会話が終わった途端、パッと画面が切り替わるように現実世界が戻ってきた。

「あれー?今、何か喋っていたような気がするんだけど?」
 ピアが目をぱちくりしながら言う。
「ん⁉︎気のせいじゃない?」
 アクナはキラの巨大扇子を折り畳みながら言う。
「そうかな〜?」
 ピアは(腑に落ちない)という顔をしている。

「俺たちは、良いことを言ったような気がする!」
 カルとポールは得意げに言う。
「お前たちにはムリだろう!」
 すぐにアレスがツッコミを入れる。
「いや、俺たちは天才だから。いつも神発言ばかりじゃん!」
 カルとポールは、アレスのツッコミをまったく気にしていない。
「ちげーだろ!俺が伝説レベルで、神以上だから」
 アレスは双子たちに向かって、ちょっと鼻高々に言う。

「あんたたち、何言ってんの?くだらないことばかり言って。誰が神よ?神じゃなくて、疫病神じゃない?」
 ルタは呆れたような顔をしている。
「はっ?お前こそ何言ってんだよ?イケメンの俺が疫病神な訳ねーだろう!」
 アレスはルタの言葉を否定する。
「はいはい、ムダにイケメンねー。黙っていれば・・・・ね⁉︎」
 ルタは面倒くさそうに片手を振ってあしらう。

「えー?あんたはイケメンじゃないわよ。一般よりもちょっと上ぐらいのレベルでしょう」
 アクナは鋭いツッコミを入れる。
「そうそう。本当のイケメンはキラ君でしょう!」
 キャミもアクナの意見に賛同する。
「ねー!誰もが認める圧倒的なオーラを持つ男。それはキラ君!」
 ルタもキャミの意見に賛成だ。
「あー!キラと比べないでくれよ。キラは殿堂入りしてんの。比較対象の枠には入ってないの」
 キラの名前が出て来て、急に勢いがなくなるアレス。

「えっ⁉︎僕はそんなことないよ。みんなと同じだよ」
 僕がそう言うと、みんなはじっーと僕の顔を見ている。ややあって、ルタが口を開く。
「キラ君って、鏡見ないの?」
「えっ⁉︎普通に見てるけど?」
「んじゃ、自分の顔は知っているよな?」
 アレスもキラに確認する。
「うん。まあ・・・・ね」
 キラの返答はあいまいだ。アレスはさらに質問を重ねる。
「まあねって。自分のレベルが分かってない?」
「レベルってあるの?」
 キラの言葉にピアがすかさず答える。
「あるよー!誰が見てもカッコいいっていう人は、そういないよ」
「んー、でも僕は、自分のことを普通だと思っているし、オーラとかも別にあるとは思っていないよ」
 キラの言葉にキャミとアレスはすかさず
「キラ君って、天然?」
「うん、そうだな。キラは天然だ」
「絶滅危惧種に指定されてもいいレベルだよね?」
 ポールが言うと、カルも頷きながら
「あー!きっと心が純粋で、天使みたいなんだ」
「分かるー!人というより、別次元の人?みたいな」
 ルタも双子たちの意見に賛同する。
「俺にはない何か。生まれ持った高貴な血というか、王族のような雰囲気」
 アレスは自分のことのように得意げだ。
「そうそうそれ!古代文明のラー!太陽のシンボル。地上を照らす光みたいな?」
 アクナはキラを神のように讃える。
「うんうん。納得。とにかく、キラ君って、どこかみんなと違う。人の上に立つべき人、リーダーって感じ」
 キャミもみんなの意見に賛同している。

「僕にはそんな才能はないよ。歴史上の人物でもあるまいし。僕はただ穏やかな人生を歩みたいだけだから」
 キラは、みんなの意見が大袈裟だと思った。
「えー!それじゃ、つまらないよ」
「せっかく持って生まれた資質があるんだから」
「それこそ、宝の持ち腐れだよ」
 カルとポールは「つまらない、つまらない」と言いながら、キラの周りを回っている。