僕をそっちのけで、僕のことについて、みんなは自己主張し合っている。そんな光景を微笑ましく眺めている僕。

 僕はきっとこんな日常を望んでいたんだな。
 またみんなと、新しい物語の章を始めていたんだな。
 僕は嬉しい。
 でも、僕はみんなに・・・・。
 僕が考え事をしていて、ふっと顔を上げると、みんなが黙って僕を見ていた。

「みんな、僕は・・・・」

 僕が何か言おうとして気がついたのか、みんなは「何も言うな」という風に頭を振って笑っていた。

「キラ様、私たちは、望んでこの世界にいるのです」
「そうです。キラ様。私たちは、自分の意志でこの世界にやって来ました」
「キラ様と共に過ごすため、俺たちはここにいます」
「キラ様。俺たちはあなたと共にいたいのです」
「私もです。キラ様。あなたはもう新しい物語を生きているのです」
「私たちは共にこの新しい世界で、自分の望む物語を生きて行く」
「そのために、私たちは生まれ変わって、新しい人生を生きているのです」
「ですから、どうか過去の出来事を思い煩わないでください」
「今回の人生を魂の望むままに、生きて行きましょう」
「私たちは、いつでもどこにいても、あなたの味方です」
「今、話している内容はすぐに消えて、記憶に残らないでしょう。でも、魂は覚えています。魂の導きと意志を信じて、今回の人生を思う存分楽しんで、生きて行きましょう」
「どうか忘れないで下さい。私たちの魂は、繋がっているのだということを」

 別の時空・次元にいた時の懐かしい姿のみんなを見て、(本当にあの頃から僕の側にいてくれたんだな)と改めて思った。
 みんなの姿・形や記憶は違うけれど、当時と変わらぬ思いは僕の魂が知っている。

 だから、「ありがとう。みんな」