天空の入口で別れ、普通の星の子たちが進む道を行った友人たち。みんなは雲の上をふわふわと歩く感触に大はしゃぎだった。
 案内の人から「友人たちだけで先に食事をしてください」と言われたので、みんなは美味しそうな匂いのする人気店で、お腹いっぱい食事をしていた。
 お喋りに花が咲き、長時間居座って話し続けた友人たち。
 ふと気がつくと、何か大切なことを忘れているような感覚に襲われた。

「あれ?俺たち何でここに来たんだっけ?」
 アレスが思い出したようにみんなに聞く。
「お腹が空いていたからでしょ!」
 ルタは(そんなこと当然でしょ!)というような口調だ。
「そうそう!すっごく美味しかったねー」
 キャミはお喋りが楽しくて、表情が和やかだ。
「うん。けっこう長時間喋っていたよね?」
 双子のカルとポールは「俺たちはまだまだお喋り出来る!」と言いながら、デザートを頬張っている。
「何か忘れているような気がするんだけど?」
 ピアの心配性レーダーが作動したが、どうしても思い出せない。
「あー、俺も同じこと思った」
 アレスは、胸の中に何かが引っかかっているようなモヤモヤした気持ちを感じていた。
「何だっけ?全然思いつかないよ?」
 双子たちもピアとアレスの言葉が気になり、お互いに「何だと思う?」と聞き合っている。
「私も。さっきから何か引っかかるんだけど、思い出せない」
 ルタもみんなと同じように違和感を感じている。

「うーん。まあ、諦めて今日の所は帰りますか?」
 双子たちはデザートも食べ終わったし、早々に考えるのを止めた。
「そうだね。後で思い出すかもしれないし」
 キャミも仕方がないといった様子で、双子たちの意見に同意した。
「でも、とっても大切なことのような気がする」
 アクナは、胸の奥がチクチクと痛むような悲しみを感じていた。

 友人たちは、いくら考えても思い出せないことを考えるのは止めて、家に帰ることを決めた。
 みんなは、大切なキラのことを忘れてしまったのだった。