「大丈夫ですか?」
 何度か声をかけられて、はっと目を覚ましたキラ。
「うなされていましたよ」
 心配そうな声に
「ありがとうございます。大丈夫です」
 とお礼を言った。
「あれ?あなたは昨日の・・・・」
 そう言われ顔を見ると、記憶図書館で親切に説明してくれた人だった。

「あっ!昨日はありがとうございました」
「いえいえ。私もボランティアで案内していますから」
 にっこりと笑って答えてくれたその人は、温かくて優しい感じの人だ。

「私はベルカナと言います。私も今日はグレートホールでの講義を聞きに来ました。
 本が好きなので、普段は記憶図書館やグレートホール、アメンティーホールなどで活動しています。
 星の子のみなさんは、それぞれ才能や特技を活かして、自由に好きなことでボランティアや活動をしていますよ」
「そうなんですね。僕も水の記憶に関することに興味があって、講義を聞きに来ました。
 その後は、もっと詳しいことが知りたくて、本を探していたんです」
「何か見つかりましたか?」
「光っている本を見つけて、その本を手に取ると、中から水の玉が何個か飛び出して来て、その中に包まれたら眠ちゃったようで、夢を見ていました」
「どんな夢ですか?うなされていたし、何か悪い夢でも見ていたんですか?」
「はい。それが、はっきりと覚えていなくて。さっきまではよく覚えていたのに。
 今は曖昧で、何かもやがかかっているようで・・・・」
「あまり無理に思い出さない方がいいかもしれませんね。
 記憶というのは、何かきっかけがあれば、一気に思い出すこともありますし」
「はい。そうですね。無理に考えない方がいいかもしれません」
「あっ!そうだ。私の友人も、水の記憶について、私と一緒に調べたり探しているので、話を聞いてみましょう」
 そう言って、ベルカナは、彼女の友人だという1人の男性を紹介してくれた。