次の日、杏ちゃんがお見舞いに来てくれた。
「鈴花〜、学級写真とかなにかきっかけになりそうなもの色々持ってきたから一緒に見よう!」
 杏ちゃんが私のためにしてくれること、全てが有難い。こんな友達がいて幸せだと感じつつ、どうして記憶喪失になる前の私はこんないい子に心を開かなかったのだろう、と不思議に思ってしまう。
「───あっ」
「何か思い出した?」
「この人…響希?」
 何故か分からないが、私が今までになったクラス・杏ちゃんがなったクラス・その他たくさんの子に協力してもらって貸してもらったらしい学級写真のうちの一枚に響希が写っていた。
「鈴花、響希先輩と面識あったっけ?」
「ない…と思う、この時は。あったとしても同じ学校だなんて聞いてない…」
 そもそも響希は四歳年上だ。どうしてこの写真に写っているのだろう。
「何かあったの?響希先輩と同じ卒業生の先輩にも写真借りられたから持ってきたんだけど、まずかった…?」
「そうだったんだ…大丈夫!わざわざありがとう!それにしても杏ちゃん人脈広いんだね!びっくりしちゃった。」
「えへへーそれ程でもないよ」
 杏ちゃんはそう言いながらドヤ顔で照れていた。
 
 その日の杏ちゃんとの記憶探しの時間は、響希が同じ学校だったということが分かった以降、そのことが気になって手が付かなかった
「また響希がお見舞いに来てくれた時に聞いてみよう。」