「なに? 」

「____なにも。」

「ちょっと色々買ってくるから、ここで静かに待ってて。絶対動かないで、」

せめて、安静にしていて欲しい。


外に出ると、涼しい風が優しく吹いていた。ドラッグストアで包帯、絆創膏、消毒液などを買う。

店の人に聞くと、良い商品を教えてくれた。あっても困らないので、複数買って帰る。

橙色に染まった夕焼けを、ただ、綺麗だと思った。


音海は、結果的にいうと、きちんと動かずに待っていた。しかし、何故だか椅子には座らず突っ張り棒のように立っていた。

「買ってきたから、脱いで。」

「__いい、自分でやる。」

「背中とか上手くできないでしょ、」

仕方なさそうに羽織ったものを落として現れた体は、水無瀬の想像以上に____。

傷の酷さに言葉を失っていると、そんなに深くないと思う、と音海は言った。

肩、腕、背中、太もも、足、腰。ありとあらゆる箇所を見ていると、だんだん見ている方が痛くなってくるような

気がしてきた。ドラッグストアの店員についでで教えてもらったやり方で、消毒をし、包帯を巻きつけていく。

たまに音海は顔を顰めたが、それに構わず早く終わらせたい一心でいた。


はぁ、と言葉にならないため息を吐く。腕が一気にやられた気分。

「これ、着て。汚れてもいいやつだから。」

そう言いながら袋の中の下着諸々を渡すと、包帯だらけになった音海が小さく頷いた。