「馬鹿な!玄鏡司には強固な結界の陣が敷かれているはず...!!」
「人といえど許可なき者は入れないはずなのに!!」
天威の退魔師がそう叫ぶが、リーダー格らしき赤い鬼面の男が笑う。
「知れた事よ。内部の人間を傀儡の術にて操ればよいだけのこと」
「愚かな玄鏡司の犬どもよ、我らに降ればよし。さもなくば死が訪れるぞ...」
「はいそうですかって、降参するわけがないじゃない」
「妖怪に尻尾ふってる君らこそ、"犬"なんじゃない?はは!」
「我らを愚弄するか!貴様...月御門の麒麟児か」
「手始めにお前を血祭りにしてやろう。降臨せし妖の巫女様への手土産にな!」
こいつ...今なんて言った...?
あいつらの信仰する対象が巫女だというのか。
ならなおさら、引くわけにはいかない。俺は負け続けるのは嫌いなんだよ...!!
俺が身構えると、後ろから天威の退魔師が数人走り寄ってきた。
「水月様!我らも共に!!」
「オーケー、人相手だがひるむなよ!可能であれば拘束するんだ!」
言い終わると同時に鬼面の連中が形代を何枚も放り投げ、術を唱え始めた。
すると形代はみるみるうちに子供ぐらいの大きさの小鬼になっていった。
「チッ...餓鬼か。こいつらが雑兵ってわけかい!」
「お気を付けを水月様!最下位の鬼族ですがそれでも妖怪としては侮れぬ強さです!」
「ああ、そうらしいね...俺は倒したことないけど、それでも...!」
俺は人差し指と中指をあわせ、空間を縦に4本、横に5本斬る。
「地獄に還るがいい...《九字切り》!」
神気を纏った9本の刃が餓鬼たちを切り刻み、たちまち消滅した。
はは...やっぱり効くじゃないか。
それに続くように退魔師たちが《火炎劫火》の術で餓鬼を焼き払っていく。
「フッ...さすがは天威の退魔師。だが、人とはどうかな...?」
リーダー格の紅い鬼面が笑うと、天威の退魔師達が背後から出てきた鬼面に刀で斬られていく。
「てめえ...この野郎!!」
「脆弱なり、玄鏡司。たやすく落ちそうではないか?」
俺に向かってきた鬼面に身構え、術を行使しようとするが間に合わない。
斬られることを覚悟したその時、鬼面は背後から何者かに真っ二つに両断されてしまった。
「――脆弱はお前たちも同じようだがな。人を斬るのは脆すぎてつまらん」
そこにいたのは黒コートの男...邪気をまとい黒い剣をもつ雷牙であった。
一斉に鬼面たちが斬りかかるが、雷牙は居合のように剣を構えると半歩踏み込み剣を鞘に戻した。
鬼面たちの首は体から勢いよく"サヨナラ"してしまった。
「き...きさま、もしや鬼殺の雷牙か...!!」
リーダー格の赤い鬼面がそう叫ぶと、周囲の黒い鬼面たちも動揺したように後ずさりをする。
「ならばどうする...命乞いでもしてみるか?」
「我らをなめるなよ!!おい、三位一体陣を組め!」
リーダー格の赤い鬼面が号令をかけると、黒い鬼面たちが三人一組になって術を唱え始めた。
「おい、本家の小僧...奴らを一人残らず殺せ。逃がすなよ」
「ばかな!あいつらを捕えなきゃ情報が得られない!!」
「クク...その余裕がおまえにあるのか?」
何かを言おうと俺は言葉を呑みこむ。
妖怪だけならまだしも人を相手取るのは正直したことがない。
「それに殺していれば、いずれ頭目がでてくるはずだ...なぁ、愁命」
そう語り掛けるように背後を見ると、いつのまにか女の子がいた。
霊障獄の看守のように黒衣を纏い、目元はみえるが口元はヴェールで隠された小学生くらいの子だ。
水晶玉のようなものを両手で持っていた。
「...来る。雷牙、この気配は...牛鬼だよ...」
女の子がそう呟くと、肉のような塊が徐々に形を成していく。
牛のような頭部に角が二本生え、体は蜘蛛のようだが大きく槍のような手足がいくつもあった。
牛鬼!?餓鬼よりも高位の鬼族で、人語を話し術までも行使する強敵だぞ...。
あんなものまで使役するなんてこいつら一体...!?
俺が考えていると、3mはあるであろう巨体が床を破壊しながらこちらに向かってきた。
「やはり、こうでなくてはな戦というものは」
雷牙は笑っていた。無愛想な男は戦いの中でのみ悦楽を享受するかのように。
気づいたときにはもう既に牛鬼に飛び掛かり、槍のごとき足を両断していた。
牛鬼の悲鳴が玄鏡司に響き渡る。
「...怖いのなら、さがること。ただいれば、雷牙の邪魔」
愁命と呼ばれた女の子は抑揚のない言葉遣いで俺に言った。
「はは、怖いって?俺が?いや~あはは、お嬢さんになめられちゃったなあ」
「...?何故、虚勢を張って、無理に軽薄な人間を装うの?」
っ...!!こいつ...。
俺を見透かすように見つめる愁命に激しく動揺した。
だが今はそんなことに囚われてる状況じゃないのはわかっている。
「やってやるさ...俺だって、いつまでも負け続けるわけにはいかないんだよ!」
迫りくる二体目の牛鬼に俺は身構える。
それを見ると愁命は側にきて水晶玉を片手に携え、右手を構えるように前に出した。
「援護する――いくよ」
鬼面童衆との戦いは苛烈さを増していく。
奇妙な少女、愁命の存在はなぜか頼もしく俺の背中を押したのだった――――――
「人といえど許可なき者は入れないはずなのに!!」
天威の退魔師がそう叫ぶが、リーダー格らしき赤い鬼面の男が笑う。
「知れた事よ。内部の人間を傀儡の術にて操ればよいだけのこと」
「愚かな玄鏡司の犬どもよ、我らに降ればよし。さもなくば死が訪れるぞ...」
「はいそうですかって、降参するわけがないじゃない」
「妖怪に尻尾ふってる君らこそ、"犬"なんじゃない?はは!」
「我らを愚弄するか!貴様...月御門の麒麟児か」
「手始めにお前を血祭りにしてやろう。降臨せし妖の巫女様への手土産にな!」
こいつ...今なんて言った...?
あいつらの信仰する対象が巫女だというのか。
ならなおさら、引くわけにはいかない。俺は負け続けるのは嫌いなんだよ...!!
俺が身構えると、後ろから天威の退魔師が数人走り寄ってきた。
「水月様!我らも共に!!」
「オーケー、人相手だがひるむなよ!可能であれば拘束するんだ!」
言い終わると同時に鬼面の連中が形代を何枚も放り投げ、術を唱え始めた。
すると形代はみるみるうちに子供ぐらいの大きさの小鬼になっていった。
「チッ...餓鬼か。こいつらが雑兵ってわけかい!」
「お気を付けを水月様!最下位の鬼族ですがそれでも妖怪としては侮れぬ強さです!」
「ああ、そうらしいね...俺は倒したことないけど、それでも...!」
俺は人差し指と中指をあわせ、空間を縦に4本、横に5本斬る。
「地獄に還るがいい...《九字切り》!」
神気を纏った9本の刃が餓鬼たちを切り刻み、たちまち消滅した。
はは...やっぱり効くじゃないか。
それに続くように退魔師たちが《火炎劫火》の術で餓鬼を焼き払っていく。
「フッ...さすがは天威の退魔師。だが、人とはどうかな...?」
リーダー格の紅い鬼面が笑うと、天威の退魔師達が背後から出てきた鬼面に刀で斬られていく。
「てめえ...この野郎!!」
「脆弱なり、玄鏡司。たやすく落ちそうではないか?」
俺に向かってきた鬼面に身構え、術を行使しようとするが間に合わない。
斬られることを覚悟したその時、鬼面は背後から何者かに真っ二つに両断されてしまった。
「――脆弱はお前たちも同じようだがな。人を斬るのは脆すぎてつまらん」
そこにいたのは黒コートの男...邪気をまとい黒い剣をもつ雷牙であった。
一斉に鬼面たちが斬りかかるが、雷牙は居合のように剣を構えると半歩踏み込み剣を鞘に戻した。
鬼面たちの首は体から勢いよく"サヨナラ"してしまった。
「き...きさま、もしや鬼殺の雷牙か...!!」
リーダー格の赤い鬼面がそう叫ぶと、周囲の黒い鬼面たちも動揺したように後ずさりをする。
「ならばどうする...命乞いでもしてみるか?」
「我らをなめるなよ!!おい、三位一体陣を組め!」
リーダー格の赤い鬼面が号令をかけると、黒い鬼面たちが三人一組になって術を唱え始めた。
「おい、本家の小僧...奴らを一人残らず殺せ。逃がすなよ」
「ばかな!あいつらを捕えなきゃ情報が得られない!!」
「クク...その余裕がおまえにあるのか?」
何かを言おうと俺は言葉を呑みこむ。
妖怪だけならまだしも人を相手取るのは正直したことがない。
「それに殺していれば、いずれ頭目がでてくるはずだ...なぁ、愁命」
そう語り掛けるように背後を見ると、いつのまにか女の子がいた。
霊障獄の看守のように黒衣を纏い、目元はみえるが口元はヴェールで隠された小学生くらいの子だ。
水晶玉のようなものを両手で持っていた。
「...来る。雷牙、この気配は...牛鬼だよ...」
女の子がそう呟くと、肉のような塊が徐々に形を成していく。
牛のような頭部に角が二本生え、体は蜘蛛のようだが大きく槍のような手足がいくつもあった。
牛鬼!?餓鬼よりも高位の鬼族で、人語を話し術までも行使する強敵だぞ...。
あんなものまで使役するなんてこいつら一体...!?
俺が考えていると、3mはあるであろう巨体が床を破壊しながらこちらに向かってきた。
「やはり、こうでなくてはな戦というものは」
雷牙は笑っていた。無愛想な男は戦いの中でのみ悦楽を享受するかのように。
気づいたときにはもう既に牛鬼に飛び掛かり、槍のごとき足を両断していた。
牛鬼の悲鳴が玄鏡司に響き渡る。
「...怖いのなら、さがること。ただいれば、雷牙の邪魔」
愁命と呼ばれた女の子は抑揚のない言葉遣いで俺に言った。
「はは、怖いって?俺が?いや~あはは、お嬢さんになめられちゃったなあ」
「...?何故、虚勢を張って、無理に軽薄な人間を装うの?」
っ...!!こいつ...。
俺を見透かすように見つめる愁命に激しく動揺した。
だが今はそんなことに囚われてる状況じゃないのはわかっている。
「やってやるさ...俺だって、いつまでも負け続けるわけにはいかないんだよ!」
迫りくる二体目の牛鬼に俺は身構える。
それを見ると愁命は側にきて水晶玉を片手に携え、右手を構えるように前に出した。
「援護する――いくよ」
鬼面童衆との戦いは苛烈さを増していく。
奇妙な少女、愁命の存在はなぜか頼もしく俺の背中を押したのだった――――――