イグナルトはシエルが花畑に行くのを見届けるとシット村長との対談を始める。
後ろではフロール村の村人が積み荷を降ろしてくれていた、話始めたのはシット村長からだ。
話しの内容は盗賊団に関わる事の相談でここ1週間前ぐらいから村近くの廃墟の館を拠点にした盗賊団達が暴れてると言った内容だった。
イグナルト達を襲った盗賊団もその一部だ。

「なるほど、このあたりで盗賊団が出るのが珍しいとは思ってたが・・まさかそんな事になっていたとはな。」
「盗賊団と言ってもただのならず者の集まりで各々が好き勝手に行動してるだけじゃよ・・・ただのぉ、、」
「ただ、、どうしたんだ?」
「その盗賊団に一人、厄介な奴が一人いてのぉ」
「厄介な奴?」

村長の話によると盗賊団は元々一人の男から始まったそうだった、その男は炎色魔法(えんしょくまほう)★3の実力者であるようだ、

「騎士団には相談したか??」
「騎士団には二日前に討伐依頼を出した、が騎士団も人手が足りないそうでなぁ、三日間待ってほしいと頼まれたは、まぁ明日には解決するじゃろぉ。」
「三日か・・・村に被害は?」
「今はまだ、被害は出ておらん」
「そうかぁ・・・それは良かった。」
「じゃが他に村からは被害が出ているそうでな、金品や食料などが盗まれてるそうでな、早く捕らえてほしいのじゃがな・・・」
「オレが退治してやろうか?」
「よいよい、今日は娘もいるんじゃ、そっちの仕事は休んどけ、明日には騎士団も到着するだろうしなぁ」
「そうか・・分かった。」

そんな話をしていると積み荷が降ろし終わる。
運搬料金を村長から受けとるとイグナルトは町に帰る為にシエルを迎えに花畑に向かった、花畑は近くにあり歩いて3分で着いた。
色鮮やかな様々な種類の花が咲き乱れていた。
あたりを見渡すと先ほどシエルと一緒に行動していたアマンダの姿が見える。
アマンダはシエルにあげるための花冠を一生懸命に作っていた、イグナルトは作業に一生懸命のアマンダに声をかける

「おい、アマンダぁ」
「あ、シエルちゃんのパパさん、もぅ終わったし」
「あぁ、もう帰ろうと思ってな、なにしてるんだ?」
「これはシエルちゃんの為に花冠を編んであげてるし」
「そうか、所でシエルはどこにいる?」

辺りを見渡しても娘の姿が見えないのでアマンダにシエルの場所を尋ねる

「あぁ、シエルちゃんなら・・・あれ?」

それにアマンダは返答しようとしたが言葉が詰まってしまった、それはなぜか
理由は簡単である。
先程までいたはずのシエルの姿が消えたいたからだ、アマンダは不安に駆り立てられる、

「さっきまで、そこの白い花が咲いてる場所で花冠を編んでいたはずだど・・・いないし」
「本当か!?」
「そうだし、楽しそうにしていたから3分ぐらい自分の方に集中していたら、シエルちゃんは賢い子だし、勝手に遠くに行く事は無いと思うし・・・」
「それはオレも同意だ。シエルが勝手に遠くに行く事は考えられない。」

イグナルトに嫌な予感が走る
血相を変えて辺りを探し回る、異変に気が付いた村長や村人も共にシエルの行方を探し始めた、20分間探してみるが手がかり一つ見つからない、再び悪い予感が脳裏に過りそうになった。

その瞬間、一人の村人がイグナルト達を呼ぶ。
何か失踪したシエルの手がかりを見つけたようでイグナルト達は村人の呼ぶ方へ向かう。

これは、娘さんの物か?
村人がイグナルトに尋ねる、村人の手にあったのは片方だけの小さなサンダル。そしてサンダルを拾った場所には誰かが暴れて痕跡があった。
イグナルトの悪い予感は最悪な形で確信へと変わった。

「シエルは誘拐された・・」

そのサンダルは最近イグナルトが買ってあげたシエルのお気に入りのサンダルだった。そのサンダルが片方だけ落ちている、そしてサンダルが落ちた場所にある誰かと争った形跡。

騎士団に勤めていたイグナルトにはシエルが誘拐された事がすぐ理解できた。

イグナルトはシット村長との会話で誰が誘拐したか分かった。

(こんな雑な手口で誘拐するのは・・・)

誘拐した犯人は盗賊だとイグナルトは理解した。

(なぜシエルが狙われた?なぜ俺はシエルを見守ってなかった?どこかで油断してったのか・・・・許せない)

イグナルトが考える中、一人の女性が喪心状態に陥る

「わ、私がちゃんと見ていなかったから・・・シエルちゃんが・・・シエルちゃんが。」

アマンダはひどい現実に動揺を隠せないでいた。
イグナルトや村長は悪くないと言ってくれたが本人は自分を責め続けて泣き出してしまった。

その時ある男の中では憎悪にも似た怒りが込み上げて来た、その怒りに周りにいた人間も気が付き萎縮してしまう

イグナルトは激怒していた。

怒りの矛先はアマンダでもなく盗賊でもなかった。
    
「俺の宝物に手を出して・・・全員焼き殺してやる。」

イグナルトが激怒している相手は自分自身だった。