部活からの帰り際、私は目に涙を浮かべていた。突然、部長から呼び止められる。
部長はクラリネットパートのリーダーで、市内の中学生で一番うまいと言われる実力派だ。先輩からも同級生からも怖がられており、言葉がキツいのでよく萎縮させている。
「そんなに部活、キツいの?」
私にはそれが意味ありげに聞こえたが、正直に言ってみた。
「……居場所ないですし、パート練習の時に嫌がらせされるんです」
「それなら部活、やめたら? やめたら楽になるんじゃない? もしかしてそうかなって思って、退部届持ってきたから」
目の前に黄色い紙が突きつけられる。めまいがした。濃く太い明朝体で書かれた『退部届』の文字が吐き気をもよおす。
これは……部長から「やめろ」と言われているようなもの。どうして。部員がやめることに抵抗はないの?
「書いたら顧問に渡してよ。あ、私でもいいから。それじゃあね」
この涙を止めてくれるかと思った自分を殴りたかった。出る量が何倍にもなっただけだった。
その時、黄色い紙に重なって見えなかった白い紙を見つけた。
部長はクラリネットパートのリーダーで、市内の中学生で一番うまいと言われる実力派だ。先輩からも同級生からも怖がられており、言葉がキツいのでよく萎縮させている。
「そんなに部活、キツいの?」
私にはそれが意味ありげに聞こえたが、正直に言ってみた。
「……居場所ないですし、パート練習の時に嫌がらせされるんです」
「それなら部活、やめたら? やめたら楽になるんじゃない? もしかしてそうかなって思って、退部届持ってきたから」
目の前に黄色い紙が突きつけられる。めまいがした。濃く太い明朝体で書かれた『退部届』の文字が吐き気をもよおす。
これは……部長から「やめろ」と言われているようなもの。どうして。部員がやめることに抵抗はないの?
「書いたら顧問に渡してよ。あ、私でもいいから。それじゃあね」
この涙を止めてくれるかと思った自分を殴りたかった。出る量が何倍にもなっただけだった。
その時、黄色い紙に重なって見えなかった白い紙を見つけた。