「では、中の方へ参りましょう」
 代表の方が言葉を発すると、キラの目の前に巨大なクリスタルが現れた。

(さっき僕たちが乗ったクリスタルよりも、はるかに大きい)

「さあ、キラ様。クリスタルの中にお入りください。途中まで、我々もご一緒させて頂きます」
 キラは白い衣装を着た人たちと共に、クリスタルの中に入った。

 音もなく、すーっとクリスタルは動き出した。物凄い速さで移動しているのにまったく揺れず、ソファーに座ってのんびりとくつろいでいるぐらい快適だ。
 クリスタルの内部も、外で見た時よりも広くてゆったりとしていて、居間でくつろぐためのテーブルと椅子のような家具も備え付けられていた。
 クリスタルの中から見るピラミッド型の都市は豪華絢爛で、黄金の他にも、色とりどりの鉱石や宝石が装飾されていて、『宝の山』というような印象だ。
 クリスタルで移動中、飲み物や軽食なども用意されていたので、お腹が空いていたキラは遠慮なく頂いた。

(もしかして、僕が食べ終わるのを待っていてくれたのかな?)

 キラがそう思うほど、ちょうど食べ終わったタイミングで、ピラミッドの入口に到着した。

「キラ様。ここから先は、別の者がご案内させて頂きます。ここまでご一緒出来たことを本当に嬉しく思います。
 またお会いできるのを楽しみにしております。では、我々はここで失礼致します」
 出迎えてくれた白い衣装の人たちは、名残惜しそうにキラを見送ってくれた。