僕は岡田卓也。現在は超駆け出しフリーランスとして日々実績とスキルを積み重ねつつ、いっぱしのフリーランスとして生活していけるようになることが今の目的だ。
さてそんな中、よさげなカフェがないかと探していると路地裏沿いにカフェらしき店を見つけた。「浪漫」という名前であり、緑色の屋根に茶色のやや古びたドアの外装で、いかにも老舗のカフェだなと思いつつ、ここで一服しようかとも迷った。けど他にカフェ探すのも手間だし何より足がもう限界だ…。なので僕はここのカフェで一休みすることにした。
「いらっしゃいませ。好きな席にどうぞ」
店に入ると内装はいかにも老舗のカフェだなって感じで、一言で言えば「レトロ」だった。でも僕はこういう雰囲気のカフェも大好きで、ちょっと高級そうなシャンデリアと店内の隅々に飾られてある昔ながらの骨董品がこの店の雰囲気をいい感じに醸し出していた。ちなみにあまり通りの少ない場所にあるためか、客は僕以外いない。マスターさんは50代くらいの男性の温厚な見た目の人で、ここでの仕事を心から楽しんでいるように見えた。…けど、どこか顔がやつれているようにも見えたのは気のせいだろうか?
「ご注文はお決まりですか?」
「えっと、じゃあキリマンジャロブレンドで」
「かしこまりました」
コーヒーを注文してから数分後、キリマンジャロブレンドがやってきた。冷めないうちにコーヒーを頂くことにしよう。
「…!! 爽やかな味わいで美味しい」
美味しいコーヒーで旅の疲れが一気に溶けていくのが感じられる。せっかくだしここで仕事もしちゃおうと思った僕は鞄からパソコンとマウスを取り出し、仕事をした。やっぱり捗るなあ。好きな場所での自分のペースで仕事…これだからフリーランスはやめられない!と思った僕は、それからも仕事に入り浸っていた。こんな至福の時間がこのままずっと続いてほしいと願っていたが、それから数十分後、その空気はぶち壊されることになる。
「いらっしゃいませ…はぁ」
「おうマスター、今日もいつもの頼むな?」
「…?」
新たな来客が来た。その男性はけだるそうな人で目つきが悪い。僕とはちょっと離れたカウンター席に座り、スマホを取り出して触っていた。うわぁーなんか苦手な人だなぁ。やっぱりパソコン片づけてコーヒーさっさと飲んで出発しよう…と思った僕は、なるべく目を合わせないように、静かにコーヒーを飲んだが次の瞬間、僕は驚愕した。
「おい、いっつも思ってんだけどよ、おせぇんだよ!なんでコーヒーとケーキ注文しただけで20分もかかんだよ!」
「申し訳ございません…。どうしても時間がかかってしまうもので…」
「それをなんとか早くするのがプロだろ?全く…」
うわー予想通り嫌な客だった。それくらいで文句を言うのって人として恥ずかしくないんだろうか?というか20分って、遅い方なのか?せめてこれだけで終わってほしいと思っていたのだがそうは問屋が卸さなかった。しかもそれは僕が想定していた中で一番最悪なパターンだった。
「…おい、そこのお前。今俺のことチラ見したたよな?」
「へ!?」
「とぼけてんじゃねーぞ?」
「おおおお、お客様!店内での迷惑行為はどうかおやめください!ご不満事は全て私に申してください!」
「うるせえ、おめえじゃねーだろうが。黙って俺が注文したものを用意しとけ!」
目つきの悪い客はマスターに向かってそう言うと、さっきの続きと言わんばかりにこちらに寄ってきた。完全に目をつけられた。…いやいや怖いんですけど?
「お前、見てたよな俺の事?あぁ?」
「いや、そんなことは…」
「嘘ついてんじゃねえ。これ以上しらを切るようならちょっと痛い目に合わせるぞ?」
「い、痛い目!?」
「お客様!これ以上は警察呼ばせていただきますよ!?」
「あ?そんなんが脅しになるか。やってみろよ」
あぁ、これやばいな…。1歩間違えると僕はこいつに殴られかねない。どうかそれは避けたいと思っていたが、それすらも怪しくなってきた。
「舐めてんのか?そういうことだよなぁ?てめぇ許さねーぞ!?」
ブン!
いやいやどこをどう見たら舐めてる認識した!?というかそれくらいで殴るって、こいつ思った以上に短気だな!てかそんなこと考えてる場合じゃない!このままじっとしているのもまずいと思った僕は思わずふりかかる拳に身を固める!…しかし、その拳が僕に直撃することはなかった。…寸前で止まっていた・
「な!?動かねぇ!」
「!?」
自分でも何が起きたのか分からないでいると次の瞬間、どこかから声がした。
「ええんかこのままで?このままやと終わらんぞ?」
「!?」
「この状況を何とかしたいんやったら、方法は1つやなあ」
「…そんなのやだ!なんとかしたい!」
「よう言ったな。なら自分が力を貸したろう。」
ふと僕は無意識にこんなことを言っていた。どこかで聞いたことがある声と共に、僕は気づいたら迎撃態勢になっていた。!?!?!?いや待って、そもそも僕戦う気はないんですが…でもなぜか体が勝手に…!
「なんだお前、やんのか?」
「先に手を出したのはそっちだぞ?もう文句は言えないな?」
「…お、おう、上等だ!かかって来いよ!」
そして僕は無意識にこんなことを言ってしまっていた。いやいやこれまずくないか!?これ完全にやばいやつ…!というか僕、喧嘩で勝てる自信0.001%なんですが…。これ完全に取り返しのつかないことになるな…と覚悟していたが、その心配は杞憂に終わった。
「今度こそ食らいやがれ!…な!?」
「遅い、それが本気か?失望したな…」
「く…馬鹿にしやがって…」
相手の体勢が悪くなった。その時、また声がした。
「今や自分、相手の顔を思い切り蹴り抜け」
「…ああ、りょーかいっ! おりゃ!」(バキッ!!)
「ぐあああああああああ!」
「おおおおお客様!」
自分の意識とは反対に、無我夢中で僕は相手の顔面を全力でけり抜いた。その威力は自分でも想像できないほどで、相手はドアに思いっきりぶつかった。
「いってぇ…」
「おい、この店にこれ以上来ないことを約束するならお前を殴りはしない。だが約束しないというなら…」
「ひ、ひぃ!申し訳ございませんでしたーーーー!うわあああああん!」
そう言ってケンカを売ってきた男は、泣き虫の子供のごとく、泣きながら出ていった。なんてかっこわ悪いやつだったんだろうと思った瞬間、自分は我に返った。さっきまで自分に宿っていた不思議なパワーもすっかり抜けていた。
「え…僕は一体何を…!?」
「お客様!お怪我はありませんか!?」
「あ、いえ、僕は大丈夫です…」
「それは本当に良かったです!それにしても、本当にありがとうございます!!あの方を追い払ってくださって!!」
「え、あ…はい?」
あ…そういえば思いっきり僕らこの店で暴れてたわ…。戦闘に夢中ですっかり忘れてた。
「いえ、こちらこそ店内で派手に暴れてしまって…その…申し訳ないです。壊れた物とかはありませんか!?」
「お客様は何も悪くありません!!すべてはあの方が元凶なのですから!それに幸いなことに、確認したところ器物破損とみられるものは何もございません!」
「あ、それは良かったです…」
「それとお客様…この店を守ってくださったお礼としてこの店の無料券と、この店は別で宿泊施設があり、こちらは普段別料金でお客様にお貸ししているのですが、あなたには無料で貸し出しいたします!もし旅で止まる場所がございませんでしたら…今夜はこの店に泊まっていきませんか?」
「え、いいんですか!?それは普通に嬉しいんですが…」
まさかの展開になった…。正直今日は日帰りの予定で、このあと1か所だけどこか寄って帰ろうと思っていたけど、宿泊できるなら今日の旅も延長できる上、明日も日中まではこの辺をまた旅できるし、願ってもない幸運だった。
そして僕はマスターにお礼を言いつつ案内してもらった部屋で荷物を置いた後、この後また出かける前にちょっと疲れたのでベッドで横になった。ちなみにマスターに話を聞いたところ、さっき来たあの迷惑客はどうやら以前からこの店に来ては今日みたいな嫌がらせを頻繁にマスターにしていた。人が全然いなかったのも、マスターの顔がやつれているように見えたのもそういうことだったのかと思い、僕が店内で暴れたことは正解だったのかなとも思った。何よりこれからどんどん人が増えること、マスターが元気になれることを想像するのが僕は嬉しかった。それにしても…
「さっきのあの感覚…まさか、こないだのタヌキが…?」
突然聞こえた声と言い、そう考えるのが一番自然だった。正直急展開だらけでまだまだ自分の理解が全然できていないけど、1つ思えるのは…
「タヌキさん、ありがとうございます。」
ちなみにその日は出かけることはなく、ベッドで寝落ちしてしまった。…まあいいか。
さてそんな中、よさげなカフェがないかと探していると路地裏沿いにカフェらしき店を見つけた。「浪漫」という名前であり、緑色の屋根に茶色のやや古びたドアの外装で、いかにも老舗のカフェだなと思いつつ、ここで一服しようかとも迷った。けど他にカフェ探すのも手間だし何より足がもう限界だ…。なので僕はここのカフェで一休みすることにした。
「いらっしゃいませ。好きな席にどうぞ」
店に入ると内装はいかにも老舗のカフェだなって感じで、一言で言えば「レトロ」だった。でも僕はこういう雰囲気のカフェも大好きで、ちょっと高級そうなシャンデリアと店内の隅々に飾られてある昔ながらの骨董品がこの店の雰囲気をいい感じに醸し出していた。ちなみにあまり通りの少ない場所にあるためか、客は僕以外いない。マスターさんは50代くらいの男性の温厚な見た目の人で、ここでの仕事を心から楽しんでいるように見えた。…けど、どこか顔がやつれているようにも見えたのは気のせいだろうか?
「ご注文はお決まりですか?」
「えっと、じゃあキリマンジャロブレンドで」
「かしこまりました」
コーヒーを注文してから数分後、キリマンジャロブレンドがやってきた。冷めないうちにコーヒーを頂くことにしよう。
「…!! 爽やかな味わいで美味しい」
美味しいコーヒーで旅の疲れが一気に溶けていくのが感じられる。せっかくだしここで仕事もしちゃおうと思った僕は鞄からパソコンとマウスを取り出し、仕事をした。やっぱり捗るなあ。好きな場所での自分のペースで仕事…これだからフリーランスはやめられない!と思った僕は、それからも仕事に入り浸っていた。こんな至福の時間がこのままずっと続いてほしいと願っていたが、それから数十分後、その空気はぶち壊されることになる。
「いらっしゃいませ…はぁ」
「おうマスター、今日もいつもの頼むな?」
「…?」
新たな来客が来た。その男性はけだるそうな人で目つきが悪い。僕とはちょっと離れたカウンター席に座り、スマホを取り出して触っていた。うわぁーなんか苦手な人だなぁ。やっぱりパソコン片づけてコーヒーさっさと飲んで出発しよう…と思った僕は、なるべく目を合わせないように、静かにコーヒーを飲んだが次の瞬間、僕は驚愕した。
「おい、いっつも思ってんだけどよ、おせぇんだよ!なんでコーヒーとケーキ注文しただけで20分もかかんだよ!」
「申し訳ございません…。どうしても時間がかかってしまうもので…」
「それをなんとか早くするのがプロだろ?全く…」
うわー予想通り嫌な客だった。それくらいで文句を言うのって人として恥ずかしくないんだろうか?というか20分って、遅い方なのか?せめてこれだけで終わってほしいと思っていたのだがそうは問屋が卸さなかった。しかもそれは僕が想定していた中で一番最悪なパターンだった。
「…おい、そこのお前。今俺のことチラ見したたよな?」
「へ!?」
「とぼけてんじゃねーぞ?」
「おおおお、お客様!店内での迷惑行為はどうかおやめください!ご不満事は全て私に申してください!」
「うるせえ、おめえじゃねーだろうが。黙って俺が注文したものを用意しとけ!」
目つきの悪い客はマスターに向かってそう言うと、さっきの続きと言わんばかりにこちらに寄ってきた。完全に目をつけられた。…いやいや怖いんですけど?
「お前、見てたよな俺の事?あぁ?」
「いや、そんなことは…」
「嘘ついてんじゃねえ。これ以上しらを切るようならちょっと痛い目に合わせるぞ?」
「い、痛い目!?」
「お客様!これ以上は警察呼ばせていただきますよ!?」
「あ?そんなんが脅しになるか。やってみろよ」
あぁ、これやばいな…。1歩間違えると僕はこいつに殴られかねない。どうかそれは避けたいと思っていたが、それすらも怪しくなってきた。
「舐めてんのか?そういうことだよなぁ?てめぇ許さねーぞ!?」
ブン!
いやいやどこをどう見たら舐めてる認識した!?というかそれくらいで殴るって、こいつ思った以上に短気だな!てかそんなこと考えてる場合じゃない!このままじっとしているのもまずいと思った僕は思わずふりかかる拳に身を固める!…しかし、その拳が僕に直撃することはなかった。…寸前で止まっていた・
「な!?動かねぇ!」
「!?」
自分でも何が起きたのか分からないでいると次の瞬間、どこかから声がした。
「ええんかこのままで?このままやと終わらんぞ?」
「!?」
「この状況を何とかしたいんやったら、方法は1つやなあ」
「…そんなのやだ!なんとかしたい!」
「よう言ったな。なら自分が力を貸したろう。」
ふと僕は無意識にこんなことを言っていた。どこかで聞いたことがある声と共に、僕は気づいたら迎撃態勢になっていた。!?!?!?いや待って、そもそも僕戦う気はないんですが…でもなぜか体が勝手に…!
「なんだお前、やんのか?」
「先に手を出したのはそっちだぞ?もう文句は言えないな?」
「…お、おう、上等だ!かかって来いよ!」
そして僕は無意識にこんなことを言ってしまっていた。いやいやこれまずくないか!?これ完全にやばいやつ…!というか僕、喧嘩で勝てる自信0.001%なんですが…。これ完全に取り返しのつかないことになるな…と覚悟していたが、その心配は杞憂に終わった。
「今度こそ食らいやがれ!…な!?」
「遅い、それが本気か?失望したな…」
「く…馬鹿にしやがって…」
相手の体勢が悪くなった。その時、また声がした。
「今や自分、相手の顔を思い切り蹴り抜け」
「…ああ、りょーかいっ! おりゃ!」(バキッ!!)
「ぐあああああああああ!」
「おおおおお客様!」
自分の意識とは反対に、無我夢中で僕は相手の顔面を全力でけり抜いた。その威力は自分でも想像できないほどで、相手はドアに思いっきりぶつかった。
「いってぇ…」
「おい、この店にこれ以上来ないことを約束するならお前を殴りはしない。だが約束しないというなら…」
「ひ、ひぃ!申し訳ございませんでしたーーーー!うわあああああん!」
そう言ってケンカを売ってきた男は、泣き虫の子供のごとく、泣きながら出ていった。なんてかっこわ悪いやつだったんだろうと思った瞬間、自分は我に返った。さっきまで自分に宿っていた不思議なパワーもすっかり抜けていた。
「え…僕は一体何を…!?」
「お客様!お怪我はありませんか!?」
「あ、いえ、僕は大丈夫です…」
「それは本当に良かったです!それにしても、本当にありがとうございます!!あの方を追い払ってくださって!!」
「え、あ…はい?」
あ…そういえば思いっきり僕らこの店で暴れてたわ…。戦闘に夢中ですっかり忘れてた。
「いえ、こちらこそ店内で派手に暴れてしまって…その…申し訳ないです。壊れた物とかはありませんか!?」
「お客様は何も悪くありません!!すべてはあの方が元凶なのですから!それに幸いなことに、確認したところ器物破損とみられるものは何もございません!」
「あ、それは良かったです…」
「それとお客様…この店を守ってくださったお礼としてこの店の無料券と、この店は別で宿泊施設があり、こちらは普段別料金でお客様にお貸ししているのですが、あなたには無料で貸し出しいたします!もし旅で止まる場所がございませんでしたら…今夜はこの店に泊まっていきませんか?」
「え、いいんですか!?それは普通に嬉しいんですが…」
まさかの展開になった…。正直今日は日帰りの予定で、このあと1か所だけどこか寄って帰ろうと思っていたけど、宿泊できるなら今日の旅も延長できる上、明日も日中まではこの辺をまた旅できるし、願ってもない幸運だった。
そして僕はマスターにお礼を言いつつ案内してもらった部屋で荷物を置いた後、この後また出かける前にちょっと疲れたのでベッドで横になった。ちなみにマスターに話を聞いたところ、さっき来たあの迷惑客はどうやら以前からこの店に来ては今日みたいな嫌がらせを頻繁にマスターにしていた。人が全然いなかったのも、マスターの顔がやつれているように見えたのもそういうことだったのかと思い、僕が店内で暴れたことは正解だったのかなとも思った。何よりこれからどんどん人が増えること、マスターが元気になれることを想像するのが僕は嬉しかった。それにしても…
「さっきのあの感覚…まさか、こないだのタヌキが…?」
突然聞こえた声と言い、そう考えるのが一番自然だった。正直急展開だらけでまだまだ自分の理解が全然できていないけど、1つ思えるのは…
「タヌキさん、ありがとうございます。」
ちなみにその日は出かけることはなく、ベッドで寝落ちしてしまった。…まあいいか。