私は子どもの頃から、貧血気味なのだ。朝は難しいけど、休日前の夜なら寝坊しても良いしOKだけど。

「了解。もし倒れたら心配だから、俺も君の血は飲まないことにしよう」

「あの……ごめんなさい。また、後ほどお礼に伺っても良いですか……?」

 寛いだ様子の彼の背後にある時計の針の位置を何気なく見て、私は自分の顔が顔が青ざめていくのを感じた。

 ……なんてこと。今日は大事なプレゼンがある出社の日なのに、会議の時間まであと二時間もない。

 飲み過ぎて眠ってしまっていたところを助けてくれたイケメンとこんな風に悠長に話している時間なんて、私にはどこにもなかった。