美術館見学を終え、お土産も無事に買えた美玲達ツアー参加者一行。
いよいよ自由行動である。
ここからは確実中にパリの街を観光し、各自でホテルまで戻るのだ。
(そういや自由行動どうするかほとんどノープランだったなあ)
美玲は夕食などによさげな場所があるかスマートフォンの地図アプリを開いて調べる。
「晩ご飯全然考えてなかった〜。どうしよう?」
その近くで穂乃果がオロオロしている。
「……じゃあ穂乃果さん、一緒に行きます? 私、日本出国前にレストランを一人で予約していたのですが」
朱理が穂乃果にそう提案した。
「え? いいの? ありがとう!」
穂乃果は嬉しそうである。
「少し待ってくださいね。今予約人数変更の電話しますから」
朱理は自身のスマートフォンを取り出し、予約をしていたレストランに電話をする。
流暢なフランス語で堂々と対応する朱理であった。
「穂乃果さん、予約変更できましたよ。二人でも行けるようになりました」
「ありがとう朱理ちゃん。やっぱりすごいね〜」
穂乃果はへにゃりと笑っていた。
「美玲ちゃんは自由行動どこ行くん?」
凛子がそう聞いてきた。
「うーん……特に考えてない。実はほぼノープランなんだ。夕食もどこで食べようか迷ってる。パンでも買ってホテルで食べてもいいかもって思ってきた」
美玲はアハハと笑う。
「それ大丈夫なん? もしよければ私らと一緒する? 晃ちゃんもええよって言ってくれるやろうし。ほら、日本と違って午後九時とかでも明るいけどさ、パリは治安は悪いって言うやん。今から日は暮れる一方やしさ」
心配そうな凛子である。
ちなみに晃樹はトイレに行っているそうだ。
「いや、凛ちゃん、それは流石に何か申し訳なさ過ぎるよ。二人の邪魔するわけにはいかないしさ」
美玲は慌てて首を振る。
「だったら俺と一緒はどう?」
そこへやってきたのは誠一だ。
「中川くん……」
美玲は驚いていた。
「ああ、中川さんがおるんやったら安心やね」
凛子はホッとしたような表情だ。
「おう。岸本さんさえよければ、俺と行動しないか?」
誠一はニッと笑う。
「……分かった。じゃあお言葉に甘えて」
美玲は少し考えた末に、そう答えた。
「よかった」
誠一は少しホッとしたような表情だった。
こうして、美玲は誠一と行動することになった。
◇◇◇◇
「じゃあ岸本さん、撮るぞー」
誠一は美玲のスマートフォンで写真を撮る。
有名なガラスピラミッドを背景に、美玲は誠一に写真を撮ってもらっているのだ。
「ありがとう。じゃあ中川くんのも撮るね」
美玲は自身のスマートフォンを返してもらい、今度は誠一のスマートフォンを受け取った。
「じゃあ撮るよー」
美玲は数枚、大きなガラスピラミッドを背景に誠一が写る写真を撮った。
「おお、よく撮れてんじゃん。ありがとう、岸本さん」
ニッと白い歯を見せて笑う誠一。
「……うん」
美玲はほんの少しドキッとしてしまい、誠一から目をそらした。
(どうして……)
美玲は高鳴る心臓を必死に抑えていた。
「そうそう、俺さ、リュクサンブール公園に行ってみようと思ってさ。岸本さんもどう?」
誠一がそう提案した。
「リュクサンブール公園?」
「おう。結構有名な場所。ここから歩いて二十分くらいの所にある」
誠一はフッと笑う。
「うん、分かった。行ってみる。ほぼノープランだから何があるか正直あんま分かってなくてさ」
アハハ、と美玲は笑った。
「じゃ、行くか」
こうして、美玲と誠一はリュクサンブール公園まで歩き始めた。
◇◇◇◇
相変わらずパリの車の運転の荒さや何もないのにしょっちゅう鳴り響くパトカーのサイレン音、際どい運転の自転車、そして当たり前のように信号無視するフランス人歩行者に驚いた美玲と誠一だが、とりあえずリュクサンブール公園までたどり着いた。
「結構大きいんだね。何か宮殿っぽい建物もあるし」
美玲は周囲を見渡して驚いていた。
「おう。あの建物、何か政治の議事堂として使われてるらしい」
誠一はスマートフォンで調べながらそう言った。
「へえ、そうなんだ」
美玲は宮殿のような建物を見て呟いた。
時刻は午後五時。
リュクサンブール公園は、まだ多くの人々で賑わっている。
美玲と誠一はのんびりとプラタナスの並木道を歩き、ベンチに座った。
「今日結構歩いたよな」
誠一がふう、と一息ついた。
「確かにね。貸切バスに乗ってた時間、意外と短かった気がする」
美玲は今日の行程をゆっくりと思い出していた。
「だよな」
誠一はハハっと笑った。
「それにしてもさ、岸本さん、お土産大人買いしてるよな。全部自分用?」
誠一は今までの美玲の行動を思い出していた。
「うん。まあね」
美玲はリュクサンブール公園を歩く人々を見ながら答えた。
「親とか友達には?」
「ああ……考えてなかった」
少し誤魔化すように笑う美玲。
「何で?」
誠一は少し訝しげな表情になっていた。
「それは……」
美玲は黙り込む。
帰国後のことは考えないようにしていたのだ。どうせもう死ぬつもりだったから。
「岸本さん、今から俺変なこと聞くかもしれない。もし違ったら否定してくれ」
誠一は真剣な表情になった。
「もしかしてさ、岸本さんは日本に戻ったら死ぬつもりなんじゃないのか?」
誠一の目は、美玲を射抜くようだった。
美玲は驚愕し、目を大きく見開いた。
いよいよ自由行動である。
ここからは確実中にパリの街を観光し、各自でホテルまで戻るのだ。
(そういや自由行動どうするかほとんどノープランだったなあ)
美玲は夕食などによさげな場所があるかスマートフォンの地図アプリを開いて調べる。
「晩ご飯全然考えてなかった〜。どうしよう?」
その近くで穂乃果がオロオロしている。
「……じゃあ穂乃果さん、一緒に行きます? 私、日本出国前にレストランを一人で予約していたのですが」
朱理が穂乃果にそう提案した。
「え? いいの? ありがとう!」
穂乃果は嬉しそうである。
「少し待ってくださいね。今予約人数変更の電話しますから」
朱理は自身のスマートフォンを取り出し、予約をしていたレストランに電話をする。
流暢なフランス語で堂々と対応する朱理であった。
「穂乃果さん、予約変更できましたよ。二人でも行けるようになりました」
「ありがとう朱理ちゃん。やっぱりすごいね〜」
穂乃果はへにゃりと笑っていた。
「美玲ちゃんは自由行動どこ行くん?」
凛子がそう聞いてきた。
「うーん……特に考えてない。実はほぼノープランなんだ。夕食もどこで食べようか迷ってる。パンでも買ってホテルで食べてもいいかもって思ってきた」
美玲はアハハと笑う。
「それ大丈夫なん? もしよければ私らと一緒する? 晃ちゃんもええよって言ってくれるやろうし。ほら、日本と違って午後九時とかでも明るいけどさ、パリは治安は悪いって言うやん。今から日は暮れる一方やしさ」
心配そうな凛子である。
ちなみに晃樹はトイレに行っているそうだ。
「いや、凛ちゃん、それは流石に何か申し訳なさ過ぎるよ。二人の邪魔するわけにはいかないしさ」
美玲は慌てて首を振る。
「だったら俺と一緒はどう?」
そこへやってきたのは誠一だ。
「中川くん……」
美玲は驚いていた。
「ああ、中川さんがおるんやったら安心やね」
凛子はホッとしたような表情だ。
「おう。岸本さんさえよければ、俺と行動しないか?」
誠一はニッと笑う。
「……分かった。じゃあお言葉に甘えて」
美玲は少し考えた末に、そう答えた。
「よかった」
誠一は少しホッとしたような表情だった。
こうして、美玲は誠一と行動することになった。
◇◇◇◇
「じゃあ岸本さん、撮るぞー」
誠一は美玲のスマートフォンで写真を撮る。
有名なガラスピラミッドを背景に、美玲は誠一に写真を撮ってもらっているのだ。
「ありがとう。じゃあ中川くんのも撮るね」
美玲は自身のスマートフォンを返してもらい、今度は誠一のスマートフォンを受け取った。
「じゃあ撮るよー」
美玲は数枚、大きなガラスピラミッドを背景に誠一が写る写真を撮った。
「おお、よく撮れてんじゃん。ありがとう、岸本さん」
ニッと白い歯を見せて笑う誠一。
「……うん」
美玲はほんの少しドキッとしてしまい、誠一から目をそらした。
(どうして……)
美玲は高鳴る心臓を必死に抑えていた。
「そうそう、俺さ、リュクサンブール公園に行ってみようと思ってさ。岸本さんもどう?」
誠一がそう提案した。
「リュクサンブール公園?」
「おう。結構有名な場所。ここから歩いて二十分くらいの所にある」
誠一はフッと笑う。
「うん、分かった。行ってみる。ほぼノープランだから何があるか正直あんま分かってなくてさ」
アハハ、と美玲は笑った。
「じゃ、行くか」
こうして、美玲と誠一はリュクサンブール公園まで歩き始めた。
◇◇◇◇
相変わらずパリの車の運転の荒さや何もないのにしょっちゅう鳴り響くパトカーのサイレン音、際どい運転の自転車、そして当たり前のように信号無視するフランス人歩行者に驚いた美玲と誠一だが、とりあえずリュクサンブール公園までたどり着いた。
「結構大きいんだね。何か宮殿っぽい建物もあるし」
美玲は周囲を見渡して驚いていた。
「おう。あの建物、何か政治の議事堂として使われてるらしい」
誠一はスマートフォンで調べながらそう言った。
「へえ、そうなんだ」
美玲は宮殿のような建物を見て呟いた。
時刻は午後五時。
リュクサンブール公園は、まだ多くの人々で賑わっている。
美玲と誠一はのんびりとプラタナスの並木道を歩き、ベンチに座った。
「今日結構歩いたよな」
誠一がふう、と一息ついた。
「確かにね。貸切バスに乗ってた時間、意外と短かった気がする」
美玲は今日の行程をゆっくりと思い出していた。
「だよな」
誠一はハハっと笑った。
「それにしてもさ、岸本さん、お土産大人買いしてるよな。全部自分用?」
誠一は今までの美玲の行動を思い出していた。
「うん。まあね」
美玲はリュクサンブール公園を歩く人々を見ながら答えた。
「親とか友達には?」
「ああ……考えてなかった」
少し誤魔化すように笑う美玲。
「何で?」
誠一は少し訝しげな表情になっていた。
「それは……」
美玲は黙り込む。
帰国後のことは考えないようにしていたのだ。どうせもう死ぬつもりだったから。
「岸本さん、今から俺変なこと聞くかもしれない。もし違ったら否定してくれ」
誠一は真剣な表情になった。
「もしかしてさ、岸本さんは日本に戻ったら死ぬつもりなんじゃないのか?」
誠一の目は、美玲を射抜くようだった。
美玲は驚愕し、目を大きく見開いた。



