説明書を読みながらスタートボタンを押すと、ガタガタと洗濯機が音を立てて動き始める。
「麻衣の洗濯物も一緒に洗ってもいい?」
と聞いたら、顔を赤くしながらも首を縦に振ってくれたので、俺が洗濯をしているのだ。下着についても同様で、まとめて洗っている。
一緒に洗おうと提案した時は拒絶されるかと思っていたけど、素直に受け入れてくれて驚いた。麻衣の判断基準はよく分からない。
まあ、そのおかげで洗濯は一回で終わるようになったし、時間の節約は出来るようになったから良いんだけどね。ちなみに干すときだけは、一緒にやろうとルールを決めている。
しばらくすると洗濯機からピーと動作終了のメロディが流れたので、洗濯物を取り出し、カゴに入れてリビングに持っていく。
「洗い終わったから干そう」
「はい」
ソファーで休んでいた麻衣は、静かに返事をしながら立ち上がった。
窓を開けると冷たい空気が部屋に入ってくる。一緒にバルコニーに出た。少し肌寒い。まだ冬の寒さが残っているようだ。
外は真っ暗なので一晩外に出して干すことになるけど、ここは二十五階なので下着泥棒の心配はなかった。朝は忙しいこともあって、毎日この時間に洗濯することになりそうだ。
俺の服やバスタオルを洗濯ハンガーにぶら下げていく。
パンパンとシワを伸ばしてからクリップにつける。また洗濯カゴから服を取ろうとして手が止まった。
カゴの上には、可愛らしい水色の女性物のパンツがあった。
正面には小さいリボンがあり、前の部分は透けるような素材で出来ている。シルクのような光沢もあり、大人っぽいデザインだ。その下に俺のパンツがあるので触ってどける必要があるのだが……いいのだろうか。
悩んでいると、麻衣の手が伸びてパンツをさっと取ってしまった。
顔を見ると耳まで赤くしている。
「じっと見ないで下さい……」
あっ! 外から見るとパンツを凝視している変態に見えたのかもしれないッ!!
失敗した。触って良いか悩んでいたといっても、言い訳にしかならないだろう。ここは素直に謝るしかない。
「ごめん。次から気をつける」
「え、はい。お願いします」
お互いに頭を下げる謎の行動をしてから洗濯物を干す作業を再開した。
自分のパンツをクリップに挟みながら、目だけを動かして麻衣を見る。普通だ。特に嫌悪感が出ているようには思えない。
さっきの失敗は、許してもらえたのだろうか?
気持ち悪い義兄として距離を取られてしまったら、どうしよう……。
立ち直れないかもしれない。
「お義……兄さん。私の分は終わりました」
下着を凝視していた俺に義兄と言ってくれた!
ワンアウトでまだギリギリセーフといった感じだろう。嫌われなくて良かったと安心する。
少し遅れて干す作業を終えた。
「俺も終わった……よ?」
声をかけながら麻衣を見ると、彼女は夜景を眺めていた。
「キレイですね」
その言葉につられて、俺も外を見る。
夜空には満月がある。街頭や建物の光が夜を照らし、幻想的な夜景を生み出していた。星があれば完璧だったんだが、空気の悪い東京で望むのは贅沢だろう。
「そうだな」
部屋に戻ることも忘れて夜景を楽しんでいると、隣にいる麻衣が口を開く。
「今日はありがとうございました。ケーキ美味しかったです」
急にお礼を言われたので麻衣の横顔を見ると、薄く微笑んでいた。
もう数年すれば魅力的な女性に成長するだろうことを確信させる。変な男が近寄ってこないように気をつけようと決意するほどだった。
「今度は二人でいこうか」
「……え?」
驚いた声をだしながら麻衣が俺を見た。
「入学祝いに美味しいものを食べよう」
「良いんですか?」
「もちろんだ。新しい兄として見栄を張らせてくれ」
言ってから照れくさくなってしまったので、麻衣から視線を外して夜景を見る。
すぐに返事が来ないので内心はドキドキしながら待っていると、クスと小さく笑った声が聞こえた。
気になってしまい再び麻衣の顔を見る。儚げで息をのむほど美しかった。
これが俺の義妹? 嘘だろ? 盛大なドッキリだと言われた方がまだリアリティがあるぞ。
「優希さんが、私のお義兄さんになってくれて良かった」
なんて言えば良いか迷ってしまい黙ったままだったが、俺も似たような気持ちだった。
新しい家族、新しい生活、その全てが不安だった。大人だからしっかりしなければと気を張っていたこともあって、麻衣の言葉は俺を安心させてくれた。
「入学祝いですが……有名なお店に行ってみたかったんです。ちょっと高いんですが良いですか?」
「こう見えても稼いでるんだ。任せておけって」
「ありがとうございます! お店に行くのが楽しみです!」
可愛い義妹のためなら、多少値が張るような店でも安く感じる。
親父が再婚するって聞いたときはどうなるかと思ったけど悪くはない結果だった。
一応、感謝しておくぞ。
「麻衣の洗濯物も一緒に洗ってもいい?」
と聞いたら、顔を赤くしながらも首を縦に振ってくれたので、俺が洗濯をしているのだ。下着についても同様で、まとめて洗っている。
一緒に洗おうと提案した時は拒絶されるかと思っていたけど、素直に受け入れてくれて驚いた。麻衣の判断基準はよく分からない。
まあ、そのおかげで洗濯は一回で終わるようになったし、時間の節約は出来るようになったから良いんだけどね。ちなみに干すときだけは、一緒にやろうとルールを決めている。
しばらくすると洗濯機からピーと動作終了のメロディが流れたので、洗濯物を取り出し、カゴに入れてリビングに持っていく。
「洗い終わったから干そう」
「はい」
ソファーで休んでいた麻衣は、静かに返事をしながら立ち上がった。
窓を開けると冷たい空気が部屋に入ってくる。一緒にバルコニーに出た。少し肌寒い。まだ冬の寒さが残っているようだ。
外は真っ暗なので一晩外に出して干すことになるけど、ここは二十五階なので下着泥棒の心配はなかった。朝は忙しいこともあって、毎日この時間に洗濯することになりそうだ。
俺の服やバスタオルを洗濯ハンガーにぶら下げていく。
パンパンとシワを伸ばしてからクリップにつける。また洗濯カゴから服を取ろうとして手が止まった。
カゴの上には、可愛らしい水色の女性物のパンツがあった。
正面には小さいリボンがあり、前の部分は透けるような素材で出来ている。シルクのような光沢もあり、大人っぽいデザインだ。その下に俺のパンツがあるので触ってどける必要があるのだが……いいのだろうか。
悩んでいると、麻衣の手が伸びてパンツをさっと取ってしまった。
顔を見ると耳まで赤くしている。
「じっと見ないで下さい……」
あっ! 外から見るとパンツを凝視している変態に見えたのかもしれないッ!!
失敗した。触って良いか悩んでいたといっても、言い訳にしかならないだろう。ここは素直に謝るしかない。
「ごめん。次から気をつける」
「え、はい。お願いします」
お互いに頭を下げる謎の行動をしてから洗濯物を干す作業を再開した。
自分のパンツをクリップに挟みながら、目だけを動かして麻衣を見る。普通だ。特に嫌悪感が出ているようには思えない。
さっきの失敗は、許してもらえたのだろうか?
気持ち悪い義兄として距離を取られてしまったら、どうしよう……。
立ち直れないかもしれない。
「お義……兄さん。私の分は終わりました」
下着を凝視していた俺に義兄と言ってくれた!
ワンアウトでまだギリギリセーフといった感じだろう。嫌われなくて良かったと安心する。
少し遅れて干す作業を終えた。
「俺も終わった……よ?」
声をかけながら麻衣を見ると、彼女は夜景を眺めていた。
「キレイですね」
その言葉につられて、俺も外を見る。
夜空には満月がある。街頭や建物の光が夜を照らし、幻想的な夜景を生み出していた。星があれば完璧だったんだが、空気の悪い東京で望むのは贅沢だろう。
「そうだな」
部屋に戻ることも忘れて夜景を楽しんでいると、隣にいる麻衣が口を開く。
「今日はありがとうございました。ケーキ美味しかったです」
急にお礼を言われたので麻衣の横顔を見ると、薄く微笑んでいた。
もう数年すれば魅力的な女性に成長するだろうことを確信させる。変な男が近寄ってこないように気をつけようと決意するほどだった。
「今度は二人でいこうか」
「……え?」
驚いた声をだしながら麻衣が俺を見た。
「入学祝いに美味しいものを食べよう」
「良いんですか?」
「もちろんだ。新しい兄として見栄を張らせてくれ」
言ってから照れくさくなってしまったので、麻衣から視線を外して夜景を見る。
すぐに返事が来ないので内心はドキドキしながら待っていると、クスと小さく笑った声が聞こえた。
気になってしまい再び麻衣の顔を見る。儚げで息をのむほど美しかった。
これが俺の義妹? 嘘だろ? 盛大なドッキリだと言われた方がまだリアリティがあるぞ。
「優希さんが、私のお義兄さんになってくれて良かった」
なんて言えば良いか迷ってしまい黙ったままだったが、俺も似たような気持ちだった。
新しい家族、新しい生活、その全てが不安だった。大人だからしっかりしなければと気を張っていたこともあって、麻衣の言葉は俺を安心させてくれた。
「入学祝いですが……有名なお店に行ってみたかったんです。ちょっと高いんですが良いですか?」
「こう見えても稼いでるんだ。任せておけって」
「ありがとうございます! お店に行くのが楽しみです!」
可愛い義妹のためなら、多少値が張るような店でも安く感じる。
親父が再婚するって聞いたときはどうなるかと思ったけど悪くはない結果だった。
一応、感謝しておくぞ。