今年も春薔薇が咲く。僕の庭で。それは唯一君が遺してくれた物。今年も僕は独りだった。だって君以外は特別に見れないのだもの。君の願いは、僕に新しいパートナーを作る事だったね。残念だけど、君の願いは叶いそうにないよ。もう僕に恋をする体力も気持ちもないから。誰かが言った。僕は過去に囚われていると。僕自身それを望んでいるのだから、いいじゃないか。それが楽で、踏み出す勇気もない。君を想っている時間が好きで、誰かを想う時間などないよ。無念だ。君がここにいないことが。

 僕たちは傍から見たら、普通では無かった。男同士のカップル。でも、それが僕たちの普通で、誰になんと言われようとも僕たちは僕たちだ。二人で完全体。僕たちは運命の番だったのかも知れないね。番を失った僕はどうすればいいのだろう。僕は囚われ彷徨う。それも一つの幸せだと僕は思う。