(シエル視点)

「あ~。シエル!?久しぶり。」
「えへへ、セリナお姉ちゃんも久しぶり。」

私はセリナお姉ちゃんに抱き着く。
お姉ちゃんも優しく私を抱きしめてくれた。
さっきまで仲良く喧嘩していた2人は私達の姿に気づき喧嘩をやめ、今の状況にいたる。

私とお姉ちゃんが久々の再開に歓喜している頃、お父さんとスラクお兄ちゃんが何か二人でお話をしていた。

「イグナルトさん、お久しぶりです。わざわざ遠くから来ていただきありがとうございます。」
「いいよ。セリナちゃんの晴れ舞台だし・・それにシエルが結婚式に行きたいって言って聞かなかったからな。」
「あはは、シエルちゃんらしいですね。あったばかりの事を思い出します。」
「それにしてもスラク自身は自分の妹がお嫁に行って寂しんじゃないか?」
「いえ、全然。逆に旦那に呆れられて出戻りしないか心配な程です。」
「今なんて言ったのかな?バカ兄貴?」

2人の会話を聞いていたセリナお姉ちゃんがスラクお兄ちゃんに話しかける。

「いや、バカな妹が旦那にバカをバレて家を追い出されないか心配なんよ。あ〜あ、賢いシエルちゃんが妹ならこんな心配しなくて済むのになぁ・・・」
「あ〜あ、私の兄はバカが全世界に広まっているから、この先ずっとお嫁さんが来ないだろうな。賢い、イグナルトさんがお兄ちゃんなら安心できるのになぁ・・・」
「「本当にバカな兄妹を持つと大変・・・なんだってやるのかぁぁ!ゴォラァァ!!」」

「「また、始まった。」」
私とお父さんが再び始まった喧嘩に再び声を揃えて呆れた。
この喧嘩の始まり方は長くなる感じだ。

そして気が付くとセリナお姉ちゃん達の周りに人集りが出来ていた。カカ村の人達の様だ。

「おぉ、始まったカカ村名物の兄妹喧嘩。」
「これが無いとカカ村とは言えないからな。」
「今日はどっちが勝つかな?」
「いつも通り引き分けで終わるだろ!」

2人の兄妹喧嘩を観戦する者は沢山いるがその中から誰一人と喧嘩を止めようとする人はいなかった。
いや・・多分止めないじゃなく、止めれないのだと思う。

2人の喧嘩は誰にも止めれないから自然と鎮火するのを待つしかなかった。

「また始まったね・・・お父さんこれどうするの?」
「どうするもなぁ、この兄妹喧嘩は止められないからな・・」

私たちが困っているとある一つの家から1人の男子がドア越しに顔を覗かせている。
その男性はこちらに手招きする様に家の中に入へと誘導する。

「あ、ロアルお兄ちゃんだ。」
「ほんとだな。一度あの家に避難しよう。」

私たちはロアルお兄ちゃんの手招きするお家に避難所としてお邪魔した。

「ロアル、ありがとう助かった。」
「いえ、お二人とも長旅で疲れたでしょう。コーヒーを入れますね。シエルちゃんはココアでいいかな?」
「うん、ありがとうロアルお兄ちゃん」

落ち着いたまるで森を流れる川のように落ち着いた喋りをするこの人がロアルお兄ちゃん。学者さんで物凄く頭が良い、そして・・・

「先ほどは災難でしたね、お二人の喧嘩は始めるとなかなか終わりませんから。」
「でも、2人とも楽しそうに喧嘩してるよね。」
「そうですね・・全く困った妻と義兄さんですよ」

ロアルお兄ちゃんはセリナお姉ちゃんの旦那さん。
つまり明日の結婚式の主役のもう1人だ。