巨大な黄金都市のピラミッドの内部は広大で、外にあった黄金の階段や扉、鉱石などがあちらこちらに浮かんでいる。天井はとても高く、見上げても先が見えないぐらいだ。
 ピラミッドの中央には「創造の木と泉」があり、これまたピラミッドと同じくらい巨大だ。ピラミッドの上方部分がクリスタルなのは、「創造の木が光を吸収するため」と説明してくれた。創造の泉の方は、もはや滝のような勢いのある水の流れのように見えた。その水がキラキラと光って見えるのは、クリスタルや他の鉱石の粒が一緒に流れているからだ。その上、この創造の木は黄金で出来ていて、いつも見ている創造の木よりも豪華絢爛で、存在感が圧倒的だった。

「ここの『創造の木と泉』は、他の『創造の木と泉』と違いますね?」
「はい。ここは創造主がいる『はじまりの場所』にある『創造の木と泉』に最も似ていると言われていますが、そこから直接エネルギーを与えてもらっているのは、この黄金都市にある『創造の木と泉』だけです。そして、星の子たちがいる所に設置されている『創造の木と泉』へこの黄金都市からエネルギーを送っています」
「そうなんですね。僕たちの所にある『創造の木と泉』は、水のように見えて全然濡れないのはどうしてですか?」
「みなさんの所にある『創造の木と泉』は、特別なクリスタルと水で出来ています。その上、各エリアのテーマに合わせて作っているので、まったく同じ物はありません」
「それから、『創造の木と泉』からは水の玉がぽんぽんと出て、記憶図書館の扉の中へ入って行くのを見ました」
「水の玉ですね。『創造の木と泉』の役割は、星の子のみなさんの記憶、つまり、思い、祈り、願いなどを保存することです」
「なぜですか?」
「それは、創造主が望んでいることだからです。創造主は、この世界のすべてを創造しました。そして、水を使って星の子の記憶を保存し、星の子たちの思い、祈り、願いを知るのです」
「なぜ、そんなことをするのですか?」
「それは創造主にしか分かりませんが、星の子たちが様々な経験をして体感した感情や思いが、この世界に必要だからと考えているのかもしれません」
「この世界に必要なもの?」
「それは、星の子の誰もが持っている力、『創造力』です」
「創造力?」
「星の子たちは、創造力を使ってこの世界に様々なものを生み出しました。いくつもの文明や科学技術、生活の知恵や創意工夫のアイディア、閃きや直感など、創造力を駆使して、星の子たちを進化させてきたのです」
「星の子たちの進化が、創造主の望みなのですか?」
「はい。創造主が最終的に何をお望みなのかは分かりませんが、私たちに創造力を与えてくださったのは、この世界にいる星の子たちの進化と繁栄のためだと私は思います」

(僕たちは、どこまで進化しているのだろう?)

 キラは(創造主に会うことが出来たら聞いてみたいな)と思った。