「宇宙にいる。」

驚いたように、こっちを向くので、そのまま続けた。

「5年生の時ぐらいかな、両親が宇宙飛行士でさ、初めての仕事だったわけ。プロとかベテランっていうのかな、そういう感じじゃなか

 ったから。二人にはずっと行きたかった宇宙に行けるって、素直に喜んで欲しかった。」

「こういう時、子供の存在が邪魔になってるって気づいていたから、中学卒業するまでは親戚に引き取ってもらってた。」

あながち間違いではない。事実に近い事を述べただけだ。

「学校」

学校同じだね、何年生?、昨日は制服着てたのに、何で来なかったの?

色々聞きたくて、結局後の言葉が続かない。

「行くのが______怖かった。」

音海は、外を向いてそう言った。

「何組?学年は?」

同じ組で、同じ学年だった。しかし1学年2クラスしかないので、奇跡でも何でもない。

そして彼は、転校してきたということも知った。腕時計を見ると、7時を過ぎたところ。

「行こうか、そろそろ。」

部屋に入って鞄を担いでもこっちに来ないので、おいでよ、と手招きする。

「はい、なるべく乾かせるやつは乾かしたけど、湿ってたらごめん。」

昨日、シャワーを浴びた後浴室乾燥も兼ねて、雨水に浸ったままの鞄と中身を干しておいた。