僕は鳩。
この国の配達会社で働く鳩。
僕の働く会社は業界No.2の大企業。
No.1をとるために会社は活発的に動いてる。
だからすこし僕の働く会社は、ブラック起業。
手紙を運ぶときはいつも一人。
配達が終わって会社に帰ってきたと思ったらまたすぐ次のところへ。だから友人関係も女性関係も全然進まない。
同じ会社には多くの美鳩がいるのに、僕には何もできない。
こんな会社やめてやりたい。


僕は鳩。今日も一人手紙を運ぶ。
今日の届け先はは東の島。観光にも人気の場所だ。
届け先には先に、セレナさんが飛び立っているらしい。
彼女は社長からも認められるほどの美鳩で、届け先での休暇が唯一許されている。うらやましい。
でも、もしかしたら彼女が向こうで休憩しているときに会えるかも知れない。
そんな淡い期待を胸に僕は今日も翔ぶ。

二時間ほど翔んだだろうか。
後ろから品の無い音が聞こえてくる。
カラスだ。
後ろからやってきてるのは憎きカラスだ。
カラスはライバル会社「カラス運輸」の社員どもだ。
やつらの配達は「速いが雑い」という言葉が似合う。
僕ら鳩が二週間かかる配達はカラスの2日で終わる。
たまに手紙が破れていたなどのクレームが来るらしいがそれも極たまにの頻度らしい。
そのため業界No.1は常にカラスで僕らはNo.1をとるためにより過酷な業務にあたるように指導(パワハラ)される。
全てやつらのせいだ。
忌々しいカラスどもめ。
僕はお前らせいでパワハラを受けているんだ。
速く消えてくれ。
僕の望みは以外にもすぐ叶い、カラスはいなくなった。
せっかくの良い景色もやつらのせいで最悪。
早くついてセレナさんをみたいな。


ようやくついた。
私はこの手紙を一つ運ぶためだけにここまで飛んできたのかと思うと少しバカらしく感じる。
隣の家にはカラスが運んだと見られる手紙があった。
雑い。思わず声に出してしまいそうなほどのものだった。これなら僕たちの方がよっぽど良いと思ってしまう。きっと疲れているんだろう。早く帰ろう。
そう思い手紙をポストに入れて羽ばたくとセレナさんが見えた。
やはり美人だ。声をかけずにはいられない。
声をかけに近づくとなにやら男の声がする。
カラスだ。
さっきのカラスがセレナさんと共にいる。
なぜだ。しかも雰囲気的にセレナさんがカラスに好意を持っているようだ。
なぜだ。なぜセレナさんのような鳩が誠実さの「せ」字もないカラスのことが好きなのか。
不快だ。不快感と怒りが脳を支配しそうだ。
むかつく。どうにかカラスに地獄を引きずり落としたい。
なにか、なにかないか。
そうだ。あいつの運んできた手紙をぐしゃぐしゃにしてやろう。
あいつらは仕事が雑だから僕だとばれることもないだろう。
すぐにするべきだ。あいつが浮かれている間に。
すぐに決行して僕はすぐに飛び立った。
帰る頃にはあいつらのニュースが世界を国中を飛び回るだろう。楽しみだ。急いで帰ろう。



会社につくと社長に呼ばれた。
だがなんのことでもいい。会社はすでに異様な空気に包まれている。すでにあのニュースは広まったのだ。
私は満足していた。
意気揚々と社長室に入ると会社の幹部職が勢揃いだった。「まさか昇進か?」なんて考えていると
「お前はなにをしているのかわかっているのか」
と怒られた。なにを言っているんだ。私がしたのが会社にバレているはずない。
「なんのことですか」
「とぼけるのか。良いだろう。テレビをつけろ」
秘書がテレビをつけるとニュースがやっていた。
そしてそれが手紙を破る自分だとすぐに気づいた。
防犯カメラだ。迂闊だった。観光地ならカメラの一つや二つあるだろうに。
「これは君だね」
反応できない。
クビだ。会社の看板に泥を塗り迷惑をかけた。最低だ。
腹を括ろう。
「はい。これは私です。申し訳ございません。責任をとり本日でこの会社をやめようと思います。」
これからどうやって暮らそう。
また新たな職に、つけるだろうか。
「なにを考えているんだ」
社長の一声が、僕に突き刺さる。
社長はまだ僕に挽回のチャンスを与えてくれているんだ。
「クビだけで済ます訳がないだろう。」
は?クビ以上に酷い罰はこの世に存在しないだろう。
なにを言っているんだ。すると後ろから誰かに拘束された。
「今やわが社はネットで大炎上だ。その責任を取るのは君一人だ。一人でこの炎上を味わうのだ。」
僕は吊るされた。
社員たちが盛り上がっている。
熱い。熱い。あつい。