帰巣本能の強い私はとても偉い。けど、記憶がなくなるほど飲んだ飲み会中、何かやらかしてないか心配になった。

 誰かからの呆れた連絡が来ていないか調べようにも、便利なスマホは棺桶の中には絶対に持ち込めない。

 スマホの画面は真っ暗で消えているように見えて、常にかすかに光っているからだ。

 暑苦しい空気の中で蓋を開けたところで、私は驚きに動きを止めた。

 ……え。ここどこなの? まじまじと見ても、私の住んでいる部屋と天井が違う。

 うちは単に白くて丸いLEDだけど、今目にしている天井には、どう見ても高そうで豪華な照明がぶら下がっていた。

 ……ここ。本当に何処なの?

 こうして棺桶の中で寝ているってことは、私は自室に居ると思い込んでいた。

 だって……棺桶が部屋にあるなんて、日本でもそんなにないと思うし……必要ないでしょ。普通なら。

 そう。普通なら、だけど。