シュレインの外に出た俺は直ぐに街道から逸れると、森へと向かって歩き出す。
そして、数分程で森に着いた俺は、右目の視覚をこの森にいるスライムの視覚に移す。
こうすることで、左目で周囲を警戒しつつ、右目で他の場所も警戒することが出来るのだ。
これ自体は5歳の時に既に思いついていたのだが、如何せん難易度が高すぎた。
何度も挑戦したが、その都度頭がこんがらがって、視界がぐっちゃぐちゃになる。
だが、何度も何度もそのロマン技を使えるようにする為に練習を続け、つい最近になってようやくまともに使えるようになったのだ。
俺は左目で周囲を警戒しつつ前へと進みながら、右目の視覚を、この森にいる様々なスライムに移して、魔物がどこにいるのかを探る。
「ん~……俺の周囲200メートルにはどうやらいないようだな。ただ、フィルの花はそこそこあるな」
魔物の姿は無く、逆にフィルの花は必要数あるという、理想的な状況だった。
だったら、魔物がいないうちにさっさとやるべきことを片付けないと。
そして、終わったら魔物を探して戦う。うん。完璧な作戦だ。
「じゃ、行くか」
俺はそう呟くと、右目が見ている場所へ向かって走り出した。
転移で行くことも可能だが、魔力は節約しないといけないんだよ。
あーもう。魔力がもっとあったらこんなに苦労しないのに。
そんな感じで魔力容量がほぼ平凡なことを不満に思いつつも走り続け、やがて1つ目のフィルの花がある場所へとたどり着く。
「ん……お、あったあった」
木の根元に4つ、黄色い花が見える。
これがフィルの花だ。
俺は念のため革袋から依頼書を取り出すと、そこに描かれているフィルの花と見比べる。
「……よし。同じだな」
まあ、この森で似ている花は生えていないので、間違えようが無かったのだが、これで確定した。
俺は依頼書をしまうと、フィルの花を根元から摘む。この時、根っこまで抜かないのがポイントだ。
依頼書にも書かれているが、これは根っこさえ残っていればまた生えてくる。だから、残しておいた方が良いのだ。
こうすれば、また採取出来るからね。
「これで4つか。あと16で終わりだな」
依頼では、この花を20本見つけてこいと書かれていた。
あと16本。この周辺に必要数生えていることは既に分かっているので、さっさと採取するとしよう。
俺は採取した4本のフィルの花をリュックサックから取り出した、革袋に入れると、右目の視覚を次の場所へと変え、歩き始める。
「きゅきゅきゅ?」
すると、ネムがどこか遠慮するような感じで、リュックサックから顔を出した。そして、俺の肩に飛び乗る。
ああ、そういやここは人目があまり無い森の中だから、出ても問題ないな。
ネムも、そのことを知ってて出て来たのだろう。だが、それでも少し自信が無く、遠慮がちになったのかな?
「うん。人前でなければ出てもいいからね。今なら問題ないよ」
「きゅきゅ!」
俺の言葉に、ネムは体を上下に動かして、嬉しそうに鳴き声を上げる。
俺はそんなネムを微笑ましく思いながらも次の場所へと到着すると、そこに生えているフィルの花を採取し、革袋に入れる。
それを何度か繰り返していたら、ものの30分程で必要数集まってしまった。
「よし。これで完璧」
俺は革袋の口を広げると、中に入っているフィルの花を見て、満足げな顔になる。
「きゅ?」
ネムも、まるで俺の動きを真似するかのように革袋の中を覗き込んだ。
「うん。これでやることは終わったから、後はやりたいことをやって時間を潰そう。取りあえず、これは念の為しまっておくか」
革袋に入れて持ち歩いていたら、何かの拍子で中に入れておいたフィルの花が駄目になってしまうかもしれない。
そう思った俺は空間収納を行使すると、その中にフィルの花が入った革袋を放り込んだ。
これで万が一も無い。
そして、代わりに宝物庫から盗……貰って来たミスリルの剣を取り出すと、その鞘を腰に付ける。
「これでよし。それじゃ、魔物を倒すか」
俺はそう呟くと、周囲500メートル以内にいるスライムたちに、魔物が近くにいる場合は鳴き声で教えるよう頼む。
すると、次々と「きゅきゅ!」と報告が来る。どうやらさっきと違って結構いるみたいだ。
「ん~……この中で1番近いのは……そこか」
俺はここから1番近い場所にいる魔物の場所を特定すると、右目をそのスライムの視覚に移す。
「やあっ!」
「おら!」
「はあっ!」
そこでは、冒険者たちとゴブリンの群れが戦っていた。見た感じ、その冒険者たちはそこまで強くはなさそうだが、それでも問題なくゴブリンを撃破していた。
「残念。先客いたか」
冒険者が近くにいる場合は除外しろ……と命令しておけば良かったなと思いつつも、俺は次に近い場所のスライムの視覚に移る。
すると、そこにはゆっくりと歩くゴブリンの群れがいた。
数は……6匹か。
そして、近くに冒険者がいる気配も無し。
「よし。初めての討伐相手はお前だな」
そう言ってニヤリと笑うと、俺はそこへ向かって走り出した。
そして、数分程で森に着いた俺は、右目の視覚をこの森にいるスライムの視覚に移す。
こうすることで、左目で周囲を警戒しつつ、右目で他の場所も警戒することが出来るのだ。
これ自体は5歳の時に既に思いついていたのだが、如何せん難易度が高すぎた。
何度も挑戦したが、その都度頭がこんがらがって、視界がぐっちゃぐちゃになる。
だが、何度も何度もそのロマン技を使えるようにする為に練習を続け、つい最近になってようやくまともに使えるようになったのだ。
俺は左目で周囲を警戒しつつ前へと進みながら、右目の視覚を、この森にいる様々なスライムに移して、魔物がどこにいるのかを探る。
「ん~……俺の周囲200メートルにはどうやらいないようだな。ただ、フィルの花はそこそこあるな」
魔物の姿は無く、逆にフィルの花は必要数あるという、理想的な状況だった。
だったら、魔物がいないうちにさっさとやるべきことを片付けないと。
そして、終わったら魔物を探して戦う。うん。完璧な作戦だ。
「じゃ、行くか」
俺はそう呟くと、右目が見ている場所へ向かって走り出した。
転移で行くことも可能だが、魔力は節約しないといけないんだよ。
あーもう。魔力がもっとあったらこんなに苦労しないのに。
そんな感じで魔力容量がほぼ平凡なことを不満に思いつつも走り続け、やがて1つ目のフィルの花がある場所へとたどり着く。
「ん……お、あったあった」
木の根元に4つ、黄色い花が見える。
これがフィルの花だ。
俺は念のため革袋から依頼書を取り出すと、そこに描かれているフィルの花と見比べる。
「……よし。同じだな」
まあ、この森で似ている花は生えていないので、間違えようが無かったのだが、これで確定した。
俺は依頼書をしまうと、フィルの花を根元から摘む。この時、根っこまで抜かないのがポイントだ。
依頼書にも書かれているが、これは根っこさえ残っていればまた生えてくる。だから、残しておいた方が良いのだ。
こうすれば、また採取出来るからね。
「これで4つか。あと16で終わりだな」
依頼では、この花を20本見つけてこいと書かれていた。
あと16本。この周辺に必要数生えていることは既に分かっているので、さっさと採取するとしよう。
俺は採取した4本のフィルの花をリュックサックから取り出した、革袋に入れると、右目の視覚を次の場所へと変え、歩き始める。
「きゅきゅきゅ?」
すると、ネムがどこか遠慮するような感じで、リュックサックから顔を出した。そして、俺の肩に飛び乗る。
ああ、そういやここは人目があまり無い森の中だから、出ても問題ないな。
ネムも、そのことを知ってて出て来たのだろう。だが、それでも少し自信が無く、遠慮がちになったのかな?
「うん。人前でなければ出てもいいからね。今なら問題ないよ」
「きゅきゅ!」
俺の言葉に、ネムは体を上下に動かして、嬉しそうに鳴き声を上げる。
俺はそんなネムを微笑ましく思いながらも次の場所へと到着すると、そこに生えているフィルの花を採取し、革袋に入れる。
それを何度か繰り返していたら、ものの30分程で必要数集まってしまった。
「よし。これで完璧」
俺は革袋の口を広げると、中に入っているフィルの花を見て、満足げな顔になる。
「きゅ?」
ネムも、まるで俺の動きを真似するかのように革袋の中を覗き込んだ。
「うん。これでやることは終わったから、後はやりたいことをやって時間を潰そう。取りあえず、これは念の為しまっておくか」
革袋に入れて持ち歩いていたら、何かの拍子で中に入れておいたフィルの花が駄目になってしまうかもしれない。
そう思った俺は空間収納を行使すると、その中にフィルの花が入った革袋を放り込んだ。
これで万が一も無い。
そして、代わりに宝物庫から盗……貰って来たミスリルの剣を取り出すと、その鞘を腰に付ける。
「これでよし。それじゃ、魔物を倒すか」
俺はそう呟くと、周囲500メートル以内にいるスライムたちに、魔物が近くにいる場合は鳴き声で教えるよう頼む。
すると、次々と「きゅきゅ!」と報告が来る。どうやらさっきと違って結構いるみたいだ。
「ん~……この中で1番近いのは……そこか」
俺はここから1番近い場所にいる魔物の場所を特定すると、右目をそのスライムの視覚に移す。
「やあっ!」
「おら!」
「はあっ!」
そこでは、冒険者たちとゴブリンの群れが戦っていた。見た感じ、その冒険者たちはそこまで強くはなさそうだが、それでも問題なくゴブリンを撃破していた。
「残念。先客いたか」
冒険者が近くにいる場合は除外しろ……と命令しておけば良かったなと思いつつも、俺は次に近い場所のスライムの視覚に移る。
すると、そこにはゆっくりと歩くゴブリンの群れがいた。
数は……6匹か。
そして、近くに冒険者がいる気配も無し。
「よし。初めての討伐相手はお前だな」
そう言ってニヤリと笑うと、俺はそこへ向かって走り出した。