いざ始めてしまえば、罪悪感も抵抗感もない。美紀とだけ不倫をしていた時は、背徳感がスパイスにもなったものだが。許可されてしまうと、それはそれでつまらないものがある。
 とはいえ、気は楽だった。何を気にすることもなく、自由に遊ぶことができた。二人、三人、と遊ぶ相手を増やしていって、彼女たちを妻に報告しても、嫌な顔をされることはなかった。

「この子が、佐知。××大学の三年生」
「大学生? 大丈夫なの?」
「年齢的には成人してるし、向こうも承知の上だから大丈夫」
「ふぅん。彼女、五人目よね。そんなに同時進行して、大丈夫?」
「あー、えっと、最初の美紀と、二人目の可南子とはもう切れてる。から、佐知とー、雅とー、あー……誰だっけ……えー、そうだ。真琴、で三人? かな」
「そう。お金には気をつけてね」
「わーかってますぅ」

 唇を尖らせて、忠はぶうたれた。

 それぞれに使える金額には限りがある。ホテルのグレードを落としたり、食事を奢らせたりしているが、やはり一人減らすべきか。
 佐知は大学生だし、最初は余裕のある大人であるところを見せたい。ブランドバッグの一つも贈りたい。となると、真琴を切るか。あれにはそろそろ飽きてきた。
 三人くらいはキープしておきたかったが、金のことを考えれば二人くらいが今後は安定するかもしれない、と忠はぼんやり考えた。

 それからは、定期的に相手を入れ替えて、二人から三人程度をキープするようにした。新しい相手を増やした時は、古い相手は切る。最初は辛うじて覚えていたが、だんだん入れ替わりも複雑になり、忠本人が相手の名前を把握しきれなくなってきたこともあり、次第に妻に報告しなくなった。
 最初はきちんと報告していたし、今更相手が変わったところで大差ないだろう。金額はそれなりにセーブしている。
 だから何も問題はない。全ては順調だ。

 そう、思っていた。