「水の記憶」

 その言葉を聞いて、みんながキラの方を見る。
 最初に口を開いたのはキャミだ。
「キラ君、水の記憶って何?」
 そう聞かれても、キラには何で「水の記憶」という言葉を発したのか分からないままだった。
「ごめん。僕にもよく分からない。何でそんな言葉が出てきたのか・・・・」

「いいよ、キラ。分かんないことは、ここで調べればいいんじゃね?」
 アレスが元気付けるように言うと、ルタがすかさず
「へえー、たまにはいいこと言うじゃん!」
「おい!俺はいつもいいことしか言ってない!」
 アレスはルタに食ってかかる。ルタはお構いなしに
「誰が!?余計な発言ばっかりでしょ」
「はっ!?何でだよ?」
 アレスは気に食わないという顔をして言い返す。

「まあまあ、2人とも落ち着いて。喧嘩したら、キラが困っちゃうよ」
 双子たちになだめられ、
「あー、キラ、そんなことないからな。俺は全然怒ってないぞ」
 アレスはすぐにキラの顔を見て、ルタに「お前のせいだ」と声に出さずに言っている。
「キラ君、私も全然怒ってないからね」
 ルタもキラには最高の笑顔を向けながら、すぐにアレスを見て「うるさい!」と返している。
「そうだよ、みんな。今日はキラ君のためにここに来ているんだから。仲良くね!」
 ピアが、アレスとルタの肩をポンポンと軽く叩いてお願いする。
「はーい」
 2人の返事に「しょうがないな」とみんなは笑っている。何だかんだ言って、みんな仲がいい。

 先頭を切って行こうとしたアレスが
「んじゃ、行きますか。って、どうやって行けばいいんだ?」
「ドア浮いてるし」
「だねー、みんなどうしているんだろう?」
 双子たちもアレスと一緒に戸惑っている。

 どうやってドアの方へ行けばよいのか迷っていると
「初めてですか?」
 と声をかけられた。
「はい、そうです」
 と答えると、親切にドアへの行き方を教えてくれた。