「ん……?」
ふと、目を覚ました俺は上半身を起こすと、辺りを見回した。
ああ、そういや意識失うギリギリで転移したんだったな。
「いやー頑張った……!」
そう言って、俺は体を伸ばす。
すると、俺が起きたことに気が付いたネムが、「きゅ! きゅ!」とはしゃいだ。
俺はそんなネムを優しく撫でると、色々と考える。
「んーさっきの戦いは成功っちゃ成功だけど、改善点は結構あるな。まあ、初めてやったことだから、仕方ないか……」
数多のスライムを使って、敵を数の暴力で圧倒する。そんな一見シンプルそうに見える戦術が、俺の切り札の1つだ。
だが、ただスライムを向かわせるだけでは、こっちの損害がめちゃくちゃ大きくなる。
そこで目をつけたのが、魔物を自身の下へ召喚する能力だ。
これを使えば、一瞬で殺されそうになっているスライムを、安全地帯へ避難させられると思ったのだ。
だけど、大量にいるスライムの中から、殺されそうになっているスライムを見つけるのは至難の業。
そんな問題の解決策として俺が目をつけたのが、空間把握ってわけだ。
あと、問題になるのは、俺自身が無防備になってしまうことだ。流石にこれをやると、どう考えても自分自身にまで手が回らない。
だったら、安全な場所で、遠距離から出来るようにすればいいじゃないということで、考案したのが、スライム越しにスライムを自身の下へ召喚する能力を行使することだ。例の如くこれも文献には一切のっていなかったが、スライム越しに”テイム”が使えるんだったら、これも使えるんじゃないかって思って試してみたんだ。
そしたら予想通り、使えたって訳だ。
「まあ、今回でだいぶ理解できた」
こんな大規模な戦い方、普段じゃまずできない。
森でやれないこともなかったが、手札はなるべく他者に見せたくない主義だからね。
で、ようやく本日使ってみた結果、改善点が見つかった。
まず……というよりはこれが全てなのだが、俺の思考速度が圧倒的に足りない。そのせいで、あの規模でも全然余裕は無かった。
「俺自身の思考速度は、自分で言うのもあれだがかなり速い。だが、頭打ちしつつある。なら、思考加速の出力を高めれば……いや、でもこっちはこっちで頭打ちだしな……」
俺の思考速度を、もっと上げる方法があれば……!
だが、そんな都合よくいかないのが世の常なんだ。
うーん。一応魔法陣を描く儀式魔法にすれば、準備が必要な分、出力はかなり上がるのだが……
「思考加速の儀式魔法なんて聞いたこと無いからなぁ……」
儀式魔法を創るには、普段俺が使っている詠唱魔法の魔法陣を完璧に理解し、かつそれを儀式魔法に最適化して描くという、最高クラスの専門家が代々受け継いで、ようやく完成するような代物だ。俺のような、ちょっとかじった程度の人間が手出しできる領域ではない。
「まあ、これは気長に探すか。それに少数なら、思考加速で全然間に合うし」
さっきは集団を、数の暴力でボコしたが、普通に考えて、あんな多くの魔物や人と戦うことなんてまずない。だから、思考加速を強化するという選択肢の優先順位はかなり低いのだ。それよりは、俺自身の実力を上げないと。流石にあれを他者に見せるわけにはいかないからね。
「さーてと。あ、そういや取り逃がした奴はどうなったんだろ?」
俺の領域外にいた魔物は、素通りさせてしまっている。故に、大体100匹ぐらいはシュレインへそのまま向かわせてしまったと思うのだが……大丈夫だろうか?
そう思い、俺はシュレインを出てすぐの所にいるスライムに視覚を移す。
すると、そこには……何も無かった。ただ、戦闘跡だけはある。
「とっくに倒してたのか。なら、安心だな。あーでも俺ってこの報酬金貰えないよなぁ……」
俺は頭を掻きながらそう言った。
俺が1番多く魔物を倒したのは確定だ。だが、彼らのもとへ行って、戦っていないのだから、報酬金なんて貰えるはずがない。
あー金は欲しいし、随分と惜しいことをしたなぁ……あ、でも俺って結構有力な情報を提供したから、その報酬金……は流石にもらえるはず!
「よし。そうと決まれば早速行くとしよう」
そうして、俺は直ぐに身支度を整えると、ネムと共に宿を出た。
出る際に、「あれ? いつの間に帰ってきてたんだい?」と聞かれビクッとしたが、上手いことごまかした。
ふと、目を覚ました俺は上半身を起こすと、辺りを見回した。
ああ、そういや意識失うギリギリで転移したんだったな。
「いやー頑張った……!」
そう言って、俺は体を伸ばす。
すると、俺が起きたことに気が付いたネムが、「きゅ! きゅ!」とはしゃいだ。
俺はそんなネムを優しく撫でると、色々と考える。
「んーさっきの戦いは成功っちゃ成功だけど、改善点は結構あるな。まあ、初めてやったことだから、仕方ないか……」
数多のスライムを使って、敵を数の暴力で圧倒する。そんな一見シンプルそうに見える戦術が、俺の切り札の1つだ。
だが、ただスライムを向かわせるだけでは、こっちの損害がめちゃくちゃ大きくなる。
そこで目をつけたのが、魔物を自身の下へ召喚する能力だ。
これを使えば、一瞬で殺されそうになっているスライムを、安全地帯へ避難させられると思ったのだ。
だけど、大量にいるスライムの中から、殺されそうになっているスライムを見つけるのは至難の業。
そんな問題の解決策として俺が目をつけたのが、空間把握ってわけだ。
あと、問題になるのは、俺自身が無防備になってしまうことだ。流石にこれをやると、どう考えても自分自身にまで手が回らない。
だったら、安全な場所で、遠距離から出来るようにすればいいじゃないということで、考案したのが、スライム越しにスライムを自身の下へ召喚する能力を行使することだ。例の如くこれも文献には一切のっていなかったが、スライム越しに”テイム”が使えるんだったら、これも使えるんじゃないかって思って試してみたんだ。
そしたら予想通り、使えたって訳だ。
「まあ、今回でだいぶ理解できた」
こんな大規模な戦い方、普段じゃまずできない。
森でやれないこともなかったが、手札はなるべく他者に見せたくない主義だからね。
で、ようやく本日使ってみた結果、改善点が見つかった。
まず……というよりはこれが全てなのだが、俺の思考速度が圧倒的に足りない。そのせいで、あの規模でも全然余裕は無かった。
「俺自身の思考速度は、自分で言うのもあれだがかなり速い。だが、頭打ちしつつある。なら、思考加速の出力を高めれば……いや、でもこっちはこっちで頭打ちだしな……」
俺の思考速度を、もっと上げる方法があれば……!
だが、そんな都合よくいかないのが世の常なんだ。
うーん。一応魔法陣を描く儀式魔法にすれば、準備が必要な分、出力はかなり上がるのだが……
「思考加速の儀式魔法なんて聞いたこと無いからなぁ……」
儀式魔法を創るには、普段俺が使っている詠唱魔法の魔法陣を完璧に理解し、かつそれを儀式魔法に最適化して描くという、最高クラスの専門家が代々受け継いで、ようやく完成するような代物だ。俺のような、ちょっとかじった程度の人間が手出しできる領域ではない。
「まあ、これは気長に探すか。それに少数なら、思考加速で全然間に合うし」
さっきは集団を、数の暴力でボコしたが、普通に考えて、あんな多くの魔物や人と戦うことなんてまずない。だから、思考加速を強化するという選択肢の優先順位はかなり低いのだ。それよりは、俺自身の実力を上げないと。流石にあれを他者に見せるわけにはいかないからね。
「さーてと。あ、そういや取り逃がした奴はどうなったんだろ?」
俺の領域外にいた魔物は、素通りさせてしまっている。故に、大体100匹ぐらいはシュレインへそのまま向かわせてしまったと思うのだが……大丈夫だろうか?
そう思い、俺はシュレインを出てすぐの所にいるスライムに視覚を移す。
すると、そこには……何も無かった。ただ、戦闘跡だけはある。
「とっくに倒してたのか。なら、安心だな。あーでも俺ってこの報酬金貰えないよなぁ……」
俺は頭を掻きながらそう言った。
俺が1番多く魔物を倒したのは確定だ。だが、彼らのもとへ行って、戦っていないのだから、報酬金なんて貰えるはずがない。
あー金は欲しいし、随分と惜しいことをしたなぁ……あ、でも俺って結構有力な情報を提供したから、その報酬金……は流石にもらえるはず!
「よし。そうと決まれば早速行くとしよう」
そうして、俺は直ぐに身支度を整えると、ネムと共に宿を出た。
出る際に、「あれ? いつの間に帰ってきてたんだい?」と聞かれビクッとしたが、上手いことごまかした。