悪鬼と化した蛇神が龍神と巫女に倒された話からしばらく経った。
漆黒の結晶を託された清は、瑪瑙の仇である女の居場所を探していたものの、結晶の影響で身体を蝕まれ床に臥せた。
長い闘病の末に妻であり俺のお袋であり広華とガキだった俺に看取られながら亡くなった。
親父は瑪瑙との約束を果たせなかったと嘆いていたが、息子である俺に託してきた。断る理由なんてなかった。
この話を聞いて、あの女の子孫共が大手を振って歩いていると思うとガキだった頃の俺でも許せなかった。
親父が亡くなり、ある程度成長するまで名は継承されたものの、まだ精神的にも肉体的にも子供だった俺には荷が重いからと龍神としての務めはお袋が代わりとしてやってくれた。結晶もお袋が作った結界の中に一時的に保管されることになった。
満開の桜が咲き誇る頃、龍神としての名を継承する為の儀式を行なった時だった。
大勢の神とあやかし共が集まる中、一人の女があるモノを抱えながら参列してきたのだ。
お袋は嬉しそうに彼女に近づく。
「まぁ!この子が真魚ちゃんの娘ちゃん?!!可愛い!!」
友人なのだろうか。親しげに話す様に俺は呆然と見守る。
真魚と呼ばれた女はお袋の傍で隠れる俺に気が付き話しかけてきた。
「おめでとうございます。信様。この子は私の娘の"陽子"です。抱いてやってくれませんか?」
黒い髪がとてもに似合うその人の笑顔と、お袋から「抱かせてもらいな」という掛け声に促される。真魚が大事そうに抱えていたモノを俺はそっと受け取った。
まだ生まれて間もないその子は不思議そうに俺の顔を見た。
「……可愛い」
「きっとこの子も龍神の巫女になる。必ず信様の力になるでしょう」
将来の龍神の巫女で俺が初めて美しいと感じた人間。
そして、初めて人を愛しさせてくれた大事な女性。
これが陽子との最初の出会いだった。
俺は、この子を守ると誓う。幸せにするとも。
龍神としてのこの村を守りながら陽子のことを見守ると決意するのだった。
漆黒の結晶を託された清は、瑪瑙の仇である女の居場所を探していたものの、結晶の影響で身体を蝕まれ床に臥せた。
長い闘病の末に妻であり俺のお袋であり広華とガキだった俺に看取られながら亡くなった。
親父は瑪瑙との約束を果たせなかったと嘆いていたが、息子である俺に託してきた。断る理由なんてなかった。
この話を聞いて、あの女の子孫共が大手を振って歩いていると思うとガキだった頃の俺でも許せなかった。
親父が亡くなり、ある程度成長するまで名は継承されたものの、まだ精神的にも肉体的にも子供だった俺には荷が重いからと龍神としての務めはお袋が代わりとしてやってくれた。結晶もお袋が作った結界の中に一時的に保管されることになった。
満開の桜が咲き誇る頃、龍神としての名を継承する為の儀式を行なった時だった。
大勢の神とあやかし共が集まる中、一人の女があるモノを抱えながら参列してきたのだ。
お袋は嬉しそうに彼女に近づく。
「まぁ!この子が真魚ちゃんの娘ちゃん?!!可愛い!!」
友人なのだろうか。親しげに話す様に俺は呆然と見守る。
真魚と呼ばれた女はお袋の傍で隠れる俺に気が付き話しかけてきた。
「おめでとうございます。信様。この子は私の娘の"陽子"です。抱いてやってくれませんか?」
黒い髪がとてもに似合うその人の笑顔と、お袋から「抱かせてもらいな」という掛け声に促される。真魚が大事そうに抱えていたモノを俺はそっと受け取った。
まだ生まれて間もないその子は不思議そうに俺の顔を見た。
「……可愛い」
「きっとこの子も龍神の巫女になる。必ず信様の力になるでしょう」
将来の龍神の巫女で俺が初めて美しいと感じた人間。
そして、初めて人を愛しさせてくれた大事な女性。
これが陽子との最初の出会いだった。
俺は、この子を守ると誓う。幸せにするとも。
龍神としてのこの村を守りながら陽子のことを見守ると決意するのだった。