家に帰ると、音海はやっぱり居なかった。

ちゃんと家へ帰れただろうか。

買ってきたゼリー飲料を飲みながら、なんとなくテレビをつける。

画面越しの、緊迫した雰囲気と主人公の演技が何とも言い難い。

戦闘系、スパイもののドラマか何からしい。

主人公が銃を2発放つと、敵が一斉に襲ってくる。

『32号! 』

『電波が途切れた! 』

『通信状況は!? 』

状況が悪いのか、焦った様子でキーボードを打つ彼ら。

「__ねえ、」

画面越しではなく、そばで聞こえた声に振り向く。

「____あれ、」

帰ってきたの?

家は?

どこから入ってきたの?

その格好、どうしたの……?

色々ツッコミどころが多く、言葉に詰まる。

頰は切れ、髪は乱れている。きているのは、煤やら灰やらで汚れた制服。

「とりあえず、制服脱いで、顔洗ってきな。」

「ぁ、」

首に手をかけてボタンを外す。

「ほら、日があるうちに洗わないと乾かせないじゃん。」

「__自分でやる。」

リモコンを消すと、一気に静かになった。