1話完結
「わたし、やっぱり死にたい」
不登校の彼女の目は至って真剣だった。
そう打ち明けたんだ。新任教師である僕に。
だが、それを聞いた僕はそう驚いたりはしない。
なぜなら、彼女が中学生の時に2回自殺未遂をしていると言うことを、親御さんから事前に聞いていたからだ。
思春期と言うのは、非常に自我や感情が不安定になりやすい時期であり、その時期の少年少女の死因の多くが「自殺」である。人間関係のトラブルや心の変化からそう行動に移す人は後を絶たない。そしてその気持ちを誰かに打ち明けることも難しい年頃だ。
だからこそ、歳の近い新任の僕だからこそ寄り添ってあげなければと思い、親身に受け止め、話を聞くことにした―――
それから、彼女と沢山話した結果、カウンセリングを受けることになった。薬も服用し、少しづつだが学校に足を運ぶようになった。
初めは別室登校。
だんだん慣れていき、彼女はたまに教室でも授業を受けるようになった。
3ヶ月後には皆んなと同じように学校生活を送るようになった。友達も出来たようで、笑顔を振りまいていた。今の彼女の心境を聞きたいと思い、放課後呼び出した。
「どうかな?最近の学校生活は」
優しく聞こうと思うばかりに、小学1年生に話しかけるような口調になってしまった。
「めっちゃ楽しいよー!先生のお陰!」
満面の笑みでそう話してくれた。元気そうで安心した僕は、「よかった。じゃあ話はこれで終わり!」といい彼女を家に帰した。僕は1人の生徒を救うことが出来たんだと思うと、とても嬉しく思う。
彼女の帰り際の「さようなら!」の一言にも今の生活が楽しいのがふつふつと伝わってきた。
翌日。
彼女は自ら命を絶った。
「美咲が今朝、この世を旅立ちました」
その時の親御さんの不安定な泣き声は今でも忘れられない。
僕は電話を落とした。
あんなに元気だったのに。
あんなに楽しそうにしてたのに。
あの「さようなら!」の言葉が最後になるとは1ミリも思わなかった。これから上手くいくんだろうなとそう思ってたのに。
その日、僕の心のコップは割れてしまった。
それから僕は無断欠勤を続けている。
「わたし、やっぱり死にたい」
不登校の彼女の目は至って真剣だった。
そう打ち明けたんだ。新任教師である僕に。
だが、それを聞いた僕はそう驚いたりはしない。
なぜなら、彼女が中学生の時に2回自殺未遂をしていると言うことを、親御さんから事前に聞いていたからだ。
思春期と言うのは、非常に自我や感情が不安定になりやすい時期であり、その時期の少年少女の死因の多くが「自殺」である。人間関係のトラブルや心の変化からそう行動に移す人は後を絶たない。そしてその気持ちを誰かに打ち明けることも難しい年頃だ。
だからこそ、歳の近い新任の僕だからこそ寄り添ってあげなければと思い、親身に受け止め、話を聞くことにした―――
それから、彼女と沢山話した結果、カウンセリングを受けることになった。薬も服用し、少しづつだが学校に足を運ぶようになった。
初めは別室登校。
だんだん慣れていき、彼女はたまに教室でも授業を受けるようになった。
3ヶ月後には皆んなと同じように学校生活を送るようになった。友達も出来たようで、笑顔を振りまいていた。今の彼女の心境を聞きたいと思い、放課後呼び出した。
「どうかな?最近の学校生活は」
優しく聞こうと思うばかりに、小学1年生に話しかけるような口調になってしまった。
「めっちゃ楽しいよー!先生のお陰!」
満面の笑みでそう話してくれた。元気そうで安心した僕は、「よかった。じゃあ話はこれで終わり!」といい彼女を家に帰した。僕は1人の生徒を救うことが出来たんだと思うと、とても嬉しく思う。
彼女の帰り際の「さようなら!」の一言にも今の生活が楽しいのがふつふつと伝わってきた。
翌日。
彼女は自ら命を絶った。
「美咲が今朝、この世を旅立ちました」
その時の親御さんの不安定な泣き声は今でも忘れられない。
僕は電話を落とした。
あんなに元気だったのに。
あんなに楽しそうにしてたのに。
あの「さようなら!」の言葉が最後になるとは1ミリも思わなかった。これから上手くいくんだろうなとそう思ってたのに。
その日、僕の心のコップは割れてしまった。
それから僕は無断欠勤を続けている。