「……詳細はベルアニーさんから聞いてると思うけど、僕らはこれからリューゼリア・ラウドプラウズが率いる"戦慄の群狼"のメンバーを探し当てる」
互いに挨拶もそこそこにして、僕はレオンくん達のパーティーみんなと改めて情報共有や今後の段取りについて確認していた。
ギルドを出て歩き、町を囲む砦の門へと向かいながらも話していく。
元調査戦隊メンバーにして現エウリデ騎士団長であるシミラ卿の処刑と、それに合わせてやってくるだろうレジェンダリーセブンの一員、リューゼ。
パーティー・戦慄の群狼を率いておそらくは怒りのままに暴れ倒すだろう彼女を制止すべく、今この近辺にやってきている部下ミシェルさんを探し当てるのだ。
サクラさんがこの件の重要性について、僕に続けて語ってくれる。
「ことはシミラ卿の命に関わり、ひいてはエウリデと冒険者ギルドの関係にも、果てはレジェンダリーセブンにさえ絡む案件でござる。迅速に確実にことを運ぶでござるよー」
「ま、マジでやべえ案件なんだな……ギルド長から話を受けた時に大体聞かされてるけど、こいつはワクワクするぜ!」
「ワクワクって、レオンあんたねえ……」
「びゃあああ……狂ってますぅぅ……」
エウリデ連合王国がマジでどうかなってしまう。そんな瀬戸際に一口噛むことになってレオンくんは慄きながらも、それでも瞳を煌めかせて歯を剥き出しにして笑っている。
ノノさんやマナちゃんが呆れというかビビりまくってるのに対して、あまりに豪胆な姿勢と言えるかもねー。
「なんだよ、しないのかよワクワク? 俺はするぜ、めっちゃする。国だのなんだのの規模の話に、一口だけでも噛ませてもらえるなんてマジでエキサイティング! 興奮するぜ!」
興奮して叫ぶ彼を、道行く人達がギョッとして見ているけど……まるで物怖じせずにいる。やっぱり大物、になるかもねこの人ー。
少なくとも冒険者として、すごく良い才能を持ってるのは間違いない。だから僕個人としては、そんな彼には初対面の時点から強く気にしてるんだけどねー。
誰から見ても厄介事なこの案件を前に、ここまでワクワクしていられるなんてのは率直にかなりヤバい。
でも、そのヤバさこそが冒険者の高みには必要なんだ。国をも左右するような事態も冒険と言えるからねー。物怖じしてるようだとなかなか、ロマンってやつを前に動けはしないものだよー。
「……面白いよね、彼。実力はまだまだだけど、アレは絶対に高みに到れるよ」
「で、ござるなあ。新米がこんなことに関わった挙げ句にエキサイティングと言うなんざ、いかにも杭打ち殿が気に入りそうな御仁にござるよ」
「お仲間さん達もなんだかんだついていくあたり、リーダーとしてもなかなか、なかなか……将来性十分って感じだねー」
「…………むう」
サクラさんにもレオンくんを推す僕。シアン団長にも劣らずゆくゆくは大成しそうだって思えるんだよ、レオンくんって冒険者は。
パーティーのリーダーとして、仲間達を引っ張っていく姿も様になっているしね。地下86階まで迂闊に降りてしまったりと判断力は未熟だけれど、それでもみんなで成長していけるタイプの冒険者だねー。
と、そんな風に一人首肯く僕に、隣で歩くヤミくんが尋ねてきた。
見れば唇を軽く尖らせて、どこかムスッとした顔している。どうしたんだろう?
「杭打ちさん、僕は……いや、僕とヒカリはどうかな? 杭打ちさんの目から見て将来性はありそう?」
「……? え、何をいきなり」
本当にどうしたのー、いきなりややこしそうな話を振ってくるんだねー。
将来性の有無なんて軽率に言えるわけもないんだけど、ヤミくんは自分と妹の冒険者としての適性とか、今後について知りたがってるみたいだ。
正直、冒険者になって間もない子供達がそんなことを気にするのは大分早いよー。それに将来性なんて、運と努力である程度はカバーできなくもないと思うし。
そんな感じにぼかしていると、ヒカリちゃんがつぶらな瞳をパチクリさせて双子の兄を見た。意外そうな顔をして、もしかしてって呟いたんだ。
「ヤミ、え……もしかして拗ねてる?」
「……違うよ? 僕らも冒険者になったんだから、そのへんは聞いておきたいだろ? だからだよ別にレオンさんに対抗心とか持ってないから」
「そ、そう……」
……どう見ても拗ねてるねこれー。ヤミくん、僕がレオンくんをかなり真面目に推してるからそれが気に食わないのかー。
可愛らしいヤキモチだねー。っていうかずいぶんと好かれちゃったもんだな、僕。
ヤミくんは割と大人びていて聡明な子ってイメージが強いんだけど、心を許せる人相手には甘えたがりになるのかもしれない。
ヒカリちゃんともどもまだまだ幼いんだ、当たり前だよねー。サクラさんも微笑ましそうに目を細めて、僕の耳元で囁いてくる。
「愛らしい慕われ方してるでござるなー。なんかいい感じのこと、言ったげてもいいのではござらぬか?」
「言われてもね……とりあえずよく食べてよく寝て、よく学んでよく育ちなよ、としか言えないしー……」
「ぼ、冒険以前の問題だった!?」
「いや……だって二人ともまだ10歳とかでしょ?」
冒険者として、というより人間として良い生活を送るのが先決だよ、どう考えてもー。
そう言うと双子は苦笑いした。そもそも子供なのだから、まずは子供らしくすくすく育つべきだからねー。
互いに挨拶もそこそこにして、僕はレオンくん達のパーティーみんなと改めて情報共有や今後の段取りについて確認していた。
ギルドを出て歩き、町を囲む砦の門へと向かいながらも話していく。
元調査戦隊メンバーにして現エウリデ騎士団長であるシミラ卿の処刑と、それに合わせてやってくるだろうレジェンダリーセブンの一員、リューゼ。
パーティー・戦慄の群狼を率いておそらくは怒りのままに暴れ倒すだろう彼女を制止すべく、今この近辺にやってきている部下ミシェルさんを探し当てるのだ。
サクラさんがこの件の重要性について、僕に続けて語ってくれる。
「ことはシミラ卿の命に関わり、ひいてはエウリデと冒険者ギルドの関係にも、果てはレジェンダリーセブンにさえ絡む案件でござる。迅速に確実にことを運ぶでござるよー」
「ま、マジでやべえ案件なんだな……ギルド長から話を受けた時に大体聞かされてるけど、こいつはワクワクするぜ!」
「ワクワクって、レオンあんたねえ……」
「びゃあああ……狂ってますぅぅ……」
エウリデ連合王国がマジでどうかなってしまう。そんな瀬戸際に一口噛むことになってレオンくんは慄きながらも、それでも瞳を煌めかせて歯を剥き出しにして笑っている。
ノノさんやマナちゃんが呆れというかビビりまくってるのに対して、あまりに豪胆な姿勢と言えるかもねー。
「なんだよ、しないのかよワクワク? 俺はするぜ、めっちゃする。国だのなんだのの規模の話に、一口だけでも噛ませてもらえるなんてマジでエキサイティング! 興奮するぜ!」
興奮して叫ぶ彼を、道行く人達がギョッとして見ているけど……まるで物怖じせずにいる。やっぱり大物、になるかもねこの人ー。
少なくとも冒険者として、すごく良い才能を持ってるのは間違いない。だから僕個人としては、そんな彼には初対面の時点から強く気にしてるんだけどねー。
誰から見ても厄介事なこの案件を前に、ここまでワクワクしていられるなんてのは率直にかなりヤバい。
でも、そのヤバさこそが冒険者の高みには必要なんだ。国をも左右するような事態も冒険と言えるからねー。物怖じしてるようだとなかなか、ロマンってやつを前に動けはしないものだよー。
「……面白いよね、彼。実力はまだまだだけど、アレは絶対に高みに到れるよ」
「で、ござるなあ。新米がこんなことに関わった挙げ句にエキサイティングと言うなんざ、いかにも杭打ち殿が気に入りそうな御仁にござるよ」
「お仲間さん達もなんだかんだついていくあたり、リーダーとしてもなかなか、なかなか……将来性十分って感じだねー」
「…………むう」
サクラさんにもレオンくんを推す僕。シアン団長にも劣らずゆくゆくは大成しそうだって思えるんだよ、レオンくんって冒険者は。
パーティーのリーダーとして、仲間達を引っ張っていく姿も様になっているしね。地下86階まで迂闊に降りてしまったりと判断力は未熟だけれど、それでもみんなで成長していけるタイプの冒険者だねー。
と、そんな風に一人首肯く僕に、隣で歩くヤミくんが尋ねてきた。
見れば唇を軽く尖らせて、どこかムスッとした顔している。どうしたんだろう?
「杭打ちさん、僕は……いや、僕とヒカリはどうかな? 杭打ちさんの目から見て将来性はありそう?」
「……? え、何をいきなり」
本当にどうしたのー、いきなりややこしそうな話を振ってくるんだねー。
将来性の有無なんて軽率に言えるわけもないんだけど、ヤミくんは自分と妹の冒険者としての適性とか、今後について知りたがってるみたいだ。
正直、冒険者になって間もない子供達がそんなことを気にするのは大分早いよー。それに将来性なんて、運と努力である程度はカバーできなくもないと思うし。
そんな感じにぼかしていると、ヒカリちゃんがつぶらな瞳をパチクリさせて双子の兄を見た。意外そうな顔をして、もしかしてって呟いたんだ。
「ヤミ、え……もしかして拗ねてる?」
「……違うよ? 僕らも冒険者になったんだから、そのへんは聞いておきたいだろ? だからだよ別にレオンさんに対抗心とか持ってないから」
「そ、そう……」
……どう見ても拗ねてるねこれー。ヤミくん、僕がレオンくんをかなり真面目に推してるからそれが気に食わないのかー。
可愛らしいヤキモチだねー。っていうかずいぶんと好かれちゃったもんだな、僕。
ヤミくんは割と大人びていて聡明な子ってイメージが強いんだけど、心を許せる人相手には甘えたがりになるのかもしれない。
ヒカリちゃんともどもまだまだ幼いんだ、当たり前だよねー。サクラさんも微笑ましそうに目を細めて、僕の耳元で囁いてくる。
「愛らしい慕われ方してるでござるなー。なんかいい感じのこと、言ったげてもいいのではござらぬか?」
「言われてもね……とりあえずよく食べてよく寝て、よく学んでよく育ちなよ、としか言えないしー……」
「ぼ、冒険以前の問題だった!?」
「いや……だって二人ともまだ10歳とかでしょ?」
冒険者として、というより人間として良い生活を送るのが先決だよ、どう考えてもー。
そう言うと双子は苦笑いした。そもそも子供なのだから、まずは子供らしくすくすく育つべきだからねー。