イアンは、ベルカナの方を見てニコッと笑ってから、続けて話し始めた。

「ああ、それと、星の子たちが持っている星のカケラも、水の記憶と共鳴します。
 星のカケラには、星の子たちの使命が刻まれていますが、それが水の記憶と交わることで、様々な次空間、次元にある記憶にアクセス出来ることもあるようです」
「それは、過去の記憶にもアクセス出来るのですか?」
「はい。それは可能です。星の子1人1人の能力や才能、資質や目的は違います。
 星の子たちは、自分で使命を決めて生まれてきていると言われていますが、中には、創造主から『特別に与えられた使命』を刻まれた星の子たちも存在します。
 その星の子たちは、過去、現在、未来を通して、長い時間、この世界のために役割を担っていると言われています」

(創造主から、特別な使命を与えられた星の子たち・・・・。そんな星の子もいるんだ・・・・)

「では、その特別な星の子たちが、創造主に与えられた使命を間違えたり、失敗などを行った場合はどうなるんですか?」
「その時は、その星の子が存在するすべての世界が消滅すると言われています」
「えっ?今までそんなことは起きているんですか?」
「残念ながら、たくさん起きています。数えきれないぐらいの星が消滅して、星の子たちの記憶も消え去ったと言われています」

 キラは、イアンの言葉にショックを受けていた。
「星の消滅」
 その言葉が、重い鉛のようにキラの心に突き刺さったからだ。

「この世界では、毎瞬、毎瞬、新しい星が生まれ、それと同時に星が消滅します。生まれては消えていく星は、数えきれないくらいありますが、水はそのすべてを記憶します」
「じゃあ、水は消えた星のことも記憶しているんですね?」
「はい。そうです。しかし、水はあらゆる所に存在し、自由に流れて行くものです。どの水が消えた星の記憶を持つのか、調べるのは大変だと思います」

 イアンの説明を聞きながら(水の記憶を調べるのは気が遠くなるほど大変そうだ)とキラは思った。