またもや、やいのやいのとキラ争奪戦が開始された。
 いつものことで慣れっこのキラは、しばらく傍観していた。

(このままだとさらにヒートアップしそうな雰囲気だな・・・・。じゃあ、今回はちょっと驚かせてみようかな?)

 キラは勢いよく「パン!」と手を叩き、大きな音を出してにっこり笑いながら言った。
「このままだと、みんなのこと嫌いになっちゃうよ」

 キラの言葉がよほどショックだったのか、みんなは黙って静かにキラの後をついて歩いて来る。
 あまりにも急に静かになった友人たちの姿が可愛く思えて、キラは吹き出してしまった。
「ねえ、みんな、どうしたの?そんなに静かになって」
「だって、キラ君に嫌われたらどうしようと思って・・・・」
 ルタは、いつもの勝気な口調がなくなっている。
「俺だってイヤだから。嫌われるのは・・・・」
 アレスも別人のように下を向いている。
「私はショックで寝込みそうです」
 アクナは、体から魂が抜けたような表情で落ち込んでいる。
「キラは俺たちの希望の星なのに・・・・」
 双子たちは、キラに「俺たちの大好きなチョコレートをあげるから嫌わないで!」とお願いしている。
「私もちょっと悲しくて・・・・」
 キャミは今にも泣きそうだ。
 ルタとピアは「キラ君に嫌われた!どうしよう!」と意気消沈している。

 僕のひと言で、こんなにも落ち込んでいる友人たちの姿が、可哀想に思えて
「みんなのことは嫌いじゃないよ。さっきのは冗談のつもりで言ったけど、みんながこんなにショックを受けるなんて思わなかった。ごめんね」
 キラの言葉を聞くと、たちまちみんなは元気を取り戻し
「そうだよな。俺のキラは、俺のこと嫌いじゃないよな」
「俺たちのキラは、俺たちのこと大好きだよね!」
 アレスと双子たちは、すぐに前向きな思考に切り替わる。

「私のことも好きですか?」
「私のキラ様は、やっぱり優しい」
「キラ君は、全然悪くありません」
「私のキラ君は、最高ー!」
 女性陣もパッと表情が和らいで、たちまち通常運転の口調に戻った。