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コート外にボールを見つけた桐畑は回収を終えて、更衣室へと走っていた。前方では、ブラムと遥香が向かい合っていた。ブラムは桐畑に背を向けており、他の人の姿はなかった。
「……アルマが、好きだから」
他の言葉は判別できなかった。だが、決定的な台詞だけは聞き取れた。予想外の事態に、桐畑は瞬時に固まる。ブラムと遥香は、同様に動きが止まっている。
「返事は、いつになっても良い。だけど俺は、アルマをずっとずっと守っていきたいと思ってる。だから、真剣に考えてくれ。一生のお願いだよ」
重く言葉を切るなり、ブラムは、桐畑とは逆方向へ歩き去っていった。桐畑の存在に気付いた様子はない。
緩い風が遥香の、自分のものではない髪を揺らす。しばらくして遥香は、鷹揚で、諦めたような笑顔を桐畑に向けてきた。
「桐畑君。ちょっと時間を貰えるかな? 人生相談があるんだ。まあ相談っていっても決定事項だから、一方的に聞いてもらうだけになるけどね」
過去にないほど、淡白な口調だった。困惑する桐畑は、「わかった」と囁くような声量で返した。
コート外にボールを見つけた桐畑は回収を終えて、更衣室へと走っていた。前方では、ブラムと遥香が向かい合っていた。ブラムは桐畑に背を向けており、他の人の姿はなかった。
「……アルマが、好きだから」
他の言葉は判別できなかった。だが、決定的な台詞だけは聞き取れた。予想外の事態に、桐畑は瞬時に固まる。ブラムと遥香は、同様に動きが止まっている。
「返事は、いつになっても良い。だけど俺は、アルマをずっとずっと守っていきたいと思ってる。だから、真剣に考えてくれ。一生のお願いだよ」
重く言葉を切るなり、ブラムは、桐畑とは逆方向へ歩き去っていった。桐畑の存在に気付いた様子はない。
緩い風が遥香の、自分のものではない髪を揺らす。しばらくして遥香は、鷹揚で、諦めたような笑顔を桐畑に向けてきた。
「桐畑君。ちょっと時間を貰えるかな? 人生相談があるんだ。まあ相談っていっても決定事項だから、一方的に聞いてもらうだけになるけどね」
過去にないほど、淡白な口調だった。困惑する桐畑は、「わかった」と囁くような声量で返した。