私は田村若葉。大学の講義終わりにカフェに行こうとしたら突然めまいがして気づいたらここ、あやかし(?)っぽい和風のような異世界におり、戸惑いつつも現実世界へ帰るための情報収集をしながら、この世界ならではのコーヒーを堪能するべくカフェ開拓をしていた。
あらゆる通行人や店の人に聞き込みをしてみるも、返ってくるのは「さあ、知らないね」とか「むしろここ以外の、他の世界なんてあるのかい?」とか「漫画の読みすぎで頭おかしくなったー?」など…。まあ当然の答えですね、はい。
「だめだ…。一向に手がかりがない。早く現実世界に帰りたいというのに…」
情報収集を始めてすでに3時間近くは経つだろうか。さすがに疲れてきたので、私は偶然見つけた喫茶店でコーヒーでも飲みつつ休憩することにした。その喫茶店は外装も内装も都内カフェに負けないくらいオシャレであり、つい最近開業したのかな?と思うほどだった。適当なカウンター席に座った私は、とりあえずブレンドコーヒーという迷ったらとりあえずこれ!と言われるほどの定石メニューを注文した。
そうしてスマホでも触りながらぼーっとしていると、ブレンドコーヒーが運ばれてきた。冷めないうちにいただきますっと…。
「ふぃー、やっぱり疲れた後のコーヒーは体にしみるぜぇ…ん?」
なんて思いながら飲んでいる時だった。私が良く飲むコーヒーとは違い、どこか違和感を抱えた。するとバリスタさんが不思議そうに聞いてきた。
「お客様、どうかされましたか?もしかしてコーヒーに何か異物でも入っておられましたでしょうか?」
「いえ、そういうのではないのですが…」
いや厳密に言うと異物っちゃ異物かもしれないんだけど…正直に言うことにした。
「このコーヒー…アルコール入ってませんか?」
違和感の正体はコレ。飲んだ時、普通のコーヒーでは絶対に感じないような違和感を持ったんだから。そして次の瞬間、軽くフラッとした。この感覚間違いない…。酔っ払いと同じだ
「お客様、何を当たり前のことをおっしゃいますか。味噌汁に揚げや豆腐が入っていて、お客様は驚くというのですか?」
「えぇ…そうなんですか。(ふらっ)」
どうやらこの異世界(?)では、コーヒーにアルコールが入っていることはそれだけ当たり前なことらしい。文化の違いなんだなぁと思うことにした私は、これまでの経緯と手がかりについてダメもとで、バリスタの人に聞いてみた。しかし答えは予想していた通り。
「全然わかりません…。というかお客様はこことは別の世界から来た人なんですね。異世界人というやつですね。」
「そうなりますね。私からすればあなた方の方が異世界人ということになるんですよね」
「ええ、そうですね。ところでお客様、この世界のコーヒーは種類によって状態が変化するというのはご存じでしたか?」
「え?状態?」
詳しく話を聞いてみたところ、この世界におけるコーヒーは私がついさっきまでいた現実世界とは大きく異なるもので、味自体は
ほぼ一緒でもこのコーヒーみたいにアルコールが入っていたり、コーヒーによって体や心の状態、場合によっては能力までもが一定時間変化するというなんとも興味深いものだった。…やばい、今すぐ情報収集をそっちのけにしてコーヒー巡りに変更したくなった。
「ちなみにお客様が今飲んだブレンドコーヒーですと大した変化はなく、せいぜい気持ちよくなったり、軽くふらふらするといったところでしょうか?」
「そ、そうなんですね…(ふらっ)」
うん、現実世界で言うまんま「酒」だなそりゃ。そしてこの店には他にもいくつかコーヒーの種類があったので、せっかくの機会という意味合いも込めてこんな質問をしてみた。
「あの、この喫茶店の他のコーヒーは、どんな効果があるんですか?」
「ふっふっふお客様、他にも飲んでみますか?」
バリスタ店員のやや不敵な笑みに私は一瞬怖気ついたが、それでも飲んでみたい欲が勝ってしまい、思わずメニュー表にあった「アメリカン」を注文することにした。これもカフェとかにはよくあるメニューなのでブレンドと同じく、軽く酔うかもう少し派手に酔うとか、そんなところだろうと勝手に思っていた。
けどそれは大きな油断だった。アメリカンを飲んだ瞬間、私は突然席を立ち、口調が変わってしまった。
「How delicious this coffee!!(このコーヒーはなんておいしいんだ!!)」
「Be over the moon!!!!!(まるで天に上るほどだ!!!!)」
「それは何よりです」
あろうことか私は突然英語をしゃべってしまった。しかも口調やテンションもアメリカ人風に。我に返った瞬間私は顔が真っ赤になり、取り乱してしまったことを勢いよく謝罪した。周りのお客さんも私の方を向き、「なんだあの変人…」みたいな目で見られてすごく恥ずかしかった…。
「すすすすすすみません!!私公共の場で思わず…」
「いえいえ、これもアメリカンの効果です。」
いやこんなのびっくりするわ…。この世界では様々なコーヒーの味と効果を親しまれているみたいだけど、正直言って飲みづらい。アメリカンもブレンドも私は好きなのに、こうなってしまうのでは気軽に飲むこともできない。アメリカンでこうなるんだったら他のコーヒーだとどうなるんだろう…?
うぅ…全種類の効果を覚えるまではブレンドで我慢。…って大変すぎるわ!
そしてそれなりにゆったりしていると、新たな男性客が来店し、ブレンドを注文した。この世界の人たちって本当にみんなコーヒーが好きなんだな。私も好きだからよくわかる。
そして男性客にブレンドが運ばれると、男性客はすぐさまブレンドを飲んだ。なるほどこの人もコーヒーの酔いに癒されに来たんだと、仲間だぁ…と心で思っていたのは一瞬だけであり、次の瞬間男性客は立ち上がって、なんとこっちに近づいてきた。
「!?!?!?」
これも酔っ払いなのか、その男性はいきなり私の方に手を置き、笑顔でこんなことを言った。
「君、体スリムだな!良かったらこれから俺とホテ…」
ブンッ!!!!
「うぎゃああああああああああ!!」
あまりに意味不明な事を突拍子なく言われたので、感情ゼロにして男性客の顔面めがけてパンチをかまし、男性は入り口ドアに衝突した。かなーり手加減をしたため致命傷にも至らずドアにも支障はきたしていないが、男性の顔はまるでブレス機で押しつぶされたかのように潰れていた。あら大変(ニッコリ)
「おおおおお客様、大丈夫ですか!?」
突然の出来事にバリスタさんは慌てて怪我した男性の方に駆け寄り、周りのお客さんも私たちの方に注目した。あー、修羅場だ…。
気まずかったので軽く謝罪だけして、私は情報収集を再開するのであった。アルコールを飲むときは分をきちんと弁えて飲むように。
あらゆる通行人や店の人に聞き込みをしてみるも、返ってくるのは「さあ、知らないね」とか「むしろここ以外の、他の世界なんてあるのかい?」とか「漫画の読みすぎで頭おかしくなったー?」など…。まあ当然の答えですね、はい。
「だめだ…。一向に手がかりがない。早く現実世界に帰りたいというのに…」
情報収集を始めてすでに3時間近くは経つだろうか。さすがに疲れてきたので、私は偶然見つけた喫茶店でコーヒーでも飲みつつ休憩することにした。その喫茶店は外装も内装も都内カフェに負けないくらいオシャレであり、つい最近開業したのかな?と思うほどだった。適当なカウンター席に座った私は、とりあえずブレンドコーヒーという迷ったらとりあえずこれ!と言われるほどの定石メニューを注文した。
そうしてスマホでも触りながらぼーっとしていると、ブレンドコーヒーが運ばれてきた。冷めないうちにいただきますっと…。
「ふぃー、やっぱり疲れた後のコーヒーは体にしみるぜぇ…ん?」
なんて思いながら飲んでいる時だった。私が良く飲むコーヒーとは違い、どこか違和感を抱えた。するとバリスタさんが不思議そうに聞いてきた。
「お客様、どうかされましたか?もしかしてコーヒーに何か異物でも入っておられましたでしょうか?」
「いえ、そういうのではないのですが…」
いや厳密に言うと異物っちゃ異物かもしれないんだけど…正直に言うことにした。
「このコーヒー…アルコール入ってませんか?」
違和感の正体はコレ。飲んだ時、普通のコーヒーでは絶対に感じないような違和感を持ったんだから。そして次の瞬間、軽くフラッとした。この感覚間違いない…。酔っ払いと同じだ
「お客様、何を当たり前のことをおっしゃいますか。味噌汁に揚げや豆腐が入っていて、お客様は驚くというのですか?」
「えぇ…そうなんですか。(ふらっ)」
どうやらこの異世界(?)では、コーヒーにアルコールが入っていることはそれだけ当たり前なことらしい。文化の違いなんだなぁと思うことにした私は、これまでの経緯と手がかりについてダメもとで、バリスタの人に聞いてみた。しかし答えは予想していた通り。
「全然わかりません…。というかお客様はこことは別の世界から来た人なんですね。異世界人というやつですね。」
「そうなりますね。私からすればあなた方の方が異世界人ということになるんですよね」
「ええ、そうですね。ところでお客様、この世界のコーヒーは種類によって状態が変化するというのはご存じでしたか?」
「え?状態?」
詳しく話を聞いてみたところ、この世界におけるコーヒーは私がついさっきまでいた現実世界とは大きく異なるもので、味自体は
ほぼ一緒でもこのコーヒーみたいにアルコールが入っていたり、コーヒーによって体や心の状態、場合によっては能力までもが一定時間変化するというなんとも興味深いものだった。…やばい、今すぐ情報収集をそっちのけにしてコーヒー巡りに変更したくなった。
「ちなみにお客様が今飲んだブレンドコーヒーですと大した変化はなく、せいぜい気持ちよくなったり、軽くふらふらするといったところでしょうか?」
「そ、そうなんですね…(ふらっ)」
うん、現実世界で言うまんま「酒」だなそりゃ。そしてこの店には他にもいくつかコーヒーの種類があったので、せっかくの機会という意味合いも込めてこんな質問をしてみた。
「あの、この喫茶店の他のコーヒーは、どんな効果があるんですか?」
「ふっふっふお客様、他にも飲んでみますか?」
バリスタ店員のやや不敵な笑みに私は一瞬怖気ついたが、それでも飲んでみたい欲が勝ってしまい、思わずメニュー表にあった「アメリカン」を注文することにした。これもカフェとかにはよくあるメニューなのでブレンドと同じく、軽く酔うかもう少し派手に酔うとか、そんなところだろうと勝手に思っていた。
けどそれは大きな油断だった。アメリカンを飲んだ瞬間、私は突然席を立ち、口調が変わってしまった。
「How delicious this coffee!!(このコーヒーはなんておいしいんだ!!)」
「Be over the moon!!!!!(まるで天に上るほどだ!!!!)」
「それは何よりです」
あろうことか私は突然英語をしゃべってしまった。しかも口調やテンションもアメリカ人風に。我に返った瞬間私は顔が真っ赤になり、取り乱してしまったことを勢いよく謝罪した。周りのお客さんも私の方を向き、「なんだあの変人…」みたいな目で見られてすごく恥ずかしかった…。
「すすすすすすみません!!私公共の場で思わず…」
「いえいえ、これもアメリカンの効果です。」
いやこんなのびっくりするわ…。この世界では様々なコーヒーの味と効果を親しまれているみたいだけど、正直言って飲みづらい。アメリカンもブレンドも私は好きなのに、こうなってしまうのでは気軽に飲むこともできない。アメリカンでこうなるんだったら他のコーヒーだとどうなるんだろう…?
うぅ…全種類の効果を覚えるまではブレンドで我慢。…って大変すぎるわ!
そしてそれなりにゆったりしていると、新たな男性客が来店し、ブレンドを注文した。この世界の人たちって本当にみんなコーヒーが好きなんだな。私も好きだからよくわかる。
そして男性客にブレンドが運ばれると、男性客はすぐさまブレンドを飲んだ。なるほどこの人もコーヒーの酔いに癒されに来たんだと、仲間だぁ…と心で思っていたのは一瞬だけであり、次の瞬間男性客は立ち上がって、なんとこっちに近づいてきた。
「!?!?!?」
これも酔っ払いなのか、その男性はいきなり私の方に手を置き、笑顔でこんなことを言った。
「君、体スリムだな!良かったらこれから俺とホテ…」
ブンッ!!!!
「うぎゃああああああああああ!!」
あまりに意味不明な事を突拍子なく言われたので、感情ゼロにして男性客の顔面めがけてパンチをかまし、男性は入り口ドアに衝突した。かなーり手加減をしたため致命傷にも至らずドアにも支障はきたしていないが、男性の顔はまるでブレス機で押しつぶされたかのように潰れていた。あら大変(ニッコリ)
「おおおおお客様、大丈夫ですか!?」
突然の出来事にバリスタさんは慌てて怪我した男性の方に駆け寄り、周りのお客さんも私たちの方に注目した。あー、修羅場だ…。
気まずかったので軽く謝罪だけして、私は情報収集を再開するのであった。アルコールを飲むときは分をきちんと弁えて飲むように。