私は、部長の私と副部長の二人のLINEグループで、二人に聞いてみた。
 副部長の一人はフルートパート、もう一人はトロンボーンパートである。

『二人も知ってると思うけどさ、バリサクの子のことなんだけど』
『ああ……ペット(トランペット)の人たちがいらないって言ってたやつ?』
『正直言ってあの人たちには勝てないよ……部長なら言えるでしょ?』

 やっぱり、私があいつらに言うべきなのか?
 前に言い争ったことはあったけど……言い合っただけで決着つかなかったからなー。

『負けはしないけど、向こうも折れないからケンカになるっつーの 二人はバリサクの子どう思ってるん?』

 他のパートの人がどう思ってるのか、率直に知りたかったんだよな。

『すごいんじゃない? まだ半年しかやってないのにあのレベルって』
『私のフルートも結構 肺活量いるけど、バリサクもいるんでしょ? 音もちゃんと出てるしいいんじゃない?』

 二人ともあの子に肯定的な意見……よし、聞いてみるか。

『じゃあ二人は、あの子はいると思うか?』
『うーん……いるとは思うけど……』
『私もいるとは思うけど、理由を聞かれたら答えられないっていうか……』
『ふーん、了解』

 私はさっき思いついたあのことに価値を見出した。

「あー、なんでこいつら分かんねぇんだろ。私だけかよ。副部長なのになんで分かってねぇんだよ!」

 それなら実行してみる価値はある。
 部活から離れれば、あの子の心は少し軽くなるだろう。そして、バリサクがいなくなった上で合奏をして分からせるしかない。

 まずは顧問とだな…………戦闘準備。