「星のカケラは、様々な感情を感じて変化していく。
 君が見ていた夢の世界で、君が感じた思いをすべて星のカケラは覚えている。
 例え君が忘れてしまったとしても、星のカケラは知っている」

 そう言われて、改めて星のカケラって何だろうと思った。

「星のカケラって何ですか?僕だけが持っているんですか?」
「いいや、すべての星の子が持っている。星の子たちは1人1人違った星のカケラを持ち、自分が創造した夢の世界で様々な体験をして、感じた思いを星のカケラが記憶する」
「星の子たちって?」
「君も星の子だよ。この広い、広い世界のすべてに星の子がいる」
「でも、ここには僕しかいない」
「今はね。君は目覚めたばかりだから。本当に長い間、眠っていたんだよ。君が目覚めるのか、他の星の子たちが心配していた」
「他の星の子たち・・・・」

 突然、僕の頭の中に、他の星の子たちの顔や様々な出来事が、フラッシュライトのようにパッパッパッと映し出された。
 その映像を見たとたん、胸が締め付けられるような苦しさと悲しさと切なさが押し寄せてきた。
 心臓の音がドキドキとして、胸が息苦しい。僕は胸に手を当てて、目を閉じてそっと息を吸って吐いた。
 僕は、恐怖の感情に飲み込まれそうになっていた。
 でも、胸に手を当てて、ゆっくりと静かに呼吸を繰り返し、星のカケラの音を聞いていると「大丈夫。怖くない」という気持ちになった。
 気持ちが落ち着くと今度は、懐かしくて優しくて、愛しい思いがあふれてきた。
 
 気がつくと、僕は泣いていた。

「何か思い出したのかい?」

 僕を慰めるような優しい声。

「僕は・・・・」

 言葉にならないこの思いをどう表現すればいいのだろう。