「よろしくお願いします……」

 今までずっと謎だらけだったイケメンカフェ店員の名前は、名前までやたらと格好良かった。揃いすぎて、よく出来た詐欺ではないかと疑ってしまうレベル。

「冬馬さん……なんだか、良い匂いしますね」

 彼からは美味しそうで、強く惹き付けられるような匂いがする。

 今朝、彼がいつも寝ているらしい棺桶で起きた時にもそう思ったけど、すべてを手にしたイケメンは、放つ匂いまでも良いのかもしれない。

「そう? 仕事柄、香水も何も強い匂いのするものは、付けていないはずだけどね」

「すごく、良い匂いします……」

 うっとりしてそう言えば、冬馬さんは話題を変えるように話し出した。

「あのさ。まゆちゃん。なんで、俺の棺桶で寝たの? ってか、蓋を閉めるのも手慣れた動きだったし、絶対これはお仲間だと思ったんだけど」

 冬馬さんは周囲を気にしながら、ひそひそ声で私に耳元で質問をした。

 ええ。私たち二人、部屋に棺桶があって、いつもはその中で眠ってるんです。なんだか、奇遇ですよね……なんて、