「俺も魔法使ってみたい」

俺は朝食を終えたあと、三人にそんな事を言った。

「無理やな」

「無理だろ」

「祖チンは無理よ」

最後俺がセックス誘って断られたみたいになってるじゃねぇか。

「なんでだ?やっぱ魔力みたいなのが俺にはないからか?」

「そんな感じよ。まぁ魔力に関しては補えるけど、あなたに魔法をコントロールする能力があるかどうか…」

リエル曰く、魔力に関しては魔法の使えるやつが液体に魔力を注ぎ込めば、俺も魔力を得ることができるらしい。ただし、その魔力を操れるかどうかは、自分の集中力によるらしいが…
俺達はコップに水を入れ、家の近くの公園にきた。
平日であまり人も来ない公園なのでここなら大丈夫だろう。
ランパードが大剣を地面において、あるものを取り出した。

「じゃぁフェミエル、リエル、はやと、この仮面をかぶれ。魔力を気配を感じる範囲を狭くする必要があるからな。それを被っていなかったら隣町ぐらいまで感じ取られていたと思うし」

そう言って俺たち三人に仮面を渡した。仮面は真ん中に赤い鼻みたいなのがついていて、全体的に白色の仮面だった。
それをリエルが被る。

…いやリムルテン◯ストじゃねぇかどうみても。

髪の色も青だからマジでリムルテン◯ストにしか見えん。てか名前もめっちゃ似てるし…
俺は聞いた。

「ちなみに撃てる魔法とかあんの?」

「『神之怒』とかなら」

リムルテン◯ストじゃねぇか。
てかそんなん撃てるならルクセンハーゲンボコボコにできんだろ。
そしてフェミエル、俺も仮面を被った。
気を取り直して俺が二人に言う。

「よし、リエル、フェミエル、魔力を注いでくれ」

「「わかった」」

そう言って二人は目を瞑り、リエルは手を、フェミエルは杖の先をコップに向けた。
そして、二人は呪文を唱え始めた。
リエルの手のひら、フェミエルの杖の先っぽが光だした。
そしてその光がコップの水に入っていき、コップの水がぷくぷくし出した。
しばらくして水の色がジャイアンの料理みたいな色になった。
これ本当に飲んでいいんだろうか?

「ほら祖チン、早く飲みなさい」

あーあわかりましたよ飲みますよ!

…ゴクゴク


「…っ!」


その瞬間、全身に痺れが走った。
頭から爪先まで、血ではない何かが行き渡っていく。

「な、なんだこの感覚…」

そしてしばらくすると、魔力は全身に浸透している感覚になり、今にも魔法が撃てそうな感じがした。
俺はリエルに聞いた。

「魔力溜まったみたいだけど、なんか俺にも撃てる魔法とかあるの?」

「召喚とかは少ない魔力でもできるけど、まだ魔力をあまりコントロールできないと思うからやめておいたほうがいいわ。そうね、ショットショックとかどう?」

「なんだそれ?銃かなんかが撃てるのか?」

「まぁそんな感じよ。フェミエル!的の準備をして、できれば詠唱ありの結構硬いやつ」

そう言うとフェミエルがコクッっと頷き、周りに人がいないことを確認し、杖を突き出し、詠唱っぽいものを唱え始めた。

「大地よ、我が命令に従い、我に力を注ぎ、我が肉体を守る盾となるだろう!」

なんて自分勝手な詠唱なんだろう。大地さんに感謝の気持ちを持てよ。

「その盾は何固く、強く、大きな盾となり、頑丈な矛を持ってしても貫き通せぬだろう!」

杖の先が光だし、杖の周りに雲のようなものが現れ始めた。

「歌えよ魔力、踊れよ大地、そして今、我が前に現れよ!」

そして、大きな声で言った。

「アースド、ウォールシールド!」

ゴゴゴゴゴ…

そんなジョジョみたいな効果音とともに、目の前に25mほどのでっか岩が現れた。
え?これやばくね?
すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
まじか!マジか!こんなん俺もできるようになるのか⁉︎
そしてリエルが言った。

「いくわよ、見てて!」
そう言って手で銃の形を作り、人差し指と中指の先を岩の方に向けて叫んだ。

「ショットショック!」

シューーーーーーーバキッ

何が起こったかと思い岩の方を見ると、岩に大きな亀裂が入っていた。

「す、すげぇ…」

思わず声が出た。
この魔法、俺にも撃てるようになるのか!めっちゃロマンがあるじゃねぇか!

「ショットショックは長ったらしい詠唱がいらない初級魔術だから祖チンにもできると思う。ちなみに、初級魔術だけどかなり強い攻撃を与えられるわ」

「ほら、はやとも早くやってみて!指の先に魔力を集中させる感じで!」

「わ、わかった…」

目を瞑る。
全身に浸透した魔力を指先に押し流した。
魔力の入った水を飲んだ時の感覚がまたやってくる。
俺は今までにないぐらい集中し、魔力を一点に集中させた。
そして…



「ショットショック!」



シューーーーーバキッ!

「で、できた!」

岩の方を見るとさっきより亀裂が入っていた。
俺にもできるのか!こんなことが!やっぱ俺って天才なんだなってつくづく思う。

「やるじゃん祖チン。見返したよ」

「やったねはやと、これからも困った魔法について困ったことがあったら、私かフェミエルに聞いてね!」

「おう!頼んだよ!」

そう言ってフェミエルが魔法で的として出した岩を崩してた。
公園はすっかり元の状態に戻っており、来た時となんの変化もない。

「よし、じゃぁ帰るか!」

そう言って公園を出た。

「いやぁ祖チンもたまにはやるね」

「だろ?あまり俺を舐めるなよ!」

「ま、王族であるこのリエル様にはまだまだ届かないけどね!」

「別にお前に届かなくてもいいわ」

そんな楽しい会
話をしているとき、あることに気づいた。

「ランパードは?」

「「確かに!」」

あいつモブと化してたもんな。マジで空気だったもん。
三人で急いで公園に向かうとそこには体育座りをしたランパードが端っこにうずくまっていた。
なんて惨めな姿なんだろう。本当に惨めだ。
慰めるためにフェミエルが言う。

「ラ、ランパードは剣術が得意だから、私たちの魔法よりもかっこいいわよ!そんなでっかい剣、私たちには扱えないしね!あ、そうだ!魔法つかいたいなら、まずは初級魔術からでも…」

ランパードは置いていた大剣を持って立ち上がり、こっちを向いて悲しげな声で言った。


「興味ないね…」

こんなクラ◯ド見たくなかった…