まぁ、ただ喋っただけじゃ、
どうせどっか行ってくれないんだろうけど.........
「おー、やっと喋った。
で?お前、そろそろ進路決まったわけ?」
ほら、やっぱりこの話し。
氷鷹先生は...............十希は、
先生である前に、幼なじみだから。
「............決まるわけないじゃん、やりたいことないのに」
「まぁ、画用紙塗り潰すぐらいだしな?」
いつも、誰よりも、
私の進路を、心配してくれる。
でもね、心配されたって、
進路が決まるわけじゃないし...............
〝やりたいことがない〟
それはつまり、
真っ黒に塗り潰した画用紙のように。
──────世界に色がないことだ。
「この画用紙と同じだよ、私、」
全部は言えなかったけど、
私は、うんと小さな声をこぼした。