「君は長い、長い眠りについていた。その間に様々な夢を見ていた。
 君が見ていた色々な夢の世界は、君にとってはリアルな世界だった。
 その世界では、あたかも本当の出来事であるかのような体験が出来た。
 その夢の世界は、君が創造して作り上げた。君1人だけじゃない。
 君の夢の世界に登場する人たちも、彼らの創造の中で、更に様々な出来事を思い描き、君の夢の世界を大きく広げていった」

 声の主の話を聞いても、今一つ僕は理解が追い付いていかなかった。

「君は目覚めたばかりだから、まだよく理解出来ないかもしれない。大丈夫。必要な時に、必要なタイミングで思い出すから」

 そう言われて、少しほっとした。僕は理解力がないのかと自己否定しようとしていたからだ。まるで、僕の考えが手に取るように分かるというように

「君が落ち込む必要はない。君はすべてを理解しているし、今はあえて思い出さないだけだから」
 と声の主が言った。

「君はこれから、君が創造した世界へと戻って行く。
 この世界は広くて神秘的で、たくさんの創造された世界が存在している。
 それゆえ、幾重にも展開された複雑な世界に見えるが、本当は秩序だったシンプルな構造だ。
 誰もが自分なりの創造を自由に思い描きながらも、他の人とも繋がりあって、変化しながら混ざり合う。
 君だけの音色があるとしたら、他の人々も1人1人違った音色を持っている。
 お互いの音色が共鳴し合って融合し、この世界に新しい音色を付け足していく」

(僕の音色・・・・)

 そう思って、そっと胸に手を当てる。僕の内側が熱く燃えているように感じた。

「何だか胸が熱く燃えるような気がします」
 僕は感じたことを口に出して言った。

「君の星のカケラが、君の思いに反応したんだね」
「星のカケラ・・・・」

 僕の星のカケラは、僕が呼吸するようにリズミカルな音を奏で、僕の手に振動として伝えてきた。
 その音は「ウォーン、ウォーン」と重なり合って、だんだんと音が大きくなる。
 その音を言い表すとしたら「情熱」という言葉がぴったりだ。
 何かに突き動かされるように、前へと飛び出す勢いのある感情。
 それが情熱なら、僕の星のカケラはまさに「今」それを感じている。