次々明らかになっていく、レジェンダリーセブン各人の解散後とエウリデはこの町へとやってくるかもしれない疑惑。
サクラさんと同じヒノモトの冒険者であるワカバ姉について、お国の関係者が再度の出奔を阻止するのでは? という疑惑もあったものの……誰がどう阻止できるのー? という話だし、まあ来るよねーって流れになっていたよー。
「出奔前の時点ですでにヒノモト屈指の剣豪だったのが、調査戦隊での日々で完全にぶっちぎり最強の剣神になってるでござる。今の姫をどうにかできる者など、拙者含めてヒノモトにはおらぬでござるなあ」
「サクラより強いのね、ワカバ・ヤマトさんって方は。というか同じS級でも、やっぱり実力差ってあるものなのね」
「そりゃーそうでござるよ、レリエ。こないだもソウマ殿一人に拙者と、あと元調査戦隊のシミラ卿が二人がかりで仕掛けてかるーく捻じ伏せられたでござる。3者ともに実力はSランク相当でござろうが、細かく見るとその中でも上下はあるのでござるねー」
からから笑うサクラさんだけど、どこか悔しさは滲み出ているようにも見える。シミラ卿とのタッグで僕相手に競り負けたの、やっぱり思うところあるみたいだね。
言ってもあんなのほんの小手調べ程度のやり取りだったし、マジで殺るところまで想定してやったら、どうなるかは全然、誰にもわからないと思うんだよー。
ま、それはともかくとして彼女の言う通りたしかに、一口にSランクって言ってもピンからキリまで人はいる。
最上級は間違いなくレイアだろうし、そのあたりのレベルまで来るとぶっちゃけサクラさんでもシミラ卿でも敵わないだろうなーってくらいの領域でもおかしくはないかなー。
ただ、例えばSランクになりたての人とかだとAランクと大差がないっていうか、毛が生えた程度って人もいなくはないからねー。
ひどいのになるとこの昨今でありながら、迷宮攻略法もろくに習得していない人だっているらしいよー? どう考えても腐敗政治の匂いがするんだけれど、エウリデ以外でも大変な国は大変そうだよー。
と、しみじみ考えているとモニカ教授がサクラさんの言葉にふと、ああそうだと反応した。
なんでもないことのように、まるで世間話をするようにあっけらかんと話す。
「そのシミラ卿のこともあるんだよ。リューゼ嬢はおそらく最速で来るだろうね……彼女は当時まだまだ未熟だったあのおかたい騎士様を、相当気に入っていたから」
「? え、シミラ卿に何かあるのー?」
「ん? おや、まだ知らないのかい? 冒険者ギルドにはそろそろお触れが出ていると思うのだけど」
きょとんと答える彼女の姿に、なんだか嫌な予感がしてくる。
リューゼリアがそんなに急いでこないといけないことに、今のシミラ卿は陥っちゃってるの? たしかにあの二人はやたら仲良しさんだったけど、そんな一団の長が最速で来る、なんてくらい急ぐ必要もないと思うんだけど……
こないだの一件もあったし、しばらく禁固刑とかにでもされたりするのかなー? もしそうなら明らかに不当な処分だ、さすがに僕も黙ってやしないよー?
緊張の一瞬。エウリデへの疑念が膨らむ中、教授はしかし予想を遥かに超える最悪な返答を返した。
「シミラ卿、国家反逆罪で処刑されるんだってさ」
「…………はあっ!?」
「馬鹿な!?」
「なんでンなことになってるでござる!?」
処刑!? 嘘だそんな、なんでそんなところにまで話が行くの!?
思わず叫ぶ。見ればシアンさんもサクラさんも驚きのあまり立ち上がり、目を見開いて開いた口が塞がらない様子でいる。
話だけは聞いていたレリエさんやケルヴィンくん、セルシスくんも唖然として教授を見ている。
そりゃそうだよ、ありえないよこんなの!
先日のオーランドくんとマーテルさんの一件はそりゃあ失敗、失態と言ってもいいかもだけど、それにしたって罰が重すぎる! ただの任務失敗で、それがどうして処刑になんてところにまで行き着くのさ!?
激高する僕達。それを眺めて一人、冷静に教授は紅茶を口に含む。
ただし、彼女も怒りを覚えてはいるみたいだ……瞳が極限まで冷たい。ガルシアさんに向けていた視線並みに冷え切った目を、窓から外、この町から離れたところにある王都のある方向に向けながらも淡々と話し始めた。
「こないだの、古代文明人マーテル取り逃がしの件だね……あれに加えて冒険者一人に騎士団がおめおめと引き下がったことも責に問われてのこと、だそうだよ」
「そんな……冒険者ギルドとも組んでる以上、彼女だけの責任だなんてできるはずが」
「そう、普通ならできるはずがない。あの一件は騎士団と冒険者ギルドとの連合での失態なのだから、シミラ卿の責任を追及するにしても同程度にはギルド長の責任も追及されなければならない。そもそもこの程度のことで死刑なんてありえないからね、本来なら」
シアンさんの疑問も、教授の見解も逐一ごもっともな話だ。いくらなんでも死刑なんて、たとえシミラ卿一人のみが総ての責任を取らされる羽目になったとしてもあまりに重すぎるよー。
サクラさんと同じヒノモトの冒険者であるワカバ姉について、お国の関係者が再度の出奔を阻止するのでは? という疑惑もあったものの……誰がどう阻止できるのー? という話だし、まあ来るよねーって流れになっていたよー。
「出奔前の時点ですでにヒノモト屈指の剣豪だったのが、調査戦隊での日々で完全にぶっちぎり最強の剣神になってるでござる。今の姫をどうにかできる者など、拙者含めてヒノモトにはおらぬでござるなあ」
「サクラより強いのね、ワカバ・ヤマトさんって方は。というか同じS級でも、やっぱり実力差ってあるものなのね」
「そりゃーそうでござるよ、レリエ。こないだもソウマ殿一人に拙者と、あと元調査戦隊のシミラ卿が二人がかりで仕掛けてかるーく捻じ伏せられたでござる。3者ともに実力はSランク相当でござろうが、細かく見るとその中でも上下はあるのでござるねー」
からから笑うサクラさんだけど、どこか悔しさは滲み出ているようにも見える。シミラ卿とのタッグで僕相手に競り負けたの、やっぱり思うところあるみたいだね。
言ってもあんなのほんの小手調べ程度のやり取りだったし、マジで殺るところまで想定してやったら、どうなるかは全然、誰にもわからないと思うんだよー。
ま、それはともかくとして彼女の言う通りたしかに、一口にSランクって言ってもピンからキリまで人はいる。
最上級は間違いなくレイアだろうし、そのあたりのレベルまで来るとぶっちゃけサクラさんでもシミラ卿でも敵わないだろうなーってくらいの領域でもおかしくはないかなー。
ただ、例えばSランクになりたての人とかだとAランクと大差がないっていうか、毛が生えた程度って人もいなくはないからねー。
ひどいのになるとこの昨今でありながら、迷宮攻略法もろくに習得していない人だっているらしいよー? どう考えても腐敗政治の匂いがするんだけれど、エウリデ以外でも大変な国は大変そうだよー。
と、しみじみ考えているとモニカ教授がサクラさんの言葉にふと、ああそうだと反応した。
なんでもないことのように、まるで世間話をするようにあっけらかんと話す。
「そのシミラ卿のこともあるんだよ。リューゼ嬢はおそらく最速で来るだろうね……彼女は当時まだまだ未熟だったあのおかたい騎士様を、相当気に入っていたから」
「? え、シミラ卿に何かあるのー?」
「ん? おや、まだ知らないのかい? 冒険者ギルドにはそろそろお触れが出ていると思うのだけど」
きょとんと答える彼女の姿に、なんだか嫌な予感がしてくる。
リューゼリアがそんなに急いでこないといけないことに、今のシミラ卿は陥っちゃってるの? たしかにあの二人はやたら仲良しさんだったけど、そんな一団の長が最速で来る、なんてくらい急ぐ必要もないと思うんだけど……
こないだの一件もあったし、しばらく禁固刑とかにでもされたりするのかなー? もしそうなら明らかに不当な処分だ、さすがに僕も黙ってやしないよー?
緊張の一瞬。エウリデへの疑念が膨らむ中、教授はしかし予想を遥かに超える最悪な返答を返した。
「シミラ卿、国家反逆罪で処刑されるんだってさ」
「…………はあっ!?」
「馬鹿な!?」
「なんでンなことになってるでござる!?」
処刑!? 嘘だそんな、なんでそんなところにまで話が行くの!?
思わず叫ぶ。見ればシアンさんもサクラさんも驚きのあまり立ち上がり、目を見開いて開いた口が塞がらない様子でいる。
話だけは聞いていたレリエさんやケルヴィンくん、セルシスくんも唖然として教授を見ている。
そりゃそうだよ、ありえないよこんなの!
先日のオーランドくんとマーテルさんの一件はそりゃあ失敗、失態と言ってもいいかもだけど、それにしたって罰が重すぎる! ただの任務失敗で、それがどうして処刑になんてところにまで行き着くのさ!?
激高する僕達。それを眺めて一人、冷静に教授は紅茶を口に含む。
ただし、彼女も怒りを覚えてはいるみたいだ……瞳が極限まで冷たい。ガルシアさんに向けていた視線並みに冷え切った目を、窓から外、この町から離れたところにある王都のある方向に向けながらも淡々と話し始めた。
「こないだの、古代文明人マーテル取り逃がしの件だね……あれに加えて冒険者一人に騎士団がおめおめと引き下がったことも責に問われてのこと、だそうだよ」
「そんな……冒険者ギルドとも組んでる以上、彼女だけの責任だなんてできるはずが」
「そう、普通ならできるはずがない。あの一件は騎士団と冒険者ギルドとの連合での失態なのだから、シミラ卿の責任を追及するにしても同程度にはギルド長の責任も追及されなければならない。そもそもこの程度のことで死刑なんてありえないからね、本来なら」
シアンさんの疑問も、教授の見解も逐一ごもっともな話だ。いくらなんでも死刑なんて、たとえシミラ卿一人のみが総ての責任を取らされる羽目になったとしてもあまりに重すぎるよー。