「ねえ?おかしくない?本当にすべての乗り物が帰って来ているのかな?」
 ルタは、さっきの係の人の言動が怪しいと疑っている。
「うーん。どうだろう?」
 キャミは何となく違和感があるが、それが何なのか分からなかった。

「キラが黙って先に帰るわけないし」
「そうです。キラ君は私たちを置いて帰らない」
 アレスとピアは、キラがまだこの場所にいると信じているのだ。

「そうだよ。キラは俺たちと一緒にいたいはず!」
 双子たちは「俺たちが1番にキラを見つけるぞ!」と意気込んでいる。
「お前たちとは、一緒にいたいとは思っていないはずだけど?
 でも、キラが1人でどこかに行くって変だな」
 アレスは、双子たちに突っ込みつつ、キラの行動を考えている。

「やっぱりまだ戻って来ていないのかも?もしかして、途中で事故にあったとか?」
 ルタの発言に、みんなの顔が青ざめる。
「えー!キラ君がどこかで怪我をしているのかも⁉︎」
「早く助けに行かないと!」
 ピアとアクナは、今にも飛び出して行きそうなほど焦っている。

「待て!待て!まだそうと決まった訳じゃないし!」
 アレスも驚きつつも、冷静さを保つ。
「でも、何か様子がおかしいかもな」
 アレスは、さっきの係の人の対応を思い返していた。

「さっきの係の人たち、少し様子が変だった。何か隠しているのかも⁉︎」
 ルタも最初に感じた疑いが、再浮上している。
「もっと別の人に聞いて、探してもらおうよ!」
「うん。そうだね」
 キャミとアクナは「一刻も早くキラを見つけたい!」と思って落ち着かない。

 友人たちは、総合案内所の方へと向かって歩いて行った。そして、今度はルタが代表でお願いした。
「あの、探している人がいます。リボンウェーブに乗った友人が、まだ戻って来ていません。係の人に確認しましたが、乗り物は全部帰って来ているから、友人も帰って来ているはずと言われました。でも、友人は戻って来ていません」
「そうですか。それでは、こちらの方でも探してみます」
「よろしくお願いします」
 しばらくして、友人たちは、キラの乗った乗り物もちゃんと戻って来ていることを告げられた。

「じゃあ、キラはどこへ行ったんだよ?」
「どこかで迷っているのかな?」
「心配だよ」
 アレスと双子たちは、キラが見つけられず焦っている。

「どうしよう」
 ピアは、今にも泣きそうな声で、手で顔を覆っている。
「とにかく、もう1度探してみよう!」
 キャミはピアを慰めるように、優しく頭を撫でて言った。