薄暗い教室はかなり不気味。
いつもはここで勉強したり、友達と遊んだりしているのに、まるで別世界に来たみたい。
私は自分の机の引き出しから算数の宿題プリントを取ると、ランドセルにしまった。
ずいぶん時間が経ってしまった。
早く帰らないと、お父さんとお母さんが仕事から帰ってきちゃう。私が居ないってわかったら、すごく心配するだろうな。
私はチラッとカレンちゃんを見た。
さっきちょっときつく言ったからか落ち込んでるみたい。
「………」
言い過ぎたことを謝ろうかと思ったけど、でもやっぱり嘘をつかれたのは腹が立つから、もう少しこのままでいようと思った。
それにできれば学校から出るまで喋らないでほしい。また「学校七不思議、その三さん」と言われたらたまったもんじゃない。
そういう話は昼間に話すから楽しいのに。
私は教室を出ると駆け足で階段を下りた。私の足音がパタパタと響く。
「ねえ、ユキちゃん」
「!?」
突然、耳元でカレンちゃんの声が響いたから心臓が跳ねた。
「なっ……なに?」
振り返ると、カレンちゃんが後ろにいた。
たぶんずっと私のあとをついてきているんだろうと思ったけど、まさかこんなすぐそばで声が聞こえるなんて……。
「カレンね、鈴をどこかに落としちゃったみたいなの」
「鈴?」
「ママからもらった大事なものなの。なくしたってわかったら、ママ悲しんじゃうわ」
「そ、そうなんだ……」
そういえば学校の帰り道、カレンちゃんが私に話しかける時はいつも鈴が鳴っていた。
「一緒に……探す?」
私はいちお心配する素振りを見せる。
でも本当はすぐにでも帰りたかった。
それを察してか、カレンちゃんは首を横に振った。
「一人で探すわ。だからここでお別れね。少しの間だったけど、ユキちゃんとの七不思議冒険楽しかったわ、ありがとう」
そう笑顔で言うと、カレンちゃんは階段を駆け上がっていった。
「……」
私は少し罪悪感を感じた。
もしかしてカレンちゃんは純粋に私と遊びたかったのかなって思った。
それに正直一人で宿題を取りにくるのは不安だった。もしカレンちゃんがいなかったら、途中で諦めて帰っていたと思う。
「よしっ」
友達が困っているなら助けなきゃ!
私は意を決して、階段を駆け上がった。
「カレンちゃん!」
階段を駆け上がって二階の廊下に出たけど、カレンちゃんの姿はなかった。
「あれ? 三階に行ったのかな?」
私は急いで階段を駆け上がる。
また私の足音だけパタパタ響いて、だんだん心細くなってきた。
三階の廊下に出たけど、やっぱりカレンちゃんの姿はなかった。
カレンちゃんと別れてからそんなに時間経ってないはずなのに……。
「カレンちゃ~ん、私も一緒に探すよ~」
私はそう言いながら、三階の廊下を歩く。
廊下の奥は真っ暗で不気味で、まるで得体の知れない何かが蠢いてるように見えた。
私はとりあえず5年3組の教室に入った。でもカレンちゃんはいなかった。
一応鈴が床に落ちていないかしゃがんで見て回っていると、ふと後ろに気配を感じた。
「……カレンちゃん?」
振り返ると、足が見えた。
「ねえ、見つかった?」
「ううん、ここにはないみた……」
そこまで言いかけて、私は言葉を飲み込んだ。
「ねえ、見つかった?」
「ねえ、見つかった?」
「ねえ、見つかった?」
この声は……カレンちゃんじゃない!!
「ねえ、見つかった? ボクの……」
「キャアアアアアアッ!!」
私は自分でも信じられないくらいの悲鳴を上げて、教室から飛び出した。
アレが追いかけてくるんじゃないかと、無我夢中で走った。
「ユキちゃん!?」
「!?」
また後ろから声がして、私は更に走った。
「待って! どこ行くの、ユキちゃん!」
「いやああああっ!!」
「ユキちゃん、カレンよ! しっかりして!」
「!!」
ちょうど廊下の突き当たりまで来てしまったので、私は壁伝いにズルズルと座り込んでしまった。
「ユキちゃん、大丈夫? どうしてここにいるの? どうして帰らなかったの?」
「カレンちゃんっ……!」
私は泣きながらカレンちゃんに抱きついた。
カレンちゃんの体は相変わらずヒンヤリしていたけど、でもやっとカレンちゃんに会えたことが嬉しくて、私は更に号泣してしまった。
いつもはここで勉強したり、友達と遊んだりしているのに、まるで別世界に来たみたい。
私は自分の机の引き出しから算数の宿題プリントを取ると、ランドセルにしまった。
ずいぶん時間が経ってしまった。
早く帰らないと、お父さんとお母さんが仕事から帰ってきちゃう。私が居ないってわかったら、すごく心配するだろうな。
私はチラッとカレンちゃんを見た。
さっきちょっときつく言ったからか落ち込んでるみたい。
「………」
言い過ぎたことを謝ろうかと思ったけど、でもやっぱり嘘をつかれたのは腹が立つから、もう少しこのままでいようと思った。
それにできれば学校から出るまで喋らないでほしい。また「学校七不思議、その三さん」と言われたらたまったもんじゃない。
そういう話は昼間に話すから楽しいのに。
私は教室を出ると駆け足で階段を下りた。私の足音がパタパタと響く。
「ねえ、ユキちゃん」
「!?」
突然、耳元でカレンちゃんの声が響いたから心臓が跳ねた。
「なっ……なに?」
振り返ると、カレンちゃんが後ろにいた。
たぶんずっと私のあとをついてきているんだろうと思ったけど、まさかこんなすぐそばで声が聞こえるなんて……。
「カレンね、鈴をどこかに落としちゃったみたいなの」
「鈴?」
「ママからもらった大事なものなの。なくしたってわかったら、ママ悲しんじゃうわ」
「そ、そうなんだ……」
そういえば学校の帰り道、カレンちゃんが私に話しかける時はいつも鈴が鳴っていた。
「一緒に……探す?」
私はいちお心配する素振りを見せる。
でも本当はすぐにでも帰りたかった。
それを察してか、カレンちゃんは首を横に振った。
「一人で探すわ。だからここでお別れね。少しの間だったけど、ユキちゃんとの七不思議冒険楽しかったわ、ありがとう」
そう笑顔で言うと、カレンちゃんは階段を駆け上がっていった。
「……」
私は少し罪悪感を感じた。
もしかしてカレンちゃんは純粋に私と遊びたかったのかなって思った。
それに正直一人で宿題を取りにくるのは不安だった。もしカレンちゃんがいなかったら、途中で諦めて帰っていたと思う。
「よしっ」
友達が困っているなら助けなきゃ!
私は意を決して、階段を駆け上がった。
「カレンちゃん!」
階段を駆け上がって二階の廊下に出たけど、カレンちゃんの姿はなかった。
「あれ? 三階に行ったのかな?」
私は急いで階段を駆け上がる。
また私の足音だけパタパタ響いて、だんだん心細くなってきた。
三階の廊下に出たけど、やっぱりカレンちゃんの姿はなかった。
カレンちゃんと別れてからそんなに時間経ってないはずなのに……。
「カレンちゃ~ん、私も一緒に探すよ~」
私はそう言いながら、三階の廊下を歩く。
廊下の奥は真っ暗で不気味で、まるで得体の知れない何かが蠢いてるように見えた。
私はとりあえず5年3組の教室に入った。でもカレンちゃんはいなかった。
一応鈴が床に落ちていないかしゃがんで見て回っていると、ふと後ろに気配を感じた。
「……カレンちゃん?」
振り返ると、足が見えた。
「ねえ、見つかった?」
「ううん、ここにはないみた……」
そこまで言いかけて、私は言葉を飲み込んだ。
「ねえ、見つかった?」
「ねえ、見つかった?」
「ねえ、見つかった?」
この声は……カレンちゃんじゃない!!
「ねえ、見つかった? ボクの……」
「キャアアアアアアッ!!」
私は自分でも信じられないくらいの悲鳴を上げて、教室から飛び出した。
アレが追いかけてくるんじゃないかと、無我夢中で走った。
「ユキちゃん!?」
「!?」
また後ろから声がして、私は更に走った。
「待って! どこ行くの、ユキちゃん!」
「いやああああっ!!」
「ユキちゃん、カレンよ! しっかりして!」
「!!」
ちょうど廊下の突き当たりまで来てしまったので、私は壁伝いにズルズルと座り込んでしまった。
「ユキちゃん、大丈夫? どうしてここにいるの? どうして帰らなかったの?」
「カレンちゃんっ……!」
私は泣きながらカレンちゃんに抱きついた。
カレンちゃんの体は相変わらずヒンヤリしていたけど、でもやっとカレンちゃんに会えたことが嬉しくて、私は更に号泣してしまった。