデルライト団長、期せずして戦慄の群狼リーダーであるリューゼリア・ラウドプラウズと今ここで話し合いをできる状況が整ったわけだが……どうするね?」
「しない理由がないでしょう、ベルアニーギルド長。我々はワルンフォルース卿救出のため、打てる手を可能な限り打てるタイミングで打つべきなのですから──その前に自己紹介をさせていただきたくは思いますが」
当然と頷くシアンさん。その瞳は力強い光をもって、リューゼリア相手にも一歩も引かない様相だ。
そして……新世界旅団団長と戦慄の群狼リーダーの、初顔合わせが始まった。
レオンくん達とも合流して、無事に町にまで戻ってギルドに辿り着いた僕達。
リューゼの姿を見るなり慌ててギルド長室に通してくれたリリーさんが、戦々恐々って感じの顔をしながら退室していくのを見送ってからすぐ、ギルド長ベルアニーさんがそんなことを言った。
開口一番、皮肉っぽい物言いだよー。
対するリューゼ、これにも鼻で笑うのみだ。3年前なら煽られたと判断してすぐに殴りかかろうとしていたろうねー。このへんはやっぱり、彼女の精神的な成長を感じるよー。
とはいえ気性の荒さは相変わらずだから、皮肉には獰猛な笑みとともに皮肉で返すばかりだ。
「ヘッ、かくいうジジイも未だにピンシャンしてんのかい。そろそろ隠居してもいい時期じゃねえのか? なんならこのギルドオレ様にくれても良いんだぜ、戦慄の群狼に組み込んだらァ」
「それはもはやギルドとは言わん。ギルドの定義から勉強してくるのだな、小娘」
軽口、というには刺々しい言葉の応酬。その場にいるのは迷宮に行ってたメンバーとベルアニーさん、新世界旅団のシアンさん、レリエさん、モニカ教授なわけだけど……特にレリエさんがピリついたやり取りに身をすくませているねー。
反面、団長と教授は特に動揺した様子もなく堂々たるものだ。元より調査戦隊時代にこんな程度のことは当たり前レベルで体験してきた教授はともかく、シアンさんの胆力はすごい。
おそらくはその手の訓練を受けてきたんだろう、エーデルライト家で。貴族ながら冒険者を多く輩出してきた家だからねー、いつかの巣立ちに備えてみっちりと基礎能力を鍛え上げていてもおかしくないよー。
「っ……」
「大丈夫だよレリエ、リューゼリアは見かけによらず時と場合、相手は弁えている。手負いの獣じみた、隙を見せればすぐさま食い千切られかねないような空気は見せかけと言うよりわざと出しているに過ぎない。メンツを気にする子なんだ」
「何があろうと私の団員に手出しはさせません。まして反撃能力を持たないレリエやモニカはなおのことです……安心して、私を信じて」
「え、ええ……信じるわ、シアン」
美しい三輪の花、それらが織りなす友情の姿だよー!
お美しすぎて目が潰れそう。シアンさんにレリエさんは元より、口さえ開かなきゃモニカ教授だって壮絶な美女だからねー。3人でソファに並んで仲睦まじくしている様子は、見ているだけで恋に落ちそうだよー、もう落ちてるー。
素晴らしい光景に目を細めていると、ベルアニーさんが2回、手を打ち鳴らした。じゃれつくのはこの辺にして本題に入ろうって仕草だね。
もうちょっと、もうちょっとこの光景を見たかった……! でもまあ、今後いつでも見られるんだからまあ良いかな。良いものは何度見たって良いんだ、だから何度でも見られる僕はとんでもない幸福な男なんだよー。えへへー。
「新世界旅団の二人、並びに煌めけよ光の面々もご苦労だったな。諸君らは大変大きな功績をあげてくれた、ギルドとして後ほど、報酬を与えよう」
「どもー」
「ござござー」
「あ、ありがとうございますギルド長!!」
まずはミシェルさんを探した結果、まさかの本丸であるリューゼまで引き連れてきた僕達への賞賛が送られた。
褒賞もつくってさ、やったね。
リューゼを引っ張ってきたことで話が数段階、すっ飛ばしで進められるからねー。それはすなわちシミラ卿救出も捗るわけで、そりゃベルアニーさんからすれば拍手の一つもしたいってなものなんだろう。
「やったぜノノ、マナ、ヤミ、ヒカリ! 報酬だ報酬!」
「新世界旅団にどっぷりもたれかかってただけだけど、まあありがたいわよねえ」
「えへ、えへへへ……!」
「ご褒美だってさ、ヒカリ!」
「美味しいもの食べられるね、ヤミ!」
思わぬ報酬にレオンくんや仲間達が浮かれて満面の笑みを浮かべている。新人さんらしくて良い姿だよ、こういうのが冒険者の醍醐味の一つだよねー。
ヤミくんにヒカリちゃんも子供らしく大はしゃぎでほっこりするよー。周りの大人、特にベルアニーさんなんか露骨に目尻が下がってる。おじーちゃんには孫みたいに見えてるのかなー?
とまあ、和む光景もそこそこにして、いよいよ本題に入る。本質的に部外者な煌めけよ光の面々はこれにて退場だ、手伝ってくれてありがとうー!
5人が退室して、スッキリしたギルド長室。ベルアニーさんはそして、さてと前置き程度に分かりきった話をシアンさんへと向けた。
「さて……エーデルライト団長、期せずして戦慄の群狼リーダーであるリューゼリア・ラウドプラウズと今ここで話し合いをできる状況が整ったわけだが……どうするね?」
「しない理由がないでしょう、ベルアニーギルド長。我々はワルンフォルース卿救出のため、打てる手を可能な限り打てるタイミングで打つべきなのですから──その前に自己紹介をさせていただきたくは思いますが」
当然と頷くシアンさん。その瞳は力強い光をもって、リューゼリア相手にも一歩も引かない様相だ。
そして……新世界旅団団長と戦慄の群狼リーダーの、初顔合わせが始まった。