私がもし怪我をしたり……殺されたり、何か実害があれば別だけど、今のところ付き纏いや過剰な連絡以外には、何もされていない。

 明確に犯罪を彼が犯していないと、警察も弁護士も強硬には動けないらしい。

 だから、私本人も嫌だけど、動きようのないどうしようもない状態なのだ。

「警察にも言ったけど、そのストーカー行為は解決していないんだ……?」

 冬馬さんは、なんだか不思議そうだ。私みたいな平凡な女の何が良いんだろうと自分でも思うので、苦笑するしかない。

「そうなんです。私にはまだ、何も実害がない状態なので……直接の接触は禁じられているんですけど、全部をブロックすると逆上してしまうので」

「……うん。なるほどね。まゆちゃんの状況は、把握した。じゃあ、その人にさ。最後に直接言える? 一時間後に近くの……あの大きな公園に来てって言いなよ。俺がこれを根本から解決してあげるから」

「冬馬さん? けど……」

 私だって、お金で解決出来るならそうしたい。けど、この着信を鳴らす彼は開業医の息子で、お金には困っていないのだ。