飛び跳ねてサクラさんの刺突を避け、しかも反撃を仕掛けてくるリューゼリア。
慣れきった動きは熟練のもので、リンダ先輩がシアンさん相手に見せた技術を極めるとこんな風なるんだろう、と思える隙のないものだ。
「オルァッ!!」
「なんのっ!!」
反撃のザンバーを紙一重で避け、サクラさんは僕の傍にまで後退した。すかさず僕が彼女の前に立って杭打ちくんを構える。鉄壁の姿勢だ。
リューゼも着地して体勢を整え直す。仕切り直しだ……お互い多少の距離を開けて睨み合う。
僕の後ろにいるサクラさんを真っ直ぐに睨みつけ、レジェンダリーセブンの一角は鼻を鳴らした。
「なかなかやるじゃァねーか、褒めてやるよサクラとやら。だが今はそっちのソウマと旧交ってやつを温めてたんだよ、引っ込んでな。挨拶に横槍入れるなんざヒノモトもんの育ちが知れるぜ?」
挑発するように──いや実際挑発してるんだろうね──サクラさんを嘲る。リューゼはこの際、彼女を敵とまでは言わずとも邪魔者扱いはしているみたいだよー。
たしかに今くらいのやり取りは十分、挨拶の範疇に入るのが調査戦隊時代の僕とあいつの関係だ。だから主張は分からなくもないんだけれどね、それを初見の人に分かれなんてのも無茶なのは気づいてほしいねー。
サクラさんもサクラさんで、いつもの飄々とした素敵な笑顔ながら視線は鋭い。一触即発の冷たさがある眼差しだ。
たとえ挨拶だろうが、身内に刃を向けたからには容赦しないとその目は語っている。それでも見かけ上は物腰穏やかに、肩をすくめて彼女は告げるのだった。
「ずいぶんと過激な挨拶にござるなあ。とはいえソウマ殿はすでに我々新世界旅団の一員でござる。危害を加えるならば拙者、横槍も当然するでござるよ?」
「はぁん? 新世界旅団……しゃらくせーな。ソウマを取り込んで好き勝手やりてえだけと違うのか、しゃしゃり出てんじゃねーぞ雑魚助が。身内のやり取りなんだよこちとら、部外者は去ねや」
「ずいぶんと節穴でござるな、レジェンダリーセブン。拙者を舐めてかかる程度の輩がワカバ姫と同格扱いなど、調査戦隊というのも存外、大したことはなかったんでござるなァ」
「…………アァ?!」
あーあ、売り言葉に買い言葉ってこのことだよー。
リューゼリアがあからさまに新世界旅団を、シアンさんやサクラさんを侮辱した言葉を吐いちゃって、それにサクラさんがすかさず挑発を入れちゃった。
しかもデタラメを並べただけで単なる陰口程度の内容でしかないリューゼと違い、サクラさんはピンポイントであいつのキレるところを突いちゃってるし。
自分自身や調査戦隊を馬鹿にされるのが何より嫌なあいつにとって、サクラさんの今の言葉はダブルで逆鱗だろうねー。
言われたくないならそもそも言うなよって話ではあるんだし、ぶっちゃけ今回も先に舐めた口叩いたのはリューゼだから自業自得感はあるんだけど、そのへんは棚に上げるからねー。
大体、口喧嘩は滅法弱いんだからサクラさん相手に舌戦を挑むなって話だよ。ヒノモト人がやたら言い合いに強いの、ワカバ姉相手に大概分からされてたのにまったくー。
案の定、サクラさんは露骨に馬鹿にしたような笑みを浮かべて反撃していく。
「そ、れ、にー? もうソウマ殿は調査戦隊などではござらん。今や新世界旅団の象徴にして一員、つまりはこちら側でござる。昔の女がどの面提げて来たんだか知らんでござるが、彼女面は控えてほしいでござるなあ?」
「…………ははーん? ジンダイとやら、テメェどうやら死にてえらしいな。取り入るしか能のねえアバズレが、舐めてんじゃねえぞコラ」
「そちらこそどうやら迷宮の肥やしになりたいようでござるなァ。レジェンダリーセブンの一角はさぞかし良い養分となるでござろ、ござござ」
「…………あれぇー?」
もしかして結構どころじゃなく相性悪いのかな、この二人? 思わぬ成り行きの悪さにビックリしちゃった。
なんかめちゃくちゃ殺気立ってきてるよ二人とも、適当なところで言い合いを切り上げるかと思ったらなんかエスカレートしてるんですけどー?
思いの外ガチめなキレ方をしてるリューゼに、笑顔で煽りながらも青筋が立ってきてるサクラさん。揃って殺意込みの威圧を纏って、ちょっと待ってこれもう殺し合いの雰囲気──
「こっからは挨拶じゃ済まさねえ────おっ死ね、雌犬」
「上等でござるよ────死に晒せ、部外者」
蒼と金のオッドアイに殺意を漲らせ、ザンバーを掲げてリューゼリアが突進してきた! 狙いは僕じゃない、サクラさんだ!
こっちもこっちで深く腰を落としてカタナを構えて、返り討ちにしてやるって感じの怖い笑みだよー!?
紛れもなく二人とも殺る気だ、これもう挨拶どころじゃないよー!
一瞬の逡巡。
けれど僕はほぼノータイム、なんら迷うことなく杭打ちくんを構え、一気に踏み込み駆け抜ける!
「──悪いね、リューゼ」
「何っ!?」
狙いはリューゼリアただ一人。殺す気はない、程々の形で制圧して終わらせる。
どちらかを止めるならリューゼを止めるよ、だって僕は新世界旅団のソウマ・グンダリ!
こういう時は必ずサクラさんの味方だからねー!!
慣れきった動きは熟練のもので、リンダ先輩がシアンさん相手に見せた技術を極めるとこんな風なるんだろう、と思える隙のないものだ。
「オルァッ!!」
「なんのっ!!」
反撃のザンバーを紙一重で避け、サクラさんは僕の傍にまで後退した。すかさず僕が彼女の前に立って杭打ちくんを構える。鉄壁の姿勢だ。
リューゼも着地して体勢を整え直す。仕切り直しだ……お互い多少の距離を開けて睨み合う。
僕の後ろにいるサクラさんを真っ直ぐに睨みつけ、レジェンダリーセブンの一角は鼻を鳴らした。
「なかなかやるじゃァねーか、褒めてやるよサクラとやら。だが今はそっちのソウマと旧交ってやつを温めてたんだよ、引っ込んでな。挨拶に横槍入れるなんざヒノモトもんの育ちが知れるぜ?」
挑発するように──いや実際挑発してるんだろうね──サクラさんを嘲る。リューゼはこの際、彼女を敵とまでは言わずとも邪魔者扱いはしているみたいだよー。
たしかに今くらいのやり取りは十分、挨拶の範疇に入るのが調査戦隊時代の僕とあいつの関係だ。だから主張は分からなくもないんだけれどね、それを初見の人に分かれなんてのも無茶なのは気づいてほしいねー。
サクラさんもサクラさんで、いつもの飄々とした素敵な笑顔ながら視線は鋭い。一触即発の冷たさがある眼差しだ。
たとえ挨拶だろうが、身内に刃を向けたからには容赦しないとその目は語っている。それでも見かけ上は物腰穏やかに、肩をすくめて彼女は告げるのだった。
「ずいぶんと過激な挨拶にござるなあ。とはいえソウマ殿はすでに我々新世界旅団の一員でござる。危害を加えるならば拙者、横槍も当然するでござるよ?」
「はぁん? 新世界旅団……しゃらくせーな。ソウマを取り込んで好き勝手やりてえだけと違うのか、しゃしゃり出てんじゃねーぞ雑魚助が。身内のやり取りなんだよこちとら、部外者は去ねや」
「ずいぶんと節穴でござるな、レジェンダリーセブン。拙者を舐めてかかる程度の輩がワカバ姫と同格扱いなど、調査戦隊というのも存外、大したことはなかったんでござるなァ」
「…………アァ?!」
あーあ、売り言葉に買い言葉ってこのことだよー。
リューゼリアがあからさまに新世界旅団を、シアンさんやサクラさんを侮辱した言葉を吐いちゃって、それにサクラさんがすかさず挑発を入れちゃった。
しかもデタラメを並べただけで単なる陰口程度の内容でしかないリューゼと違い、サクラさんはピンポイントであいつのキレるところを突いちゃってるし。
自分自身や調査戦隊を馬鹿にされるのが何より嫌なあいつにとって、サクラさんの今の言葉はダブルで逆鱗だろうねー。
言われたくないならそもそも言うなよって話ではあるんだし、ぶっちゃけ今回も先に舐めた口叩いたのはリューゼだから自業自得感はあるんだけど、そのへんは棚に上げるからねー。
大体、口喧嘩は滅法弱いんだからサクラさん相手に舌戦を挑むなって話だよ。ヒノモト人がやたら言い合いに強いの、ワカバ姉相手に大概分からされてたのにまったくー。
案の定、サクラさんは露骨に馬鹿にしたような笑みを浮かべて反撃していく。
「そ、れ、にー? もうソウマ殿は調査戦隊などではござらん。今や新世界旅団の象徴にして一員、つまりはこちら側でござる。昔の女がどの面提げて来たんだか知らんでござるが、彼女面は控えてほしいでござるなあ?」
「…………ははーん? ジンダイとやら、テメェどうやら死にてえらしいな。取り入るしか能のねえアバズレが、舐めてんじゃねえぞコラ」
「そちらこそどうやら迷宮の肥やしになりたいようでござるなァ。レジェンダリーセブンの一角はさぞかし良い養分となるでござろ、ござござ」
「…………あれぇー?」
もしかして結構どころじゃなく相性悪いのかな、この二人? 思わぬ成り行きの悪さにビックリしちゃった。
なんかめちゃくちゃ殺気立ってきてるよ二人とも、適当なところで言い合いを切り上げるかと思ったらなんかエスカレートしてるんですけどー?
思いの外ガチめなキレ方をしてるリューゼに、笑顔で煽りながらも青筋が立ってきてるサクラさん。揃って殺意込みの威圧を纏って、ちょっと待ってこれもう殺し合いの雰囲気──
「こっからは挨拶じゃ済まさねえ────おっ死ね、雌犬」
「上等でござるよ────死に晒せ、部外者」
蒼と金のオッドアイに殺意を漲らせ、ザンバーを掲げてリューゼリアが突進してきた! 狙いは僕じゃない、サクラさんだ!
こっちもこっちで深く腰を落としてカタナを構えて、返り討ちにしてやるって感じの怖い笑みだよー!?
紛れもなく二人とも殺る気だ、これもう挨拶どころじゃないよー!
一瞬の逡巡。
けれど僕はほぼノータイム、なんら迷うことなく杭打ちくんを構え、一気に踏み込み駆け抜ける!
「──悪いね、リューゼ」
「何っ!?」
狙いはリューゼリアただ一人。殺す気はない、程々の形で制圧して終わらせる。
どちらかを止めるならリューゼを止めるよ、だって僕は新世界旅団のソウマ・グンダリ!
こういう時は必ずサクラさんの味方だからねー!!