着信を知らせるために振動しているスマホを見つたまま取らない私の妙な様子を案じてか、冬馬さんは不思議そうに言った。

 冬馬さんが話なら聞くと言ってくれて、なんだか助かった。

 警察を使っても上手く解決出来なかったんだから、ここで冬馬さんにどうにかして欲しいと頼んでも、きっと困らせてしまうだけだろうから。

「あ……これ、昔の異性の友人で……部活が一緒で仲良くはしていたんですけど、私に彼氏が出来たら態度がいきなり豹変してしまったんです。私はそのつもりはなかったんですけど、ひどい裏切られたと言い出して」

「はー……君と特別な関係だと、一方的に勘違いしていたケースか。うんうん。続けて続けて」

「私はそんな彼が怖くなって距離を置いたら、どんどん執着がエスカレートして……大学卒業して一切関わらなくなって、全部ブロックして着信拒否もしていたんですけど……そうすると住所をどこからか突き止めて会いに来るようになるので、電話番号を変えたり着信拒否したりするのだけは我慢しているんです」

 こんな、よくわからない話……聞いて貰えるだけでありがたい。

 警察に捕まるよと脅しても効果はないし、向こうの親だってどんなに駄目だと言っても聞かないどうしようもないと泣き崩れていたのだ。

 彼は裁判所から接近禁止命令を受けてはいるので、たまにこうして出ないとわかっていても電話を掛けてきたりする以外は実害はない。

 ……今のところは、だけど。