僕と君と私の世界の物語

「大丈夫ですか?」
 何度か声をかけられて、はっと目を覚ましたキラ。
「うなされていましたよ」
 心配そうな声に
「ありがとうございます。大丈夫です」
 とお礼を言った。
「あれ?あなたは昨日の・・・・」
 そう言われ顔を見ると、記憶図書館で親切に説明してくれた人だった。

「あっ!昨日はありがとうございました」
「いえいえ。私もボランティアで案内していますから」
 にっこりと笑って答えてくれたその人は、温かくて優しい感じの人だ。

「私はベルカナと言います。私も今日はグレートホールでの講義を聞きに来ました。
 本が好きなので、普段は記憶図書館やグレートホール、アメンティーホールなどで活動しています。
 星の子のみなさんは、それぞれ才能や特技を活かして、自由に好きなことでボランティアや活動をしていますよ」
「そうなんですね。僕も水の記憶に関することに興味があって、講義を聞きに来ました。
 その後は、もっと詳しいことが知りたくて、本を探していたんです」
「何か見つかりましたか?」
「光っている本を見つけて、その本を手に取ると、中から水の玉が何個か飛び出して来て、その中に包まれたら眠ちゃったようで、夢を見ていました」
「どんな夢ですか?うなされていたし、何か悪い夢でも見ていたんですか?」
「はい。それが、はっきりと覚えていなくて。さっきまではよく覚えていたのに。
 今は曖昧で、何かもやがかかっているようで・・・・」
「あまり無理に思い出さない方がいいかもしれませんね。
 記憶というのは、何かきっかけがあれば、一気に思い出すこともありますし」
「はい。そうですね。無理に考えない方がいいかもしれません」
「あっ!そうだ。私の友人も、水の記憶について、私と一緒に調べたり探しているので、話を聞いてみましょう」
 そう言って、ベルカナは、彼女の友人だという1人の男性を紹介してくれた。
「こんにちは。僕はイアンです。ベルカナと一緒に、水の記憶について調べています」

(なんて爽やかで、物腰の柔らかい人だろう)

「私たちはある星を救うために、水の記憶に関する情報を集めています」
「ある星とは、虹の花の秘密があるという星ですか?」
「そうです。虹の花のことはどこまで知っていますか?」
「いいえ。詳しくは分かりません」
「大丈夫です。誰も、虹の花のことをよく知らないのです。
 幻の花と呼ばれているし、誰も見たことがないのですから」
「そうなんですか?」
「ええ。伝説や物語の中によく虹の花が出てきます。でも、実際に、実物の花を見た星の子は誰もいません」
「では、なぜ、星の子たちは、虹の花のことを気にするのですか?」
「虹の花は『すべての願い事を叶える花』だと言われているからです」
「えっ⁉︎そんな花があるんですか?」
「ええ。虹の花は、この世界を創った創造主がいる『はじまりの場所』に咲く花で、創造主が最も大切にしている花だと言われています」
「虹の花は『はじまりの場所』だけに咲くのですか?」
「それは、何とも言えません。実際にどこに咲いているのか、虹の花がどんな花なのか、誰にも分からないので。
 ですが、虹の花にはクリスタルが関係しているようです」

 クリスタルと聞いて、友人たちがフェスの話で言っていたことを思い出した。
「あっ!そう言えば、古代のクリスタルエネルギーで、黄金都市を復活させたいという話を聞きました」
「ええ。その話は、私も聞いています。古代の叡智が詰まったクリスタルを使って『黄金都市を復活させて、虹の花も手に入れる』そんなことを考えている種族もいるようです」
「つまり、『水の記憶、虹の花、クリスタル、黄金都市』これらは密接に繋がり合って、関係が深いという訳なの」
 イアンの説明を聞いて、ベルカナがまとめるように言った。
 イアンは、ベルカナの方を見てニコッと笑ってから、続けて話し始めた。

「ああ、それと、星の子たちが持っている星のカケラも、水の記憶と共鳴します。
 星のカケラには、星の子たちの使命が刻まれていますが、それが水の記憶と交わることで、様々な次空間、次元にある記憶にアクセス出来ることもあるようです」
「それは、過去の記憶にもアクセス出来るのですか?」
「はい。それは可能です。星の子1人1人の能力や才能、資質や目的は違います。
 星の子たちは、自分で使命を決めて生まれてきていると言われていますが、中には、創造主から『特別に与えられた使命』を刻まれた星の子たちも存在します。
 その星の子たちは、過去、現在、未来を通して、長い時間、この世界のために役割を担っていると言われています」

(創造主から、特別な使命を与えられた星の子たち・・・・。そんな星の子もいるんだ・・・・)

「では、その特別な星の子たちが、創造主に与えられた使命を間違えたり、失敗などを行った場合はどうなるんですか?」
「その時は、その星の子が存在するすべての世界が消滅すると言われています」
「えっ?今までそんなことは起きているんですか?」
「残念ながら、たくさん起きています。数えきれないぐらいの星が消滅して、星の子たちの記憶も消え去ったと言われています」

 キラは、イアンの言葉にショックを受けていた。
「星の消滅」
 その言葉が、重い鉛のようにキラの心に突き刺さったからだ。

「この世界では、毎瞬、毎瞬、新しい星が生まれ、それと同時に星が消滅します。生まれては消えていく星は、数えきれないくらいありますが、水はそのすべてを記憶します」
「じゃあ、水は消えた星のことも記憶しているんですね?」
「はい。そうです。しかし、水はあらゆる所に存在し、自由に流れて行くものです。どの水が消えた星の記憶を持つのか、調べるのは大変だと思います」

 イアンの説明を聞きながら(水の記憶を調べるのは気が遠くなるほど大変そうだ)とキラは思った。
「ああ、それから、水の記憶に関連することですが、星の子のみなさんがスターゲートを通して星狩りに行くのは、星にある星の子たちの記憶を回収するためです」
「星狩り!アンドロメダ銀河フェスでも行うと聞きました」
「はい。そうですね。アンドロメダ銀河フェスは大規模なフェスですので、様々な種族の方も星狩りに参加されるでしょう」
「みんなで記憶の回収をしてどうするのですか?」
「星の子たちの記憶の回収後は、『はじまりの場所』にある『創造の木と泉』の所へ送ります。そこで、記憶は保管されるようです」

(「はじまりの場所」ってどこにあるんだろう?・・・・。星狩りって、僕にも出来るかな?・・・・)

「星狩りって、誰でも参加出来るのですか?」
「はい。参加条件はないと思います。ですが、各スターゲートの守護星人の方々が、パートナーの星獣や星ガイドなどを連れて指揮をとりますので、星狩りに精通した星の子たちが参加することが多いです」

(うーん。熟練した達人たちが参加するってイメージだな。素人の僕が参加してもいいのかな?・・・・)

「何だか、ベテランの星の子たちが参加する雰囲気ですね。でも、星狩りの様子を見てみたいな。どうやって記憶の回収を行うのですか?」
「クリスタルを使います。記憶の回収と保存専用の水のクリスタルです。
 巨大な球体の中に、クリスタルで作られた正四面体の上下逆さになったピラミッド型マカバが入っています。
 それが様々な場所に設置されていて、そこに回収した記憶が吸収され『はじまりの場所』にある『創造の木と泉』へ転送されます」
「イアンは、そのクリスタルを作るチームに参加しているのよ」
 ベルカナの口調から、イアンに対して誇らしい気持ちが伝わる。
「そうなんですね!だから、水の記憶やクリスタルに詳しいのですね」

(なるほど!納得だなー)とキラは感心していた。

「今日は、たくさん教えてくださり、ありがとうございました!」
「少しは参考になりましたか?」
「はい。まだまだ分からないことはたくさんありますが、興味深いお話が聞けて、探す手掛かりは掴めました」
「それなら良かった。またいつでも、気軽に話を聞きに来てくださいね」
「はい。ありがとうございます」
 キラは、2人のおかげで有意義な時間を過ごせたことが嬉しく、感謝の気持ちを伝えた。

 2人と別れた後、キラは友人たちと約束をしていたことを思い出し、待ち合わせ場所へと向かった。
「おーい!キラ君〜。こっちこっち〜!」
「あっ!キラ!やっと来た!」
「キラ君〜。待ってたよ〜」
「キラ様〜!こちらです〜」

 キラを見つけると、友人たちは嬉しそうな顔で手を振り「早く!早く!」とキラを急かした。

「ごめーん。みんな。お待たせ」
 少し小走りで走って来たキラに
「いいよー。キラ。俺は全然待っていないぞ!」
 キラに1番に話しかけたのは、アレスだ。
「私たちも、今、来た所です」
 キャミは、嬉しそうな顔で話しかける。
「そうそう。ちょうどいい感じに到着したね!」
 双子のカルとポールも、キラに会えて嬉しそうだ。
「キラ君だったら、何時間でも待っちゃうよー」
 ルタは、キラだけには特別な対応を取るが、他の男性陣には塩対応だ。
「うん。キラ君は特別!」
 ルタの言葉に同意見のピアもアクナも、キラには別待遇だ。

 みんなはキラが来て、とても機嫌がいい。
 でも、キラは約束の時間より遅れたような感じがして、みんなに謝った。
「うんうん。少し遅れたと思うな。ごめん」
「そんなことないよ」
「そうそう。キラが来た時間が、正しい待ち合わせの時間だから」
 キラの言葉に双子たちが「当然だ!」という顔で言う。
「えっ?そうなの?」
 キラは、双子たちの言葉に驚いている。
「そうだよ。俺たちは、いつでもキラを基準にして考えているから」
 アレスも、キラが来るなら「何時でもいい」という感じだ。

「キラ君が世界の中心なの」
 ピアは、頭の中の妄想が肥大化したような口ぶりだ。
「キラ君と同じがいい」
「うんうん。キラ君が正しい」
 キャミとルタも、男性陣の意見に同意しながら「キラ君が1番だよねー!」と確認し合っている。
「私のキラ様は神ですから!」
 アクナの発言に、すぐにアレスの眉は釣り上がり(キラはお前の物じゃねーよ!)と言いたげな顔をしている。

(またみんなが変なことを言っている・・・・・)

「ねえ、みんな。僕は世界の中心じゃないから。僕たち1人1人が、自分の人生の主人公でしょ!」
「それは分かっている。でもな、俺たちは、キラが主人公でいいんだ」
 アレスがキラに向かって「キラが主人公だ!絶対だ!」と言い聞かせている。
「そうだよ。キラ君が主人公でリーダー」
「私のキラ様は、この世界の太陽ですから」
 ルタもアクナも「キラが主人公の物語があればいいのに!」と盛り上がっている。
「俺たちのキラだから、俺たちと一心同体なの」
 双子のカルとポールも「俺たちとキラで三つ子になる〜!」と言って騒いでいる。

「つまり、キラ君のことが大好きってことです!」
 いつの間にか空想から目覚めたピアが「やっぱり実物のキラ君の方がかっこいい〜!」とキラを見つめている。
「おい!待て!俺のキラだから、キラのことを1番好きなのは、俺だ!」
 アレスの独占欲は、キラだけに向けられた忠誠心からくるこだわりだ。
「いやいや、俺たちのキラだから」
 双子たちは、キラを真ん中に挟んで腕を組み「キラは僕たちのことが1番好きだよねー」と顔を見合わせて聞いている。
「いいえ、私たちのキラ君です!」
「私のキラ様は、誰にも渡しません!」
 ルタとキャミが腕を組みながら、双子たちに対抗している。
 アクナは「キラ様LOVE」と書いたオタグッズを持ちながら、大きな声で叫んでいる。
 またもや、やいのやいのとキラ争奪戦が開始された。
 いつものことで慣れっこのキラは、しばらく傍観していた。

(このままだとさらにヒートアップしそうな雰囲気だな・・・・。じゃあ、今回はちょっと驚かせてみようかな?)

 キラは勢いよく「パン!」と手を叩き、大きな音を出してにっこり笑いながら言った。
「このままだと、みんなのこと嫌いになっちゃうよ」

 キラの言葉がよほどショックだったのか、みんなは黙って静かにキラの後をついて歩いて来る。
 あまりにも急に静かになった友人たちの姿が可愛く思えて、キラは吹き出してしまった。
「ねえ、みんな、どうしたの?そんなに静かになって」
「だって、キラ君に嫌われたらどうしようと思って・・・・」
 ルタは、いつもの勝気な口調がなくなっている。
「俺だってイヤだから。嫌われるのは・・・・」
 アレスも別人のように下を向いている。
「私はショックで寝込みそうです」
 アクナは、体から魂が抜けたような表情で落ち込んでいる。
「キラは俺たちの希望の星なのに・・・・」
 双子たちは、キラに「俺たちの大好きなチョコレートをあげるから嫌わないで!」とお願いしている。
「私もちょっと悲しくて・・・・」
 キャミは今にも泣きそうだ。
 ルタとピアは「キラ君に嫌われた!どうしよう!」と意気消沈している。

 僕のひと言で、こんなにも落ち込んでいる友人たちの姿が、可哀想に思えて
「みんなのことは嫌いじゃないよ。さっきのは冗談のつもりで言ったけど、みんながこんなにショックを受けるなんて思わなかった。ごめんね」
 キラの言葉を聞くと、たちまちみんなは元気を取り戻し
「そうだよな。俺のキラは、俺のこと嫌いじゃないよな」
「俺たちのキラは、俺たちのこと大好きだよね!」
 アレスと双子たちは、すぐに前向きな思考に切り替わる。

「私のことも好きですか?」
「私のキラ様は、やっぱり優しい」
「キラ君は、全然悪くありません」
「私のキラ君は、最高ー!」
 女性陣もパッと表情が和らいで、たちまち通常運転の口調に戻った。
 普段通りの元気で明るいみんなの方が、やっぱり楽しいな。

「みんな。ありがとう。みんなのことは大好きだよ」
 キラの言葉に、みんなの顔は最高潮に輝き、口々に「キラのことが大好きだ!」と主張し合っている。

(素敵な友人たちに囲まれて、幸せだな)

 そんな雰囲気を壊すように、突然、知らない声が背中から聞こえてきた。

「お前ばかり幸せそうで、ずるいな」

 まるで、耳元でささやかれたようなその声は、妬ましく、憎悪の念がこもっていた。
 周囲を見渡したが、キラに敵意を向ける存在はどこにもいない。

(空耳かな・・・・?)

 そう思っても、あのねっとりとした怨念のような言葉は、耳の奥でこだまして、心を不安にさせる。
 星のカケラに手を当てて、心を鎮めようとしても、ザワザワと波立つエネルギーを感じて落ち着かない。

(大丈夫。怖くない。僕はひとりじゃない。みんながいてくれる。大丈夫。大丈夫!)

 みんなと一緒にいることを思うと、自然と心が軽くなった。

(みんながいてくれると心強いな)

 心のざわめきを感じても、友人たちの存在が、キラの気持ちを和らげてくれた。

(でも、さっきの声は何だろう?気になるけど、今は危険はなさそうだな。このまま何もなければいいな)
 キラの心模様はお構いなしに、友人たちはキラを取り囲み、お喋りに夢中だ。
 キラたちが雑談しながら向かった先は、12の星門があるスターゲートだ。
 12の星門であるスターゲートは、12色のテーマカラーで色別されていて、星門ごとに異なったテーマで構成された都市のような造りになっている。各スターゲートはすべて繋がっていて、自由に行き来が出来る。
 スターゲートの入口には、象徴的な巨大な柱が2本立っていて、各色別の鉱石で作られたマークが柱の上下についている。
 正方形の中に三角形が入ったマークで、三角形は上下で向きが違う。
 入口は、水と光で映し出された自然アートでデザインされていて、内部が外から見えないような造りになっている。その上、内部の音も遮断されているので、スターゲートの入口付近は、静寂に包まれている。
 さらにこの場所の中央には「はじまりの場所」と同じような「創造の木と泉」があり、各スターゲートの入口と放射状に繋がったような配置になっている。

「ここにも『創造の木と泉』があるんだね!」
「記憶図書館で見たのと同じくらい巨大だね」
「この創造の木からも丸い玉が飛んでるね」
「キラキラした光の粒みたいなのも、いっぱい舞っているね!」
 口々にみんなは、見た景色を言い合っている。

「何回も来てるけど、こんなに注目して見たことがなかったな」
 アレスは「こんな木あったっけ?」というような口調だ。
「そうだね。いつも素通りっていうか、気がついてなかったかも⁉︎」
 ルタも「今初めて気がついた!」というような認識だ。
「本当!本当!逆に大きすぎて目に入っていなかった!」
「スターゲートの中の方が気になっているから、外の方はあまり気にしていなかったなー」
 双子のカルとポールの頭の中は、デザートのことでいっぱいなのだ。

 みんなの言う通り、他に気になることがあったり、考え事をしていて注意がいかないと、そこのあるはずの物に目がいかず、全然気がつかないことも多々ある。

「見過ごしていることって、けっこうあるかも」
 しっかり者のキャミが言うと
「見ているようで見ていない」
 アレスは(自分のことだ)と自覚している。
「うんうん。聞いているようで、聞いていない」
 ピアの言葉に「それはお前だ!」とアレスはピアを見る。
「それそれ!何か他のことを気にしていると、適当に受け答えをしたり、聞いてるつもり、答えたはずになっていることもある」
 ルタは、男性陣の方を見ながら(あなたたちのことよ!)と思いながら言う。
「確かに!気分によっても違ってくるし」
 キャミはルタの言葉を聞きながら「疲れているとあるよねー」と頷く。
「落ち込んでいたり、焦っていたりすると、注意散漫になって失敗したり、間違えたりするよね」
「ある。ある。勘違いしたり、ド忘れしたりもするしね」
 ルタもキャミも「気分って大事よね!」と話をしている。

「でも、俺たちのキラは完璧だから、そんなことはないよな!」
 アレスの「当然だ!」という発言に
「そうそう!キラは素晴らしい人だから」
「最高!最高!神!神!」
 双子たちも「キラと俺たちは最高だよねー!」と自慢し合っている。
「当然です!キラ様は間違えたりしません」
 みんなの会話に興味のなかったアクナが、俄然キラの話題になると勢いよく会話に参加し出した。
「キラ君は、何でも出来ちゃう特別な存在だから」
「うん!うん!同感!同感!」
 ピアの妄想発言に、女性陣は全員賛成している。

「ちょっと待って、みんな。僕はそんなことないよ。最近も記憶が曖昧で、よく思い出せないこともあるし、何でも出来る訳でもないから」
 キラは慌てて否定した。
「いいの!いいの!キラはそのままで。キラは何を言っても俺たちの理想のキラだから」
 アレスには、キラの言葉は全部肯定されて聞こえている。
「そうです!キラ様は、ありのままのお姿で完璧ですから!」
 アクナには、どんなキラでもカッコよく見えている。
「そうだよ、キラ。俺たちにとっては、どんなキラでも最高なの」
 双子たちは「キラと俺たちの3人が最高なの!」と言って、アレスに「お前たちとキラは全然違う」と即否定されている。
「キラ君は、ただ笑っていてくれればいいの」
 ルタの言葉に、みんなは「にまーっ」と笑ってキラを見ている。

「あのね、みんな。僕は・・・・」
 キラが何か言う前に、キラの肩に手を回し、
「さあ、行こうぜ!キラ。俺たちの楽しみはこれからだー!」
 アレスが先陣を切って片手を上げ、みんなに号令をかける。
「行くぞ〜!」
 双子たちも大声で叫び、
「行こう!行こう!」
 女性陣も「楽しみだねー!」と言いながら歩き出す。
 キラが何か言っても、結局みんなは、好き勝手にキラのことを言うのは変わらない。だから、好きに言わせておくのが1番得策なんだとキラも分かっている。
「でも、みんな。僕は神様じゃないんだからね」
「はいはい。分かってます!それでも、キラは俺たちの1番なの!」
 アレスと双子たちは、キラの言うことがよく分かっている。それでも、満面の笑顔でこうもはっきりと言われると、キラも悪い気はしない。

(まったく。しょうがないなー。僕は、そんなに素晴らしい人じゃないんだけどな)
(どうして、みんなは僕のことを、こんなにも好きだと思ってくれているんだろう?)
(もしかしたら、過去の時代に何か関係しているのかな?)
(僕が見た夢の内容や、もっと詳しい情報が得られれば、手掛かりが掴めるのかも。後で、もう一度、記憶図書館に行って調べてみよう。でも今は、目の前のことを楽しもう!)

 キラが前向きな気分でいられるのも、友人たちのおかげだ。彼らと一緒にいると、自然と笑顔が増えて心が和む。真面目に考えてしまうキラには、ぴったりの友人たちだ。

「今日はどこから行く?」
「やっぱりあれでしょ!」
「うん、うん。あれだね!」
 キャミの質問に、双子たちはすぐに答える。
「いいねー!久しぶりにスカッとしたいね!」
 ルタもすぐに賛成する。
「そう、そう!みんなとだから、余計に楽しいかも!」
 ピアも賛成しながら「キラ君がいるからだよ」とすぐに妄想し始める。
「おー!叫ぶぞー!」
 双子たちは「今から練習だ!」と言ってもう叫んでいる。
「な!キラもそれでいいだろう?」
 アレスに当然のように聞かれたキラは
「ん!?どこ?」

 みんなには通じているが、キラにはまったく伝わっていない会話で、最初の行き先は決定した。

「用意はいいか?」
 アレスはみんなに確認する。
「久々だから緊張する〜」
 ルタの口調は嬉しそうだ。
「けっこう高くない?」
「天井まで届きそうだね」
 アクナとキャミは、大きさに驚いている。
「これって、1番最新なの?」
 ピアの質問に、双子たちは得意げに答える。
「そう!つい最近出来たばかり」
「今、1番の話題の乗り物だよ」