入学式と書かれた看板に立った麻衣と俺の写真を、家族のグループチャットに共有する。すぐに既読がついて親父やみきえさんからお祝いの返信がきた。なんと入学祝いを海外から発送したらしく、楽しみにしててくれというおまけ付きだった。
「紬さんも写真いる?」
「はい! フレンドになってもらえますか?」
チャットアプリのフレンドになって直接送って欲しい、という意味だろう。麻衣経由で送る方法を考えていたので、直接送る提案をされるとは思わなかった。成人済みの男がJKとフレンドになる……。犯罪臭がする話だ。
とはいえ、IDを交換しただけで捕まる法律はない。断る理由はないのでスマホのチャットアプリを立ち上げると紬さんとフレンドになる。
可愛らしい猫のアイコンが紬さんだった。先ほど撮影したばかりの写真を送る。
「大切にします!」
喜びながら紬は麻衣の腕に絡んでひっつくと、仲良くおしゃべりをし出した。
今日は彼女たちが主役で楽しみにしていた日なのだから、良い思い出になってくれれば良いと思う。
「俺は先に体育館に入って保護者席に座ってるから」
邪魔するのも悪いので二人と別れて体育館の中に入ると、パイプ椅子がずらりと並んでいた。早めにつきすぎたみたいで人はほとんどいない。保護者席と書かれているエリアの一番後ろの方に座ると、開始される時間まで待つことにした。
スマホで時間を潰していると、徐々に生徒の両親だと思われる人が増えていく。平均年齢は三十後半から四十代前半が多そうだ。二十代前半の俺は浮いてしまっている。居心地が悪くなったので、スマホの画面を見ることにする。
しばらくして「新入生入場」の声が体育館中に響くと、整列して歩く生徒が体育館に入ってきた。同じ制服を着ているうえに、人が多すぎて麻衣や紬さんは見つけられなかったけど、どこかにはいるんだろうな。
その後のことはあまり覚えていない。校長の話が長すぎて眠くなったからだ。昔からそうなんだが、偉い人の話を聞くとすぐに眠気に負けてしまうのだ。
気づいたら入学式が終わる直前だったので、慌てて生徒が退出する姿を見送った。一応、麻衣は見つけたので小さく手を振ったんだけど、気づいてもらえただろうか。
入学式が終わって体育館を出るとスマホにチャットの通知がきた。麻衣からだ。
『紬ちゃんと同じクラスになりました』
中学時代の友達がクラスメイトになったのは喜ばしい。幸先が良いな。
『よかった。オリエンテーションが終わったら教えて欲しい。お昼は一緒に食べよう』
『分かりました。紬ちゃんも誘って良いですか? ご両親は先に帰ってしまったみたいで、予定がないそうです』
『それはいいね! 俺がおごるから一緒に食べよう!』
お金のことを気にしそうだったので、先手を打っておいた。
女子高生一人分ぐらいならたいした金額にはならない。社会人を舐めるなよと、謎のプライドを発揮したのだ。
『ありがとうございます!』
ヘッドホンをつけているペンギンのスタンプが麻衣から送られてきて、会話が終了となった。
スマホをしまってから駅前の喫茶店に入る。アイスコーヒーを飲みながら外を眺めて待っていると、制服姿の高校生の姿を見かけるようになった。
入学のオリエンテーションが終わって帰宅しているのだろう。両親と一緒に帰っている姿が多く見かけるが、中には早くも友達を作った人たちもいるみたいで、この後は遊びに行きそうな集団も見かける。
楽しそうで何よりだと温かい目で見守っていると、ようやく連絡がきた。喫茶店の近くに来たようなので会計を済ませて外に出る。
スポーツ美少女と文系っぽい美少女、タイプが正反対の二人はすぐに見つかった。
「お待たせ」
声をかけると、二人はそれぞれ小さく頭を下げて返事をしてくれた。
距離感があると思わずにはいられないが、こればっかりは仕方がないか。まだまだ知り合いのおっさんレベルだろうからな。
「近くのファミレスに行こう。好きなものを頼んで良いからね」
「はい!」
先にお礼を言ったのは紬だった。申し訳なさそうな顔をしていたので、安心させるために笑顔を浮かべる。
「今日は遠慮せずに、いっぱい食べてね」
「「はい!」」
麻衣と紬は声を合わせて元気よく返事をしてくれた。
スポーツ少女である柚さんは麻衣より多く食べるだろうし、これでいいのだ。もう遠慮して少ししか頼まないということはないだろう。
三人で近くにあるファミレスに入る。テーブル席に案内されると、俺の向かい側に二人が座った。ケーキを食べたときと同じ位置だ。仲良くメニューを見ながら相談している。
余っているメニューを取って食べる物を選ぶ。ちょうど麻衣と紬も決め終わったみたいなので、店員を呼んで注文をした。
料理が運ばれてくるまでの間、新しいクラスの話題で盛り上がる。
紬はイケメンが多いと喜び、麻衣は一番後ろの席でよかったと安堵しているのが性格が出ているなと思ったのだった。
「紬さんも写真いる?」
「はい! フレンドになってもらえますか?」
チャットアプリのフレンドになって直接送って欲しい、という意味だろう。麻衣経由で送る方法を考えていたので、直接送る提案をされるとは思わなかった。成人済みの男がJKとフレンドになる……。犯罪臭がする話だ。
とはいえ、IDを交換しただけで捕まる法律はない。断る理由はないのでスマホのチャットアプリを立ち上げると紬さんとフレンドになる。
可愛らしい猫のアイコンが紬さんだった。先ほど撮影したばかりの写真を送る。
「大切にします!」
喜びながら紬は麻衣の腕に絡んでひっつくと、仲良くおしゃべりをし出した。
今日は彼女たちが主役で楽しみにしていた日なのだから、良い思い出になってくれれば良いと思う。
「俺は先に体育館に入って保護者席に座ってるから」
邪魔するのも悪いので二人と別れて体育館の中に入ると、パイプ椅子がずらりと並んでいた。早めにつきすぎたみたいで人はほとんどいない。保護者席と書かれているエリアの一番後ろの方に座ると、開始される時間まで待つことにした。
スマホで時間を潰していると、徐々に生徒の両親だと思われる人が増えていく。平均年齢は三十後半から四十代前半が多そうだ。二十代前半の俺は浮いてしまっている。居心地が悪くなったので、スマホの画面を見ることにする。
しばらくして「新入生入場」の声が体育館中に響くと、整列して歩く生徒が体育館に入ってきた。同じ制服を着ているうえに、人が多すぎて麻衣や紬さんは見つけられなかったけど、どこかにはいるんだろうな。
その後のことはあまり覚えていない。校長の話が長すぎて眠くなったからだ。昔からそうなんだが、偉い人の話を聞くとすぐに眠気に負けてしまうのだ。
気づいたら入学式が終わる直前だったので、慌てて生徒が退出する姿を見送った。一応、麻衣は見つけたので小さく手を振ったんだけど、気づいてもらえただろうか。
入学式が終わって体育館を出るとスマホにチャットの通知がきた。麻衣からだ。
『紬ちゃんと同じクラスになりました』
中学時代の友達がクラスメイトになったのは喜ばしい。幸先が良いな。
『よかった。オリエンテーションが終わったら教えて欲しい。お昼は一緒に食べよう』
『分かりました。紬ちゃんも誘って良いですか? ご両親は先に帰ってしまったみたいで、予定がないそうです』
『それはいいね! 俺がおごるから一緒に食べよう!』
お金のことを気にしそうだったので、先手を打っておいた。
女子高生一人分ぐらいならたいした金額にはならない。社会人を舐めるなよと、謎のプライドを発揮したのだ。
『ありがとうございます!』
ヘッドホンをつけているペンギンのスタンプが麻衣から送られてきて、会話が終了となった。
スマホをしまってから駅前の喫茶店に入る。アイスコーヒーを飲みながら外を眺めて待っていると、制服姿の高校生の姿を見かけるようになった。
入学のオリエンテーションが終わって帰宅しているのだろう。両親と一緒に帰っている姿が多く見かけるが、中には早くも友達を作った人たちもいるみたいで、この後は遊びに行きそうな集団も見かける。
楽しそうで何よりだと温かい目で見守っていると、ようやく連絡がきた。喫茶店の近くに来たようなので会計を済ませて外に出る。
スポーツ美少女と文系っぽい美少女、タイプが正反対の二人はすぐに見つかった。
「お待たせ」
声をかけると、二人はそれぞれ小さく頭を下げて返事をしてくれた。
距離感があると思わずにはいられないが、こればっかりは仕方がないか。まだまだ知り合いのおっさんレベルだろうからな。
「近くのファミレスに行こう。好きなものを頼んで良いからね」
「はい!」
先にお礼を言ったのは紬だった。申し訳なさそうな顔をしていたので、安心させるために笑顔を浮かべる。
「今日は遠慮せずに、いっぱい食べてね」
「「はい!」」
麻衣と紬は声を合わせて元気よく返事をしてくれた。
スポーツ少女である柚さんは麻衣より多く食べるだろうし、これでいいのだ。もう遠慮して少ししか頼まないということはないだろう。
三人で近くにあるファミレスに入る。テーブル席に案内されると、俺の向かい側に二人が座った。ケーキを食べたときと同じ位置だ。仲良くメニューを見ながら相談している。
余っているメニューを取って食べる物を選ぶ。ちょうど麻衣と紬も決め終わったみたいなので、店員を呼んで注文をした。
料理が運ばれてくるまでの間、新しいクラスの話題で盛り上がる。
紬はイケメンが多いと喜び、麻衣は一番後ろの席でよかったと安堵しているのが性格が出ているなと思ったのだった。