◇◆◇
私はいつものように、まっくらな闇の中で目が覚めた。貧血気味だから朝は弱くて、いつも寝起きは良くない。
あ……そうだ。日曜日だ。
今日って、朝ご飯用のパンを買って来ていたっけ?
なんだか、頭の中にモヤがかかり昨日の自分が思い出せない。
ゆっくりと棺桶の蓋を押し上げて開いた時に「おはよう。まゆちゃん」と、何度も目覚まし時計が連呼していて、そんな中で驚くくらいに鮮明に、私は冬馬さんのことを思い出した。
「あ……冬馬さん。ひどい。好きだからさよならって、何なの……こっちの希望だって、少しは聞いてよね」
私の個人的な希望だけど、恋人が吸血鬼でも大丈夫。
なるべく生活スタイルは彼に合わせるし、血は食べ付けないから飲めないかもしれないけど、棺桶で眠りに付くのは、今でも既に慣れてしまっている。
告白した後に記憶を綺麗に消されていた私がスマホを確認すると、冬馬さんの連絡先ややりとりの履歴、あのカフェで撮影された写真なんかも、全部消されていた。
きっと、吸血鬼の彼から言われて私が自分で消した。
だけど、冬馬さんは「俺の声も全部消して」とは私には言っていなかったのかもしれない。こっそり録音された目覚まし時計に自分の声が録音されているなんて、普通なら思わないよね。
あれは……私が見た、都合の良い夢じゃない。冬馬さんへの恋から、まだ覚めていない。
私はカレンダーで休日であることを再確認すると、精一杯のお洒落とメイクをして部屋を出た。
私はいつものように、まっくらな闇の中で目が覚めた。貧血気味だから朝は弱くて、いつも寝起きは良くない。
あ……そうだ。日曜日だ。
今日って、朝ご飯用のパンを買って来ていたっけ?
なんだか、頭の中にモヤがかかり昨日の自分が思い出せない。
ゆっくりと棺桶の蓋を押し上げて開いた時に「おはよう。まゆちゃん」と、何度も目覚まし時計が連呼していて、そんな中で驚くくらいに鮮明に、私は冬馬さんのことを思い出した。
「あ……冬馬さん。ひどい。好きだからさよならって、何なの……こっちの希望だって、少しは聞いてよね」
私の個人的な希望だけど、恋人が吸血鬼でも大丈夫。
なるべく生活スタイルは彼に合わせるし、血は食べ付けないから飲めないかもしれないけど、棺桶で眠りに付くのは、今でも既に慣れてしまっている。
告白した後に記憶を綺麗に消されていた私がスマホを確認すると、冬馬さんの連絡先ややりとりの履歴、あのカフェで撮影された写真なんかも、全部消されていた。
きっと、吸血鬼の彼から言われて私が自分で消した。
だけど、冬馬さんは「俺の声も全部消して」とは私には言っていなかったのかもしれない。こっそり録音された目覚まし時計に自分の声が録音されているなんて、普通なら思わないよね。
あれは……私が見た、都合の良い夢じゃない。冬馬さんへの恋から、まだ覚めていない。
私はカレンダーで休日であることを再確認すると、精一杯のお洒落とメイクをして部屋を出た。