さておき今日あったことをザクッと話すよー。メインはやっぱりミシェルさんのことだねー。
レジェンダリーセブンが一人、リューゼが率いる"戦慄の群狼"の一員で、近々本拠地をこの町に置くらしいってことで偵察がてらやってきた彼女の模擬戦に付き合ったって話をしたら、シアンさんもサクラさんも興味津々に僕を見てくる。
「戦慄の冒険令嬢……リューゼリア・ラウドプラウズ! ついにレジェンダリーセブンの一角がこの町に帰還するのですね」
「ワカバ姫からいくらか話は聞いてるでござるよ、迷宮攻略法でもない何やら面妖な力を使う女傑だとか。調査戦隊の中でもとりわけ強かったと言っていたでござるが……」
リューゼっていうか、世界各地に散らばって今やエウリデには一人もいないレジェンダリーセブンが戻ってくるってところに食いつくシアンさん。
話を聞くに5年前、この人に僕の本名をわざわざバラしたのがあいつみたいだし面識はあるんだよね、一応。向こうはたぶん忘れてるだろうけどさ、興味ないことには一切記憶力が働かない脳みそしてるし。
一方でサクラさんは案の定っていうかなー、まずもって強さが気になってるみたいだ、さすがはヒノモトの冒険者。
ワカバ姉からも話を聞いてるみたいだね、たしかにリューゼは独自の特殊能力をもってるよ。迷宮攻略法みたいな人間の修練で身につけられるものじゃない、どちらかというとプリーストの法術に近しい天然の才能をね。
サクラさんのつぶやきに反応して教える。
「それは間違いないね、保証するよー。リューゼは調査戦隊でも5番目に強い冒険者だった。少なくとも解散時点ではワカバ姉より強かったよー」
「とんでもないでござるなー……姫は拙者をはるかに超えて、押しも押されもせぬヒノモト最強の冒険者でござるのに。それでも調査戦隊の中じゃ五指にも入れなかったんでござるなあ……」
「まあ……世界中から癖の強い人が集まってたからねー」
微妙な面持ちの彼女に、気休め程度だけどフォローしておく。ワカバ姉だってリューゼに近いレベルの実力者だったんだよー? ただまあ、3年前の時点だとちょっと差はあったのもたしかだねー。
僕、レイア、ミストルティン、ガルドサキス、そしてリューゼリア。上からこの順で固定されてたところはあるね、当時の調査戦隊は。少なくとも僕とレイアの二人は完全に不動の同率一位だったはずだよ、迷宮攻略法を獲得する前も後も。
でもあれから3年経って、リューゼももっと強くなってるはずなんだ。そうなると序列も当然変わってるだろう。たぶん鉢合わせたらそのまま戦闘になるだろうし、その時は3年前のリューゼを相手にする感じでいると負けちゃうかもねー。
そうかー、もうじきまた見ることになるのかーあのオッドアイが淡く煌めく幻想的なシーンを。金色と青色で左右それぞれ瞳の色が違う、美しい彼女の両目を幻視する。
「リューゼ……かぁ。ひさしぶりだよ、なんか懐かしいなー」
「…………ソウマくん。かつての仲間についてはさておき、そろそろメルルーク教授の件についてお話しませんか?」
「ん……と、そうですねー? とりあえずそっちが先でしょうしねー」
懐かしんでいると、なんかシアンさんが唇を尖らせてじっとりした目を僕に向けて提案してきた。メルルーク教授──元調査戦隊メンバーのモニカ・メルルークさんだ──について、リンダ先輩にありもしないデマを吹き込んだ疑惑が立っているからその件についての話だね。
いつ来るかも分からないリューゼを気にするよりはこっちのが先だよね。気持ちを切り替えていると、言い出したシアンさんにサクラさん、レリエさんが呆れた声をあげていた。
「団長……意外に縛りたい派でござる?」
「! い、いえ!? そんなことないわよ、サクラ!」
「フォルダ別保存と上書き保存の差、かしら? 数万年経っても、女の子は女の子ってわけね」
「なんの話かしら、レリエ!?」
指摘を受けてすぐさま頬を染め、あからさまにうろたえるシアンさん。なんだろう、珍しくってかわいいよー?
なんの話してるんだか分かんないけど、僕も混ぜてほしいよー。女子3人の息の合ったやりとり、僕も混ざりたいなー。
「ねーねーなんの話ー? 僕も混ぜてよー」
「いいでござるよー。あのねシアンってば、せっかく自分の──」
「サクラストップー! それ以上はダメですー!」
「えー」
「えー? でござござー」
直球で頼んだら意外とサクラさんの口が軽いよー。シアンさんが慌てて止めたけど、僕としては聞きたかったなー。
隣でレリエさんがクスクス笑う。少なくともそんな深刻な話じゃなさそうだし、軽い世間話なのかな。
ともあれストップ食らっちゃったし、僕は肩を落としつつも教授への聞き取り調査の段取りについて話すことにしたよー。
レジェンダリーセブンが一人、リューゼが率いる"戦慄の群狼"の一員で、近々本拠地をこの町に置くらしいってことで偵察がてらやってきた彼女の模擬戦に付き合ったって話をしたら、シアンさんもサクラさんも興味津々に僕を見てくる。
「戦慄の冒険令嬢……リューゼリア・ラウドプラウズ! ついにレジェンダリーセブンの一角がこの町に帰還するのですね」
「ワカバ姫からいくらか話は聞いてるでござるよ、迷宮攻略法でもない何やら面妖な力を使う女傑だとか。調査戦隊の中でもとりわけ強かったと言っていたでござるが……」
リューゼっていうか、世界各地に散らばって今やエウリデには一人もいないレジェンダリーセブンが戻ってくるってところに食いつくシアンさん。
話を聞くに5年前、この人に僕の本名をわざわざバラしたのがあいつみたいだし面識はあるんだよね、一応。向こうはたぶん忘れてるだろうけどさ、興味ないことには一切記憶力が働かない脳みそしてるし。
一方でサクラさんは案の定っていうかなー、まずもって強さが気になってるみたいだ、さすがはヒノモトの冒険者。
ワカバ姉からも話を聞いてるみたいだね、たしかにリューゼは独自の特殊能力をもってるよ。迷宮攻略法みたいな人間の修練で身につけられるものじゃない、どちらかというとプリーストの法術に近しい天然の才能をね。
サクラさんのつぶやきに反応して教える。
「それは間違いないね、保証するよー。リューゼは調査戦隊でも5番目に強い冒険者だった。少なくとも解散時点ではワカバ姉より強かったよー」
「とんでもないでござるなー……姫は拙者をはるかに超えて、押しも押されもせぬヒノモト最強の冒険者でござるのに。それでも調査戦隊の中じゃ五指にも入れなかったんでござるなあ……」
「まあ……世界中から癖の強い人が集まってたからねー」
微妙な面持ちの彼女に、気休め程度だけどフォローしておく。ワカバ姉だってリューゼに近いレベルの実力者だったんだよー? ただまあ、3年前の時点だとちょっと差はあったのもたしかだねー。
僕、レイア、ミストルティン、ガルドサキス、そしてリューゼリア。上からこの順で固定されてたところはあるね、当時の調査戦隊は。少なくとも僕とレイアの二人は完全に不動の同率一位だったはずだよ、迷宮攻略法を獲得する前も後も。
でもあれから3年経って、リューゼももっと強くなってるはずなんだ。そうなると序列も当然変わってるだろう。たぶん鉢合わせたらそのまま戦闘になるだろうし、その時は3年前のリューゼを相手にする感じでいると負けちゃうかもねー。
そうかー、もうじきまた見ることになるのかーあのオッドアイが淡く煌めく幻想的なシーンを。金色と青色で左右それぞれ瞳の色が違う、美しい彼女の両目を幻視する。
「リューゼ……かぁ。ひさしぶりだよ、なんか懐かしいなー」
「…………ソウマくん。かつての仲間についてはさておき、そろそろメルルーク教授の件についてお話しませんか?」
「ん……と、そうですねー? とりあえずそっちが先でしょうしねー」
懐かしんでいると、なんかシアンさんが唇を尖らせてじっとりした目を僕に向けて提案してきた。メルルーク教授──元調査戦隊メンバーのモニカ・メルルークさんだ──について、リンダ先輩にありもしないデマを吹き込んだ疑惑が立っているからその件についての話だね。
いつ来るかも分からないリューゼを気にするよりはこっちのが先だよね。気持ちを切り替えていると、言い出したシアンさんにサクラさん、レリエさんが呆れた声をあげていた。
「団長……意外に縛りたい派でござる?」
「! い、いえ!? そんなことないわよ、サクラ!」
「フォルダ別保存と上書き保存の差、かしら? 数万年経っても、女の子は女の子ってわけね」
「なんの話かしら、レリエ!?」
指摘を受けてすぐさま頬を染め、あからさまにうろたえるシアンさん。なんだろう、珍しくってかわいいよー?
なんの話してるんだか分かんないけど、僕も混ぜてほしいよー。女子3人の息の合ったやりとり、僕も混ざりたいなー。
「ねーねーなんの話ー? 僕も混ぜてよー」
「いいでござるよー。あのねシアンってば、せっかく自分の──」
「サクラストップー! それ以上はダメですー!」
「えー」
「えー? でござござー」
直球で頼んだら意外とサクラさんの口が軽いよー。シアンさんが慌てて止めたけど、僕としては聞きたかったなー。
隣でレリエさんがクスクス笑う。少なくともそんな深刻な話じゃなさそうだし、軽い世間話なのかな。
ともあれストップ食らっちゃったし、僕は肩を落としつつも教授への聞き取り調査の段取りについて話すことにしたよー。