音海は何を考えているのか知らないが、毎回ここに戻ってくる。

一日中いる時もあれば、ふらりとどこかへ姿を消して三日くらい戻って来ないこともある。

最近は一週間ほど帰って来なくて流石に落ち着かなかった。

一度、何でいなくなるのか、どこに行っているのかを聞いたことがあるが、どれも、水無瀬には関係ないと

話を終わらせてしまった。なかなか秘密が多いらしいが、ちょっとくらいは頼って欲しいとも思う。

使っておらず物置になっていた部屋を片付けて、ベットとタンスを置けば、なかなかそれっぽくなる。

タンスはいらないと拒否されたので、ベッドだけだが。

渡された宿題を見て、仰天した。英語と地理、経済系はほぼ全問正解だったが、それ以外はズタボロと言ってもいいくらいだ。

こんなんで、今までどうやってきたのかが逆に気になるが。

「英語と地理と経済以外は、あんまり得意じゃない……?」

「さっぱりわからん。」

あんまりどころか、全然出来てないんだが。

「中間期末でさ、点数悪すぎると退学になるらしいけど。」

そんなことは初耳のようで、音海は困ったような顔をした。

一回の試験だけで退学になんかならないだろうが、きっとこのままだと危ない気がする。

腕時計に目線を落とすと、まだ夜は始まったばかりだった。

「ま、なんかわからないとこあったら聞いてね、」

そう言って風呂に入りに行った。